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非常電源の容量とは?設備ごとの分数を条文の引き先で整理

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設備ごとに分数が違って、覚えきれない…。

まとめて覚えられる決まりって、無いの?

この記事の要点

非常電源とは、常用電源が停電したときに自動で切り替わる電源のことです。

多くの設備は30分間です。

20分間と書いた肢が、4年度とも答えでした。

非常電源の容量は、設備ごとに消防法施行規則で決まっています。

ただし多くの設備は、同じ号を引く形で書かれています。消防用設備等ごとに数値を覚え直すのではなく、どの号を引いているかで分けると整理できます。

基準になるのは30分間

大もとは屋内消火栓設備の号です。

消防法施行規則 第12条第1項第四号(抜粋)

四 屋内消火栓設備の非常電源は、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備(法第十七条の二の五第二項第四号に規定する特定防火対象物(以下「特定防火対象物」という。)で、延べ面積が千平方メートル以上のもの(第十三条第一項第二号に規定する小規模特定用途複合防火対象物を除く。)にあつては、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備)によるものとし、次のイからホまでに定めるところによること。

ロ 自家発電設備は、イ((ホ)及び(ト)を除く。)の規定の例によるほか、次の(イ)から(ニ)までに定めるところによること。

(イ) 容量は、屋内消火栓設備を有効に三十分間以上作動できるものであること。

(ロ) 常用電源が停電したときは、自動的に常用電源から非常電源に切り替えられるものであること。

ハ 蓄電池設備は、イ((ホ)及び(ト)を除く。)及びロ(イ)の規定の例によるほか、次の(イ)から(ニ)までに定めるところによること。

  • 基準の号:第12条第1項第四号。
  • 非常電源の種類:非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備の4つ。
  • 容量:30分間以上。
  • 切替え:停電したとき自動で行う。

30分間はロ、つまり自家発電設備の規定です。蓄電池設備のハと燃料電池設備のニは、いずれも「ロ(イ)の規定の例による」と書いているので、どの種類を選んでも容量は30分間になります

種類のほうも問われました。令和8年度2級第一次検定(前期)No.25は「屋内消火栓設備の非常電源として、消防法上、定められていないもの」を選ばせる形で、公表正答は4の「無停電電源設備」です。蓄電池設備・燃料電池設備・自家発電設備の3つは柱書に並んでいます。

この号を引いている設備が多くあります。排煙設備も非常コンセント設備も第12条第1項第四号です。スプリンクラー設備も同じで、いずれも30分間になります。

引き方の言い回しは3通りあります。

  • 排煙設備とスプリンクラー設備は「規定の例により」。
  • 非常コンセント設備は「規定に準じて」。
  • 不活性ガス消火設備は「ロからホまでの規定の例により」。

どれも同じ号を指すので、容量の読み方は変わりません。準用の言い回しで中身が変わるかは、P型2級受信機でも同じ形で出てきます。

消防法施行規則 第30条第八号(排煙設備)/第31条の2第八号(非常コンセント設備)

第30条第八号 非常電源は、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。

第31条の2第八号 非常電源は、第十二条第一項第四号の規定に準じて設けること。

言い回しは違いますが、引く先は同じです。言い換えると、「どちらも容量は30分間になる」ということです。

  • 排煙設備:規定の例により設ける。
  • 非常コンセント設備:規定に準じて設ける。
  • 結果:どちらも30分間。

20分間は誘導灯の値

4年度は、この20分間を別の設備に付けています。

消防法施行規則 第28条の3第4項第十号(誘導灯)

非常電源は、直交変換装置を有しない蓄電池設備によるものとし、その容量を誘導灯を有効に二十分間(消防庁長官が定める要件に該当する防火対象物の…避難口…に設けるものにあつては、六十分間)作動できる容量とすること。

平成30年度 1級 No.41 選択肢2/令和4年度 1級 No.40 選択肢2(どちらも答え)

平成30年度 排煙設備 20分間以上

令和4年度 非常コンセント設備 20分間

狂わせた値も、置いた位置も、4年度で同じです。

誘導灯の側からも出ています。

令和7年度 1級 No.36 選択肢1(正しい側)

事務所ビルの規模が地上3階建て、延べ面積3000m²であるので、誘導灯の非常電源の容量は、誘導灯を有効に20分間作動できる容量以上とする。

この年度は誘導灯そのものが主題で、20分間は正しい側に置かれました。同じ20分間でも、誘導灯に付けば正しく、他の設備に付けば誤りになります

括弧書きの60分間のほうも、単独で問われた年度があります。平成29年度1級学科試験No.40は「主要な避難経路に設ける誘導灯の非常電源の容量を60分間以上としなければならない防火対象物として、定められていないもの」を選ばせる形で、公表正答は3でした。

10分間と30分間も単独で問われる

容量の数値そのものを空欄にする形もあります。

令和5年度 2級 第一次検定(前期)No.28(公表正答1)

自動火災報知設備を有効に  分間作動することができる容量以上であること。(選択肢=10/20/30/60)

答えは10です。自動火災報知設備の10分間は、表の中の値であると同時に、それだけで1問になります。

30分間のほうは、別の設備の設問に正しい側として紛れます。平成28年度1級学科試験No.41は非常コンセント設備を主題にした設問で、公表正答は2、つまり「非常電源として附置する自家発電設備は30分間以上電源供給できるものとする」は正しい側でした。

非常コンセント設備が30分間であることは、この年度が裏から証明しています。

設備ごとの容量を並べる

容量は「どの号を引いているか」で決まる 第12条第1項第四号 → 30分間 屋内消火栓設備(大もと) スプリンクラー設備・排煙設備 非常コンセント設備 「規定の例により」「規定に準じて」 第24条第四号 → 10分間 自動火災報知設備(大もと) 非常警報設備 無線通信補助設備はこの号を引くが 容量は自分で30分間と書いている 条文が自分で容量を書いている設備 誘導灯 20分間(一部60分間)   ガス漏れ火災警報設備 2回線10分間 不活性ガス消火設備 1時間     連結送水管の加圧送水装置 2時間 20分間が付くのは誘導灯だけ。他の設備に付いていれば誤り。
容量がどこから来ているかを分けるための図です。条文の並び順や号の数を表したものではありません。数値はいずれも消防法施行規則の値です。
設備 容量 条文
自動火災報知設備 10分間 規則 第24条第四号ロ
非常警報設備 10分間 規則 第25条の2第2項第五号
誘導灯 20分間 規則 第28条の3第4項第十号
屋内消火栓設備 30分間 規則 第12条第1項第四号ロ(イ)
スプリンクラー設備 30分間 規則 第14条第六号
排煙設備 30分間 規則 第30条第八号
非常コンセント設備 30分間 規則 第31条の2第八号
無線通信補助設備の増幅器 30分間 規則 第31条の2の2第七号ロ
不活性ガス消火設備 1時間 規則 第19条
連結送水管の加圧送水装置 2時間 規則 第31条第七号

例えば、10分間と書いてあれば自動火災報知設備か非常警報設備、1時間なら不活性ガス消火設備です。誘導灯だけが蓄電池設備によると条文で名指しされており、直交変換装置を有しないものに限られます。

20分間を付ける設備だけが入れ替わる

平成26年度
1級 No.40
平成30年度
1級 No.41
令和4年度
1級 No.40
令和6年度
1級 No.36
1 自動火災報知設備
10分間以上
非常警報設備
10分間以上
自動火災報知設備
10分間
自動火災報知設備
10分間以上
2 スプリンクラー設備
20分間以上
排煙設備
20分間以上
非常コンセント設備
20分間
排煙設備
20分間以上
3 屋内消火栓設備
30分間以上
スプリンクラー設備
30分間以上
屋内消火栓設備
30分間
スプリンクラー設備
30分間以上
4 不活性ガス消火設備
1時間以上
不活性ガス消火設備
1時間以上
不活性ガス消火設備
60分間
不活性ガス消火設備
1時間以上

4年度とも、上から10分間・20分間・30分間・1時間の順に並んでいます。20分間の行が答えになるところも同じで、動いているのは、その20分間を付ける設備の名前だけです。

入れ替わるのはスプリンクラー設備・排煙設備・非常コンセント設備の3つで、いずれも30分間です。

選択肢4は4年度とも不活性ガス消火設備で、すべて正しい側です。

まちがえやすいポイント

肢の並びが4年度でよく似ています。

1が10分間、2が20分間、3が30分間、4が1時間。数字が順に並んでいるので、条文を知らないと2が自然に見えます。

実際は20分間だけが別の設備の値です。排煙設備も非常コンセント設備も30分間で、20分間は誘導灯です。

混同しやすい数値

20分間と30分間:20分間は誘導灯です。排煙設備と非常コンセント設備は30分間です。

10分間自動火災報知設備です。ガス漏れ火災警報設備も2回線を10分間です。

1時間と2時間:不活性ガス消火設備が1時間、連結送水管の加圧送水装置が2時間です。

規定の例と規定に準じて:排煙設備は「規定の例により」、非常コンセント設備は「規定に準じて」ですが、引く先はどちらも同じ号です。

この論点は、次の順に確かめます。

  • 1つ目 20分間があれば、その設備が誘導灯かを見ます。
  • 2つ目 排煙設備と非常コンセント設備は30分間です。
  • 3つ目 10分間は自動火災報知設備、1時間は不活性ガス消火設備です。
  • 狂わせる先:スプリンクラー設備・排煙設備・非常コンセント設備と入れ替わります。
  • 変わらない点:4年度とも選択肢2で、値も20分間で同じ。
  • 正しい値:この3つはいずれも30分間です。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 20分間を疑う:誘導灯以外に付いていれば答えです。
  • 30分間の仲間を覚える:屋内消火栓・排煙・非常コンセント・無線通信補助設備の増幅器。
  • 10分間は警報の側:自動火災報知設備とガス漏れ火災警報設備です。
  • 時間単位は消火と送水:不活性ガス1時間、連結送水管2時間です。
  • 数字の並びに乗らない:10・20・30・60と並ぶ形で出されます。

理解度チェック

Q.

排煙設備の非常電源の容量はいくつか?

30分間です。規則第30条第八号が第12条第1項第四号の規定の例によるとしています。

Q.

非常電源の容量が20分間の設備はどれか?

誘導灯です。要件に該当する避難口などに設けるものは60分間になります。

Q.

自動火災報知設備の非常電源の容量はいくつか?

10分間です。規則第24条第四号ロに、有効に10分間作動することができる容量以上と書かれています。

Q.

非常電源は、常用電源が停電したときどうなるか?

自動的に常用電源から非常電源に切り替えられます。規則第12条第1項第四号ロ(ロ)の規定です。

まとめ

  • 排煙設備と非常コンセント設備は30分間で、どちらも第12条第1項第四号を引く。
  • 20分間は誘導灯の値。4年度とも選択肢2にこの値が置かれた。
  • 自動火災報知設備は10分間、不活性ガス消火設備は1時間。
  • 連結送水管の加圧送水装置は2時間、無線通信補助設備の増幅器は30分間。
  • 非常電源の種類は非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備の4つ。無停電電源設備は入らない(令和8年度2級前期No.25)。
  • 数値そのものを空欄にする形もある(令和5年度2級前期No.28=自動火災報知設備は10分間)。

参考資料

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第四号(柱書・ロ・ハ・ニ)/第19条/第24条第四号/第28条の3第4項第十号/第30条第八号/第31条第七号/第31条の2第八号/第31条の2の2第七号ロ(e-Gov法令検索
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成26年度・平成28年度・平成29年度・平成30年度・令和4年度・令和6年度・令和7年度
  • 同「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和5年度(前期)・令和8年度(前期)
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