令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.19は、事故波及防止保護リレーシステムの設置目的として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、設備を守る保護と、系統全体を守る保護の区別がついているかを問うものです。母線保護は、その母線という設備を切り離すための保護です。
波及を防ぐ側ではなく、波及の元になる故障を取り除く側にあります。
正解:選択肢2(母線保護)
> この論点をやさしく解説:母線保護とは?電流差動・位相比較・温度継電方式の見分け方を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 脱調保護 | 同期が外れた系統を切り離す。適当 |
| 2 | 母線保護 | 設備の保護。不適当 |
| 3 | 周波数低下防止保護 | 負荷遮断で周波数を守る。適当 |
| 4 | 過負荷防止保護 | 線路の連鎖遮断を防ぐ。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、4つとも「保護」で終わる言葉なので、並べられると同じ仲間に見えるところです。分かれ目は守る対象が設備か系統全体かです。
| 区分 | 守る対象 | 例 |
|---|---|---|
| 設備保護 | その機器・区間 | 母線保護・変圧器保護・送電線保護 |
| 事故波及防止 | 系統全体 | 脱調保護・周波数低下防止・過負荷防止・電圧低下防止 |
母線保護は、母線で短絡や地絡が起きたときに、その母線につながる遮断器をまとめて開いて故障点を切り離します。目的はその母線と機器を守ることです。
事故波及防止は、故障が取り除かれたあとに系統が不安定になって崩れていくのを止めるためのしくみです。順番でいえば、設備保護が先で、事故波及防止が後になります。
選択肢1の脱調は、発電機どうしの同期が保てなくなった状態です。位相がずれたまま繋がっていると大きな電流が行き来して被害が広がるので、脱調保護は系統を分割して切り離します。
選択肢3の周波数低下は、電源が急に失われたときに起きます。
| 状態 | 起きること |
|---|---|
| 発電<需要 | 周波数が下がる。放っておくと発電機が次々に脱落する |
| 対策 | 一部の負荷を切って、発電と需要を釣り合わせる |
周波数が下がると発電機の補機が動かなくなり、その発電機も止まります。すると発電がさらに減って周波数がもっと下がる、という連鎖になります。先に負荷を切り離して止めるのが周波数低下防止保護です。
選択肢4の過負荷防止も同じ形の連鎖です。1本の線路が故障で開くと、その分の電流が残りの線路へ回ります。回された線路が過負荷で開くと、また次の線路へ回るので、途中で止めます。
母線保護が事故波及防止に当たらないのはなぜか。
その母線という設備を守るために故障点を切り離す保護だからです。事故波及防止は、故障のあとに系統全体が崩れるのを止めるしくみです。
周波数低下防止保護は何をするか。
一部の負荷を切り離して、発電と需要を釣り合わせます。周波数の低下で発電機が次々に脱落する連鎖を止めるためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月