令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.9は、電力系統における短絡容量の軽減対策に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、短絡電流を小さくするには何をするかを分かっているかを問うものです。事故点までのインピーダンスを大きくすれば、流れる電流は小さくなります。
低インピーダンスの変圧器を選ぶと、逆に短絡容量が増えます。
正解:選択肢4(低インピーダンスの変圧器を採用)
> この論点をやさしく解説:短絡容量の軽減対策とは?流れにくくする手と断つ手の違いを整理
| 選択肢 | 対策 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 変電所の母線を分離する | 電源が分かれて減る。適当 |
| 2 | 送電線に限流リアクトル | インピーダンスを足す。適当 |
| 3 | 直流連系で交流系統を分割 | 短絡電流が流れ込まない。適当 |
| 4 | 低インピーダンスの変圧器 | 高インピーダンスにする。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、低インピーダンスの変圧器が電圧変動の面では望ましいものだというところです。短絡容量の話では逆になります。
短絡電流は、次の関係で決まります。
短絡電流 = 電圧 ÷ 事故点までのインピーダンス
分母を大きくすれば電流は小さくなります。短絡容量を減らす対策は、すべてインピーダンスを増やす方向です。
| 対策 | なぜ効くか |
|---|---|
| 高インピーダンス変圧器 | 変圧器そのもののインピーダンスを大きくする |
| 限流リアクトル | 線路に直列にリアクタンスを足す |
| 母線の分離 | 並列にあった電源が分かれ、合成インピーダンスが増える |
| 直流連系 | 交流としてつながらないので、短絡電流が流れ込まない |
| 上位電圧での系統構成 | 同じ電力なら電流が小さくなる |
選択肢1の母線分離は、並列につながっていた電源を切り離す方法です。並列だとインピーダンスが小さくなり、短絡電流が増えます。分けることで1つあたりの寄与を減らします。
選択肢3の直流連系は、交流系統の間を直流でつなぐ方式です。周波数が違う系統をつなげるだけでなく、交流としては切り離されているので短絡事故が波及しません。
短絡容量が大きすぎると、次の問題が起きます。
| 起きること | 中身 |
|---|---|
| 遮断器の容量不足 | 切れない事故電流が流れ、機器が壊れる |
| 機器の機械的な損傷 | 電磁力で母線や巻線が変形する |
一方で、インピーダンスを増やすと平常時の電圧変動が大きくなり、系統の安定度も下がります。短絡容量を抑えることと、電圧を安定させることは両立しません。どこで折り合いをつけるかが設計になります。
短絡容量を軽減するには変圧器のインピーダンスをどうするか。
大きくします。高インピーダンス変圧器を採用すると短絡電流が小さくなります。
直流連系が短絡容量の軽減に効くのはなぜか。
交流としてはつながっていないため、片方の系統の短絡電流がもう片方へ流れ込まないからです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月