令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.22は、三相3線式の地中送電線路における無負荷時の充電容量 Qc を表す式として、正しいものを選ぶ問題です。
この問題は、線間電圧と相電圧をどこで使い分けるかを分かっているかを問うものです。電流を出すときに√3で割り、容量にするときに√3を掛けるので、最後に消えます。
残るのは ωCV² だけです。
正解:選択肢3(Qc = ωCV² × 10-3)
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| 記号 | 内容 |
|---|---|
| V | 線間電圧[kV] |
| C | ケーブル1線当たりの静電容量[μF] |
| ω | 角周波数[rad/s] |
まず1線に流れる充電電流を出します。ケーブルの静電容量にかかるのは相電圧なので、線間電圧を√3で割ります。
1線の充電電流
Ic = ω × C × (V ÷ √3)
単位をそろえると Ic = ω × C×10-6 × (V×103 ÷ √3) = ωCV×10-3 ÷ √3 [A]
次に三相の容量にします。三相の皮相電力は線間電圧に√3と線電流を掛けるので、ここで√3が戻ってきます。
三相の充電容量
Qc = √3 × V×103 × Ic
= √3 × V×103 × (ωCV×10-3 ÷ √3)
= ωCV² [V·A] → ωCV² × 10-3 [kV·A]
引っかけの核心は、途中で出てくる√3を最後まで残してしまうところです。割るときと掛けるときで同じ√3が1回ずつ出るので、必ず消えます。
選択肢1は、その√3が1回だけ残った形です。電流を出すところで割ったあと、容量にするところで掛け忘れると、この式になります。
選択肢2はVが1乗のままです。電圧は電流を求めるときに1回、容量を求めるときにもう1回使うので、2乗になります。
| 選択肢 | 式 | どこで間違えたか |
|---|---|---|
| 1 | (1/√3)ωCV | √3を掛け忘れ、Vも1乗のまま |
| 2 | ωCV | Vが1乗。電流のままで止まっている |
| 3 | ωCV² | 正しい |
| 4 | 3ωCV² | √3で割らずに3倍した |
選択肢4は、相電圧に直さないまま3線分を足した形です。1線ずつの容量を3倍するなら、電圧は相電圧を使わなければなりません。線間電圧のまま3倍すると3倍大きくなります。
この式が問題になるのは、地中送電線路の静電容量が架空送電線路よりずっと大きいからです。
| 項目 | 地中(ケーブル) | 架空 |
|---|---|---|
| 静電容量 | 大きい | 小さい |
| 理由 | 導体としゃへい層が近い | 電線どうしが離れている |
| 充電電流 | 大きい | 小さい |
ケーブルは導体のすぐ外側を絶縁体で覆い、その外にしゃへい層があります。極板の距離が近いコンデンサと同じ形なので、静電容量が大きくなります。無負荷でも充電電流が流れるので、その分を見込む必要があります。
充電容量の式で√3が消えるのはなぜか。
充電電流を求めるとき線間電圧を√3で割り、三相の容量にするとき√3を掛けるためです。1回ずつ出るので打ち消し合います。
地中送電線路の静電容量が架空より大きいのはなぜか。
ケーブルは導体とその外側のしゃへい層が近く、極板の距離が近いコンデンサと同じ形になるためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月