令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.11は、据置鉛蓄電池に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、ベント形の2つの形式の使い分けを分かっているかを問うものです。CS形が長寿命、HS形が高率放電用という組合せです。
選択肢1はこれを逆に書いています。
正解:選択肢1(HS形はCS形より長寿命)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | HS形はCS形より長寿命 | 逆。長いのはCS形。不適当 |
| 2 | 比重は放電で下がる | 硫酸が減って水が増える。適当 |
| 3 | 放電電流が大きいほど容量は減る | 奥まで反応が進まない。適当 |
| 4 | 定格容量は放電終止電圧までの電気量 | 定義のとおり。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、HS形の「H」を「高性能」や「長寿命」と読みたくなるところです。Hは高率放電(High rate)のHで、寿命ではありません。
ベント形の据置鉛蓄電池は、極板の作り方で2つに分かれます。
| 形式 | 極板 | 期待寿命 | 用途 |
|---|---|---|---|
| CS形 | クラッド式 | 約10〜14年 | 緩放電用。発電所・変電所、通信、機器操作 |
| HS形 | ペースト式 | 約5〜7年 | 高率放電用。インバータ、計装、エンジン始動 |
クラッド式は活物質をガラス繊維のチューブに詰めた作りで、活物質が落ちにくく寿命が長くなります。ペースト式は表面積が広く、短時間に大きな電流を出せます。長い時間かけて少しずつ放電する用途がCS形、一気に放電する用途がHS形です。
選択肢2は電解液の変化です。放電すると硫酸が極板の硫酸鉛に取り込まれ、代わりに水ができるので、電解液は薄くなって比重が下がります。充電すると逆に進み、比重が戻ります。だから比重を測れば充電状態が分かります。
選択肢3は容量の性質です。放電電流を大きくすると、極板の表面だけで反応が進んで内部まで届かなくなり、取り出せる容量が減ります。逆に小さい電流でゆっくり放電すれば、より多くの容量が取り出せます。
選択肢4は定格容量の定義です。決めた温度と放電電流で、決めた電圧(放電終止電圧)まで下がるまでに取り出せる電気量をアンペア時で表します。放電終止電圧より下まで使うと極板が傷むので、そこで止める前提の値です。
CS形とHS形のうち、期待寿命が長いのはどちらか。
CS形です。クラッド式極板で約10〜14年、ペースト式のHS形は約5〜7年です。
電解液の比重は放電すると上がるか下がるか。
下がります。硫酸が極板側に取り込まれて水ができるため、電解液が薄くなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月