令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.23は、送電線の表皮効果に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、表皮効果で電流がどこに寄るかを分かっているかを問うものです。電流は表面に寄るので、中心部の電流密度は小さくなります。
「表皮」という名前がそのまま答えになっています。
正解:選択肢4(中心部の電流密度が大きくなる)
> この論点をやさしく解説:多導体方式とは?単導体との違いと固有の部材・現象を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 周波数が高いほど表皮効果は大きい | 磁束の変化が速い。適当 |
| 2 | 導電率が小さいほど表皮効果は小さい | 渦電流が流れにくい。適当 |
| 3 | 表皮効果が小さいほど電力損失が小さい | 断面を広く使える。適当 |
| 4 | 表皮効果が大きいほど中心部の電流密度が大きい | 小さくなる。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、「効果が大きい」と「密度が大きい」が同じ向きの言葉なので、続けて読むと自然に見えるところです。効果が大きくなるほど、中心部は使われなくなります。
電線に交流が流れると、電線の中にも磁束ができます。中心に近いほど鎖交する磁束が多く、インダクタンスが大きくなります。
インダクタンスが大きい=交流に対する抵抗が大きいので、電流は中心を避けて表面側を通ります。これが表皮効果です。
| 条件 | 表皮効果 | 理由 |
|---|---|---|
| 周波数が高い | 大きい | 磁束の変化が速く、打ち消す渦電流が強い |
| 導電率が大きい | 大きい | 渦電流が流れやすい |
| 透磁率が大きい | 大きい | 磁束が通りやすい |
| 電線が太い | 大きい | 中心までの距離が長い |
この論点は2つの年度で確定しています。令和元年度 1級 No.23と令和7年度 1級 No.19は、どちらも選択肢に「表皮効果が大きいほど、電線中心部の電流密度は小さくなる」を置き、公表正答は別の肢でした。つまり「小さくなる」が正しい肢として2回確定しています。
令和元年度の正答は2で、そこは「導電率が小さいほど表皮効果は大きくなる」でした。導電率が小さければ渦電流も流れにくいので、表皮効果は小さくなります。この令和5年度の選択肢2は、その正しい向きで書かれています。
令和7年度の正答は1で、そこは「周波数が高いほど表皮効果は小さくなる」でした。こちらも向きが逆でした。この令和5年度の選択肢1は正しい向きです。
選択肢3の電力損失は、使える断面積の話です。表皮効果が大きいと電線の中心部が使われず、実質的な断面積が小さくなります。細い電線と同じことなので、抵抗が上がって損失が増えます。
だから表皮効果が小さいほど断面を広く使えて、損失が小さくなります。
対策としては、電線を細く分ける方法があります。合計断面積が同じでも、単導体より多導体のほうが表皮効果の影響は小さくなります。1本あたりが細くなり、中心までの距離が短くなるためです。
表皮効果が大きいと電力損失が増えるのはなぜか。
電線の中心部が使われず、実質的な断面積が小さくなるためです。細い電線と同じことになり抵抗が上がります。
導電率が小さいと表皮効果はどうなるか。
小さくなります。電流を中心から追い出す渦電流が流れにくくなるためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月