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直流送電とは?交流と比べた長所・短所と遮断の難しさを整理

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直流送電って、交流と比べてどっちが有利なの?

長所も短所も両方書いてあって、決められないんだけど…。

この記事の要点

直流送電とは、交流を直流に変換して送り、受け側で交流に戻す送電方式のことです。

直流送電の特徴を問う出題は4年度あります。

答えになるのは遮断高調波対策の2つの肢だけです。

直流送電は、交流送電と比べる形で1級に4年度出ています。

肢の顔ぶれは似ていますが、答えになった論点は2種類に絞られます。

交直変換所には、次のものが並びます。

  • 変換器(整流器・インバータ):交流と直流を行き来させる
  • 変換用変圧器:変換器に合う電圧に整える
  • 高調波フィルタ・調相設備:ひずみと無効電力の手当て

この設備が要るぶん、建設費と用地がかかります。

交直変換所が要るから、高調波も出る

変換に使うのは整流器とインバータで、動作のたびに波形がひずみます。これが高調波で、抑える手当てが別に要ります。同じ理由で、直流き電の変電所も整流器を持つため高調波が出ます(直流き電方式)。

直流送電は、送る前に交流を直流へ変え、受け側で交流に戻します。この変換をする場所が交直変換所です。交流送電なら要らない設備が、両端に1つずつ必要になります。

両端に交直変換所が要る 交流系統 交流系統 交直変換所 (整流器) 交直変換所 (逆変換) 直流で送る 変換のたびに高調波が出る → 対策が要る
直流送電の構成をイメージでつかむための模式図です。設備の大きさや距離の比は実物どおりではありません。正しいのは、両端に交直変換所が要ること、そこで変換が行われることだけです。

変換に使うのは整流器です。整流器は、交流の波を切り取って直流に均すので、そのぶん波形がひずみます。このひずみが高調波です。同じことが直流き電の変電所でも起きており、そちらは直流き電方式で扱っています。

だから交直変換所には高調波の対策が要ります。「対策が不要である」と書いた肢が2年度とも答えになるのは、この裏返しです。高調波そのものと抑え方は高調波の抑制にまとめました。

例えば、肢に「直流送電は交流送電に比べて電流の遮断が容易である」とあれば、そこで切れます。交流は1秒間に何十回も電流がゼロを通るので、その瞬間に切れます。直流はゼロを通らないので、切るのが難しくなります。

言い換えると、「直流は自然に電流がゼロにならないぶん、遮断が難しい」ということです。長所を並べた肢の中で、遮断だけは短所の側に置かれます。

長所と短所は、どちらも「交流と比べて」の形で問われます。

  • 長所:異なる周波数の系統をつなげる/線路の電線を使い切れる/短絡容量を増やさない/安定度の問題が無い
  • 短所:交直変換所が要る/高調波が出る/電流の遮断が難しい/電圧の変換が簡単でない

答えになるのは短所の側を長所として書いた肢で、とくに遮断と変換所が狙われます。

特徴は8つ、答えになるのは2つだけ

問われる特徴は、8つの論点に分かれます。

論点 肢の書かれ方 扱い
長距離・大電力 大電力の長距離送電に適している(3年度) 正しい
周波数 周波数の異なる交流系統間の連系が可能(2年度) 正しい
潮流制御 電力潮流の制御が迅速かつ容易に行える(2年度) 正しい
送電損失 交流送電方式に比べて送電損失が少ない(1年度) 正しい
誘電体損失 ケーブル送電の場合は誘電体損失を考慮する必要がない(1年度) 正しい
安定度・短絡容量 安定度の問題がなく許容電流まで送電容量を大きくできる/連系しても短絡容量が増加しない(1年度) 正しい
遮断 高電圧・大電流の遮断が容易に行える(平成30年度 選択肢1・令和3年度 選択肢4) 答え
高調波 交直変換所での高調波の対策が不要である(平成25年度 選択肢2・令和6年度 選択肢2) 答え

答えになるのは、遮断と高調波の2つだけです。残る6つは一度も誤りにされていません。上の6行を「読み飛ばしてよい肢」として覚え、下の2行を探す形になります。

交流の側で送電容量を増やす手立ては多導体方式のように別にありますが、直流はそもそも安定度の制約を受けません。交直変換所に何が置かれるかは変電所の機器の役割と重なります。

遮断のほうは、令和6年度が向きを確定させてくれます。同じ年度の選択肢1が「交流送電方式に比べて、高電圧・大電流の遮断が困難である」で、こちらは正しい側でした。容易と書けば答え、困難と書けば正しい側です。

高調波のほうは位置まで固定されていて、2年度とも選択肢2です。「防止対策」と「障害対策」で語が少し違うだけで、中身は同じでした。

もう1つ、直流で連系すると短絡容量が増えないという特徴も、別の問で裏が取れます。令和6年度1級No.9は「電力系統における短絡容量の軽減対策」を問い、選択肢3の「直流連系により交流系統を分割する」を正しい側に置きました。この年度の答えは、低インピーダンスの変圧器を採用するとした肢です。

交流でつなぐと、片方の系統で短絡が起きたとき、もう片方からも故障電流が流れ込みます。直流を挟めばそれが伝わりません。直流送電の問と短絡容量の問で、同じ向きが2度確認できます。系統の信頼度を上げる話でも、令和5年度1級No.20の選択肢3が「交流連系線や直流連系線、周波数変換設備などで隣接系統間を連系し、広域運営を行う」を正しい側に置いています。

遮断の向きは、令和6年度1級No.10の選択肢1がそのまま言葉にしています。「交流送電方式に比べて、高電圧・大電流の遮断が困難である」。この文が正しい側に置かれました。

平成30年度と令和3年度は、同じところを「容易に行える」に変えて答えにしています。正しい向きと誤りの向きが、別の年度に対で置かれています。片方を覚えれば、もう片方は裏返すだけです。

残る6つの論点は、4年度を通して一度も答えになっていません。読むのは遮断と高調波対策の2か所だけで足ります。

長所の側にも理由があります。交流のように無効電力や位相を合わせる必要がないので、異なる周波数の系統どうしを繋げます。線路の電線も、表皮効果が無いぶん断面を使い切れます。事故時に電流が広がりにくいので、短絡容量を増やさずに連系できるのも長所です。

電線を使い切れる理由は、別の問で確かめられる

表皮効果そのものは、直流送電とは別の問で出ています。向きは2年度で確定しています。

令和5年度 1級 第一次 No.23 選択肢1(正しい側。公表正答は選択肢4)

周波数が高いほど、表皮効果は大きくなる。

令和7年度 1級 第一次 No.19 選択肢1(誤りの側。公表正答は選択肢1)

周波数が高いほど、表皮効果は小さくなる。

同じ一文が、令和5年度では正しい側に、令和7年度では向きを裏返して答えに置かれました。周波数が高いほど表皮効果は大きい、という向きです。

表皮効果が大きいと、電流が電線の外側に偏ります。令和5年度の選択肢4は「表皮効果が大きいほど、電線中心部の電流密度は大きくなる」で、これが答えでした。正しくは小さくなる側で、中心部が使われなくなります。

直流は交流のように向きが変わりません。だから電線の断面をそのまま使えます。表皮効果を交流の側で抑える手立ては多導体方式にあります。

過去問でどう問われたか

直流送電の特徴は4年度分です。

年度・級・問 答えの論点 肢の位置
平成25年度 1級 学科 No.11 高調波の防止対策が不要 選択肢2
平成30年度 1級 学科 No.11 遮断が容易 選択肢1
令和3年度 1級 第一次検定 No.12 遮断が容易 選択肢4
令和6年度 1級 第一次 No.10 高調波障害対策が不要 選択肢2

答えは遮断と高調波の2種類だけで、他の肢はすべて正しい側です。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 遮断の語を探す:容易なら答え、困難なら正しい側です。
  • 高調波の語を探す:対策が不要と書いてあれば答えです。
  • 長距離・大電力は飛ばす:3年度とも正しい側です。
  • 周波数・潮流・損失・安定度も飛ばす:すべて正しい側です。
  • 短絡容量は増えない側:別の年度の問でも同じ向きです。

まちがえやすいポイント

直流送電の肢は、ほとんどが利点として書かれます。長距離に強い、周波数が違っても繋げる、潮流を思いどおりに制御できる、損失が少ない。読んでいるうちに「全部正しそうだ」と思えてきます。

実際、8つのうち6つは一度も誤りにされていません。探すのは、直流にしたことで新しく増えた手間のほうです。両端に交直変換所が要ること、その変換で高調波が出ること、直流は遮断しにくいこと。この3つが直流側の負担です。

そのうち遮断と高調波の2つが、向きを逆にして肢になります。利点の肢は読み飛ばし、負担の肢だけを読んでください。

混同しやすい語

遮断が容易と困難:容易とした年度は答え、困難とした年度は正しい側です。

高調波対策が不要:2年度とも選択肢2で答えです。

交直変換所:交流と直流を変換する設備で、高調波の話はここに結び付きます。

直流連系:交流系統をつなぐ使い方で、短絡容量を増やさない側の語です。

理解度チェック

Q.

遮断について2年度とも答えになったのはどちらの書き方か?

高電圧・大電流の遮断が容易に行えるとした書き方です。困難とした令和6年度の肢は正しい側でした。

Q.

高調波の肢はどの位置に出るか?

2年度とも選択肢2です。対策が不要とした形で答えになります。

Q.

3年度に出て一度も誤りにされていない特徴は何か?

大電力の長距離送電に適しているという肢です。

Q.

直流で連系すると短絡容量はどうなるか?

それぞれの短絡容量は増加しません。短絡容量の軽減対策を問う別の問でも正しい側に置かれています。

まとめ

  • 遮断が容易とした肢が2年度とも答え。位置は選択肢1と選択肢4。
  • 令和6年度は遮断が困難とした形で正しい側に置き、向きを確定させている。
  • 高調波対策が不要とした肢も2年度とも答えで、位置は選択肢2で固定。
  • 長距離・大電力、周波数の違う系統の連系、潮流制御はすべて正しい側。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成25年度No.11・平成30年度No.11・令和3年度No.12・令和5年度No.20・令和5年度No.23・令和6年度No.9・令和6年度No.10・令和7年度No.19
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