令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.20は、電力系統の供給信頼度の向上対策に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、点検で機器を止めてよい時期はいつかを分かっているかを問うものです。点検は軽負荷期に寄せます。年間で平均化するのではありません。
需要の山が来るときに、設備を止めておく余裕はありません。
正解:選択肢2(年間を通して平均化する)
> この論点をやさしく解説:供給信頼度とは?多重化・連系・予備力など高める手段を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 機器はできる限り並列接続する | 1台停止でも供給が続く。適当 |
| 2 | 点検は負荷の軽重に関わらず平均化 | 軽負荷期に寄せる。不適当 |
| 3 | 連系線で広域運営を行う | 融通し合える。適当 |
| 4 | 多重化や自動監視で継電装置の信頼度を上げる | 冗長化と常時監視。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、点検を平均化すると作業の人手も平らになるので、計画として正しそうに聞こえるところです。これは供給する側の都合であって、供給信頼度を上げる話ではありません。
点検の間、その機器は系統から外れます。外れている間に別の設備が故障すると、供給できる余力が一気になくなります。
だから点検は、需要が少ない時期に寄せます。日本では夏と冬に需要の山が来るので、その間の春と秋が軽負荷期です。
| 時期 | 需要 | 点検 |
|---|---|---|
| 夏(冷房) | 山 | 避ける |
| 春・秋 | 谷 | ここに寄せる |
| 冬(暖房) | 山 | 避ける |
選択肢1の並列接続は、供給信頼度の基本です。1台の変圧器で送っていると、その1台が止まった時点で停電します。2台を並列にしておけば、1台を止めても残りで送れます。
送電線も同じで、2回線で送っておけば1回線の故障で止まりません。同じ役目のものを複数用意して、1つ壊れても続けられるようにするのが並列接続と多重化の考え方です。
選択肢3の連系は、その考え方を電力会社をまたいで広げたものです。
| 設備 | はたらき |
|---|---|
| 交流連系線 | 同じ周波数の地域どうしをつなぐ |
| 直流連系線 | 周波数が違う地域や、海をまたぐ区間をつなぐ |
| 周波数変換設備 | 50Hzと60Hzの境で電力をやりとりする |
連系しておけば、どこかで電源が足りなくなったときに他の地域から融通してもらえます。予備の設備を各社が別々に持つより少なくて済むという利点もあります。
選択肢4は、保護継電装置そのものを守る話です。継電器が動かなければ故障が広がるので、2系列用意する多重化と、常に状態を見る自動監視で信頼度を上げます。
機器の定期点検を軽負荷期に寄せるのはなぜか。
点検中はその機器が系統から外れるためです。需要の山と重なると、別の設備が故障したときに供給余力がなくなります。
周波数変換設備は何のための設備か。
50Hzの地域と60Hzの地域の間で電力をやりとりするための設備です。連系による広域運営を支えます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月