令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.8は、変電所に用いられる保護継電器に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、比率差動継電器が守る範囲を分かっているかを問うものです。この継電器は保護区間の内部で起きた事故を検出します。
外部事故では、流入と流出の電流が釣り合うので動作しません。
正解:選択肢3(外部事故から機器を保護)
> この論点をやさしく解説:保護継電方式とは?距離・過電流・差動継電器が何を測るかの違いを整理
| 選択肢 | 継電器 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 過電流継電器 | 短絡・過負荷の検出。適当 |
| 2 | 不足電圧継電器 | 短絡事故・停電の検出。適当 |
| 3 | 比率差動継電器 | 内部事故から保護する。不適当 |
| 4 | 距離継電器 | 送電線保護用。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、選択肢3の前半「流入する電流と流出する電流の差により動作する」が正しい説明だというところです。後半の「外部事故」だけが入れ替わっています。
この継電器の原理を確かめます。
| 事故の場所 | 流入と流出の電流 | 継電器の動作 |
|---|---|---|
| 保護区間の内部 | 差が出る(事故点へ流れ込む分) | 動作する |
| 保護区間の外部 | 釣り合う(通り抜けるだけ) | 動作しない |
差を見る仕組みなので、区間の外で起きた事故では電流がそのまま通り抜け、差が出ません。だから外部事故は検出できません。
これは欠点ではなく狙った性質です。自分の受け持つ区間の事故だけを切り、隣の区間の事故では動作しないことを選択性といいます。
比率差動継電器の主な用途は次のとおりです。
| 守る対象 | 検出する事故 |
|---|---|
| 変圧器 | 巻線の層間短絡、相間短絡、地絡 |
| 発電機 | 固定子巻線の内部短絡 |
| 母線 | 母線の短絡・地絡 |
「比率」という名が付いているのは、誤動作を防ぐ工夫があるためです。変圧器の励磁突入電流や、変流器の誤差で小さな差が出ても動かないよう、通過電流に対する差の比率で判定します。
他の3つの継電器も整理しておきます。
| 継電器 | 何を見るか | 主な用途 |
|---|---|---|
| 過電流継電器(OCR) | 電流の大きさ | 短絡事故、過負荷 |
| 不足電圧継電器(UVR) | 電圧の低下 | 短絡事故、停電の検出 |
| 距離継電器 | 電圧と電流の比 | 送電線保護。事故点までの距離を測る |
距離継電器は、電圧÷電流がインピーダンスにあたることを使います。事故点が近いほどインピーダンスが小さくなるので、距離の遠近を判別できます。
比率差動継電器はどの事故を検出するか。
保護区間の内部で起きた事故です。外部事故では流入と流出の電流が釣り合うため動作しません。
距離継電器は何を見て動作するか。
電圧と電流の比です。これがインピーダンスにあたり、事故点までの距離を判別できます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月