令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.10は、直流送電方式の特徴に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、交直変換で何が起きるかを分かっているかを問うものです。変換装置は電流を切り刻んで作るので、必ず高調波が発生します。
だから対策は不要ではなく、むしろ必要です。
正解:選択肢2(高調波障害対策が不要)
> この論点をやさしく解説:直流送電とは?交流と比べた長所・短所と遮断の難しさを整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 高電圧・大電流の遮断が困難 | 電流のゼロ点がない。適当 |
| 2 | 高調波障害対策が不要 | 変換所で発生するので必要。不適当 |
| 3 | 周波数の違う系統の連系に使う | 直流の大きな利点。適当 |
| 4 | 長距離・大電力の送電に適する | 充電電流がない。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、直流そのものには高調波という考え方がないので、対策が要らないように見えるところです。問題は変換する場所で起きます。
交直変換所では、サイリスタなどの半導体で電流を切り替えて交流と直流を行き来させます。この切り替えが波形をひずませ、高調波を生みます。
| 対策 | 中身 |
|---|---|
| 交流フィルタ | 交流側に設け、特定の次数の高調波を吸収する |
| 直流リアクトル | 直流側の電流の脈動を抑える |
| 多パルス化 | 変換器を組み合わせ、発生する高調波の次数を高くする |
変換所には、このほかに無効電力の補償設備も要ります。サイリスタ変換器は運転中に遅れ無効電力を消費するためです。設備が大がかりになるのが直流送電の弱点です。
選択肢1・3・4は、いずれも直流送電の正しい特徴です。
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 遮断が難しい | 交流のように電流がゼロになる瞬間がなく、アークが消えない |
| 周波数の違う系統をつなげる | いったん直流にするので、両側の周波数が違ってよい |
| 長距離・大電力に適する | 充電電流が流れず、リアクタンスによる電圧降下もない |
| 安定度の制約がない | 同期を取る必要がないので、距離で送電容量が制限されない |
日本では、50Hzと60Hzの境目にある周波数変換所や、本州と北海道を結ぶ直流連系で使われています。海底ケーブルは静電容量が大きく、交流だと充電電流で送電できないので、直流が向きます。
まとめると、直流送電は送電線としては有利、変換所としては不利という組合せです。距離が長いほど、変換所の費用を送電線の利点で取り返せるようになります。
直流送電で高調波はどこで発生するか。
交直変換所です。半導体で電流を切り替えるときに波形がひずみ、交流フィルタなどの対策が必要になります。
直流の遮断が難しい理由は。
交流のように電流がゼロになる瞬間がないため、アークが消えにくいからです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月