令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.25は、配電系統の保護に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、故障の種類と継電器の組合せが合っているかを問うものです。地絡を見つけるのは地絡継電器で、過電流継電器ではありません。
過電流継電器は短絡や過負荷の担当です。
正解:選択肢1(地絡保護のために過電流継電器)
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| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 地絡保護のために過電流継電器 | 地絡継電器を使う。不適当 |
| 2 | 柱上変圧器の一次側に避雷器 | 雷サージから機器を守る。適当 |
| 3 | 短絡保護のため電路に過電流遮断器 | 大電流を切る。適当 |
| 4 | 柱上変圧器の一次側に高圧ヒューズ | 低圧側の故障を高圧側で切る。適当 |
不適当なのは選択肢1です。
引っかけの核心は、選択肢3で過電流遮断器が短絡保護として正しく使われているので、選択肢1の過電流継電器も正しく見えるところです。器具は似ていますが、見ている電流が違います。
| 継電器 | 見ているもの | 担当する故障 |
|---|---|---|
| 地絡継電器(GR) | 零相電流 | 地絡 |
| 過電流継電器(OCR) | 各相の電流の大きさ | 短絡・過負荷 |
地絡は、電線が大地とつながってしまう故障です。高圧配電線路は中性点が非接地または高抵抗接地なので、地絡が起きても流れる電流はごくわずかです。
数アンペア程度なので、負荷電流の中に埋もれてしまい、電流の大きさを見ている過電流継電器では気づけません。
そこで地絡継電器は、3相の電流をまとめて測ります。健全なら3相の合計は0ですが、地絡があるとその分だけ合計が0でなくなります。この差が零相電流です。
零相電流
3I0 = Ia + Ib + Ic
健全時は0。地絡があると0でなくなる
測るには零相変流器(ZCT)を使います。3線をまとめて1つの環に通すので、合計だけが出てきます。
選択肢2の避雷器は、柱上変圧器を雷から守る機器です。高圧側から入ってくる雷サージを大地へ逃がすので、一次側に設けます。
選択肢3の過電流遮断器は、短絡電流を切るための機器です。短絡すると負荷電流の何十倍もの電流が流れるので、大きさを見れば判別できます。地絡とは電流の桁が違います。
選択肢4の高圧ヒューズは、柱上変圧器の一次側に入れます。低圧側で短絡が起きても、その電流は変圧器を通って一次側にも現れます。一次側で切れば、低圧側の故障を配電線路から切り離せます。
| 故障 | 電流の大きさ | 検出のしかた |
|---|---|---|
| 地絡 | 数A | 零相電流。合計が0でなくなるのを見る |
| 短絡 | 数千A | 電流の大きさをそのまま見る |
地絡保護に過電流継電器が使えないのはなぜか。
高圧配電線路は非接地または高抵抗接地で地絡電流が数アンペアと小さく、負荷電流に埋もれてしまうためです。零相電流を見る地絡継電器を使います。
低圧側の短絡故障に対し、なぜ一次側の高圧ヒューズで切れるか。
低圧側の短絡電流が変圧器を通って一次側にも現れるためです。一次側で切れば故障を配電線路から切り離せます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月