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ベント形の補水って、必要なの?要らないの?
内部抵抗も増えると減るの両方が出てきて、混乱する…。
この記事の要点
据置鉛蓄電池とは、動かさずに据え置いて使う鉛蓄電池で、ベント形と制御弁式の2つに分かれるもののことです。
ベント形は使用中の補水が必要です。不要と書いた肢は2年度とも誤りとされています。
内部抵抗は、残存容量が減ると増大します。減少と書いた肢は2年度とも誤りです。
据置鉛蓄電池は、ガスをどう扱うかで2つの形に分かれます。
その分かれ方は、規格の部編成にそのまま表れています。
JIS C 8704-2-1:2019「据置鉛蓄電池-第2-1部:制御弁式-試験方法」(規格群の部編成)
JIS C 8704の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 8704-1 第1部:ベント形
(JIS C 8704-1は2022年の改正で「第1部:ベント式」に表記が変わっている。)
JIS C 8704-2-1 第2-1部:制御弁式−試験方法
JIS C 8704-2-2 第2-2部:制御弁式−要求事項
単電池についても同じ規格に定義があります。
同 3.9(単電池)
エネルギーの直接変換で電気エネルギー源となる基本的な機能単位。電極及び電解液から構成される蓄電池では,公称電圧2 Vである。セル(素電池)ともいう。
充電すると、電解液の水が分解して酸素ガスと水素ガスが出ます。出ていった分だけ電解液は減ります。だからベント形は使用中の補水が必要になります。
制御弁式は通常密閉しているので、ガスは中に留まって水に戻ります。減らないので補水は要りません。補水が要るか要らないかは、ガスを外へ出すかどうかで決まります。
この分かれ方は、出題のほぼ全部に効きます。ベント形の話か制御弁式の話かを読み違えると、補水・ガス・密閉のどれも逆になります。
据置鉛蓄電池は、停電したときに動く設備の電源として据え付けられます。何分間もたせるかは設備ごとに決まっており、そこは非常電源の容量で扱っています。非常コンセント設備のように、蓄電池設備を非常電源として認めている設備もあります。
1級・2級あわせて、誤りとされた肢を論点ごとに並べます。
| 論点 | 正しい向き | 誤りの形(出た年度) |
|---|---|---|
| ベント形の補水 | 必要である | 不要である(平成26年度・平成29年度1級/平成30年度2級) |
| 酸霧 | 脱出しないようにする | 放出するようにする(平成30年度1級) |
| 制御弁式のガス | 通常は密閉、内圧超過で放出 | 前半と後半を入れ替える(令和5年度1級) |
| 内部抵抗 | 残存容量が減ると増大 | 減少(令和元年度・令和3年度1級) |
| クラッド式の極板 | 正極だけがクラッド式 | 正負ともにクラッド式(平成28年度1級) |
| 電解液 | 希硫酸 | 水酸化カリウム水溶液(平成29年度2級) |
| 水素ガス | 充電で発生 | 放電により発生(令和元年度・令和5年度2級) |
| 電解液の比重 | 放電すると下がる | 放電すると上がる(令和4年度2級) |
| 自己放電 | 温度が高いほど大きい | 温度が高いほど小さい(令和7年度2級) |
| HS形とCS形 | ー | HS形はCS形より長寿命(令和6年度1級) |
10の論点のうち9つが、述語を反対に書き換えただけの形です。主語も対象語も同じで、末尾の2語か3語しか違いません。
補水の肢は分かりやすい例です。平成26年度・平成29年度の「使用中補水が不要である」と、令和3年度の「使用中補水が必要である」は、末尾の2文字以外が一字も違いません。
制御弁式だけは作り方が違い、前半と後半をそっくり入れ替えてあります。令和5年度の「通常の条件下ではガスを放出するが、内圧が規定値を超えた場合、密閉状態となる」は、使われている語がすべて正しい肢と同じです。語ではなく順序を見ないと切れません。
極板は、正極と負極の組み合わせで問われます。ペースト式は正負ともにペースト式、クラッド式は正極だけがクラッド式で、負極はペースト式です。同じ形にそろえた肢が誤りにされています。
2級では、電池の中で何が起きるかが問われます。放電すると電解液の希硫酸が薄くなるので比重は下がり、充電すると回復します。水素ガスが出るのは充電のときで、放電で水素ガスが発生すると書いた肢は2年度とも誤りです。
例えば、「ベント形は使用中の補水が不要である」は誤りです。主語も語も正しい肢と同じで、末尾の「必要」を「不要」に変えただけです。
言い換えると、「肢を切る場所は主語ではなく、末尾の述語にある」ということです。
次の4つは、繰り返し出ていながら一度も誤りにされていません。
| 記述 | 出所 |
|---|---|
| 蓄電池から取り出せる容量は、放電電流が大きくなるほど減少する | 平成26年度・平成29年度・令和元年度・令和6年度 1級 |
| 定格容量は、規定の条件下で放電終止電圧まで放電したときに取り出せる電気量である | 平成26年度・平成29年度・令和元年度・令和3年度・令和6年度 1級 |
| 触媒栓は、充電時に発生するガスを触媒反応で水に戻す機能をもつ | 平成29年度・令和4年度・令和7年度 2級/令和3年度・令和5年度 1級 |
| 単電池の公称電圧は2Vである | 平成29年度・令和元年度・令和4年度 2級 |
この4つの肢は読み飛ばして構いません。触媒栓は5年度、公称電圧2Vは3年度出ていますが、誤りにされたことは一度もありません。
停電したときに電気を出す側としては、ディーゼル発電設備も同じ役割を持ちます。
1級で8年度、2級で6年度に出ています。据置鉛蓄電池は、この試験で最も出題数の多い論点のひとつです。
級によって問う中身が分かれます。1級はベント形と制御弁式の区別や極板の種類、2級は電池の中で何が起きるかです。電解液が希硫酸であること、放電で比重が下がること、水素ガスは充電で出ることは、2級にしか出ていません。
誤りの作り方は2つだけです。
令和6年度1級No.11の「ベント形蓄電池のHS形は、CS形より長寿命である」だけは、どちらが長寿命かを示した肢が公表された問題に出てきません。ここでは、誤りとされた形だけを書いています。
補水は必要、酸霧は脱出させない、内部抵抗は増大。この3つで大半が切れます。
据置鉛蓄電池の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
ベント形と制御弁式:JIS C 8704の規格群は、第1部がベント形、第2-1部と第2-2部が制御弁式です。ベント形は補水が必要、制御弁式は密閉が通常で内圧超過時にガスを放出すると出題されています。
クラッド式とペースト式:ペースト式は正負ともにペースト式極板。クラッド式は正極にクラッド式極板、負極にペースト式極板です。
脱出しないようにと放出するように:ベント形の排気栓は前者です。制御弁式のガス放出とは別の話なので、主語を先に読みます。
内部抵抗と容量:内部抵抗は残存容量が減ると増大、取り出せる容量は放電電流が大きくなるほど減少します。向きが逆なので、どちらの話かを確かめます。
ベント形蓄電池は、使用中の補水が必要か?
必要です。不要とした肢は2年度とも誤り、必要とした肢は正しい側に置かれています。
蓄電池の内部抵抗は、残存容量が減るとどうなるか?
増大します。減少と書いた肢は令和元年度と令和3年度の2年度とも誤りとされています。
クラッド式鉛蓄電池は、正極と負極にどんな極板を用いるか?
正極にクラッド式極板、負極にペースト式極板です。正負ともにクラッド式とした肢は誤りとされています。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の規格・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
この問題は、1文のうち2語だけを入れ替えて作られています。文の前半が同じでも安心できません。
読むべきは末尾です。補水は「必要」、酸霧は「脱出しないように」、内部抵抗は「増大する」。この3つの述語を覚えてから肢の末尾を見てください。