令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.24は、架空送電線路におけるコロナ放電の抑制対策として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、コロナ放電が何で決まるかを分かっているかを問うものです。電線表面の電位傾度を下げれば起きなくなるので、素導体数は増やします。
減らすと逆に電位傾度が上がります。
正解:選択肢1(素導体数を減らす)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 素導体数を減らす | 増やすのが対策。不適当 |
| 2 | がいし装置にシールドリング | 電界を分散させる。適当 |
| 3 | より太い電線を使用する | 表面の電位傾度が下がる。適当 |
| 4 | 金具の突起をなくし丸みを持たせる | 電界の集中を避ける。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、選択肢3で「太くする」という増やす方向の対策が示されているのに、選択肢1だけ「減らす」になっているところです。この2つは同じことを別の言い方でやっています。
コロナ放電は、電線の表面付近の空気が電界に耐えられなくなって起きる放電です。決めるのは電線表面の電位傾度で、これは電圧が同じなら電線が太いほど下がります。
多導体は、細い電線を数本まとめて1本の太い電線のように見せる方式です。素導体数を増やせば見かけの太さが増し、表面の電位傾度が下がります。
| 操作 | 見かけの太さ | コロナ |
|---|---|---|
| 素導体数を増やす | 太くなる | 起きにくい |
| 素導体数を減らす | 細くなる | 起きやすい |
| 太い電線にする | 太くなる | 起きにくい |
超高圧の送電線で多導体が使われるのは、この理由が大きいところです。1本で同じ効果を出そうとすると、電線が重くなりすぎて鉄塔が持ちません。
同じ論点は令和5年度 2級(後期)No.18にも出ています。そちらは選択肢1が「電線のねん架を行う」で、公表正答は1でした。つまりシールドリングと金具の丸みは、コロナ対策として正しい肢と確定しています。
ねん架がコロナ対策にならないのは、目的が違うからです。ねん架は各相の位置を入れ替えてインダクタンスと静電容量の不平衡を減らすためのもので、電線表面の電界には関係しません。
選択肢2のシールドリングは、がいし連の端に付ける金属の輪です。がいし連は電圧が均等にかからず、電線側の1個目に電圧が集中します。シールドリングを付けると電界が分散し、その集中が和らぎます。
選択肢4の金具の丸みは、電界の集中を避けるためです。とがった部分には電界が集まるので、そこからコロナが始まります。突起をなくして丸くすれば、電界が一点に集まりません。
コロナ放電が起きると、次のような害があります。
| 害 | 内容 |
|---|---|
| コロナ損 | 電力が放電で失われる |
| 雑音障害 | ラジオやテレビに雑音が入る |
| 騒音 | じりじりという音がする |
| 電線の劣化 | オゾンや硝酸ができて金具を腐食させる |
素導体数を増やすとコロナが起きにくくなるのはなぜか。
束全体が1本の太い電線のようにふるまい、見かけの太さが増して電線表面の電位傾度が下がるためです。
がいし装置の金具に丸みを持たせるのはなぜか。
とがった部分には電界が集中してコロナの起点になるためです。丸くすれば電界が一点に集まりません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月