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回転子の形って、年度によって違って見えない?
そもそも、なんで形が2種類あるの?
この記事の要点
水車発電機とは、水力発電所で水車に直結して回される同期発電機のことです。
水車は蒸気タービンよりゆっくり回ります。同じ周波数を出すには、回転が遅いぶん極数を多くする必要があります。
極数が多いと磁極を円周にたくさん並べることになり、突き出た形になります。これが突極形です。軸方向に長い円筒形はタービン発電機の側です。
水車発電機の特徴は、すべて「回転が遅い」の一点から出てきます。
極数も、回転子の形も、軸の向きも、そこから決まります。
水力発電所では、水の落差で水車を回し、その軸に直結した発電機を回します。この発電機が水車発電機です。
発電機は同期発電機なので、出す電気の周波数は回転速度と極数で決まります。回転が遅ければ、そのぶん極数を増やさないと同じ周波数になりません。
水車は水の流れで回るので、蒸気タービンほど速く回せません。だから水車発電機は極数が多くなります。
同期発電機の回転速度と極数と周波数は、たがいに結び付いています。周波数を50Hzや60Hzに保ったまま回転を遅くするには、極数を増やすしかありません。
蒸気タービン発電機の極数が2極または4極しかないのは、その逆です。高速で回るので、少ない極数でも周波数が足ります。
出題でも「極数は、蒸気タービン発電機より多い」「回転速度は、タービン発電機より遅い」が、いずれも正しい肢として置かれています。
極数が多いということは、N極とS極を円周にたくさん並べるということです。
並べるには、磁極を1つずつ外向きに突き出させる形が作りやすくなります。これが突極形です。
一方、蒸気タービン発電機は極数が2極または4極しかありません。そのぶん高速で回ります。
高速で回るものに磁極が突き出ていると、遠心力で振り回されます。だから表面を滑らかな円筒にして、溝に巻線を埋め込みます。これが円筒形です。
言い換えると、「軸方向に長い円筒形はタービン発電機の側」ということです。
例えば令和7年度2級(前期)No.11では、「回転子は、軸方向に長い円筒形が多い」が最も不適当な肢とされました。令和2年度・令和5年度は「軸方向に長い円筒形が多く使用される」という書き方で、同じ論点が誤りです。
回転が遅くなる理由は水車の側にあります。種類ごとの違いは水車の種類にまとめました。同じ水力発電所の設備としては揚水発電があります。
両者を並べると、次のようになります。
| 項目 | 水車発電機 | 蒸気タービン発電機 |
|---|---|---|
| 回転速度 | 遅い | 速い |
| 極数 | 多い | 2極または4極 |
| 回転子 | 突極形 | 軸方向に長い円筒形 |
| 軸形式 | 立軸形(大容量低速機)・横軸形 | 横軸形 |
| 短絡比 | 大きい | 小さい |
| 大容量機の冷却 | ー | 水素冷却方式 |
タービン発電機の側でも同じ論点が出ます。「回転子は突極形が採用される」「軸形式は立軸形が採用される」と書いた肢は、いずれも誤りとされました。水車発電機の特徴をタービン発電機に貼り替えた形です。
出たのは3年度です。令和元年度 2級(前期)No.13の選択肢4と令和3年度 2級(後期)No.13の選択肢3が「回転子は、突極形が採用される」で、令和3年度はこれが最も不適当な肢でした。令和6年度 2級(前期)No.11は選択肢2の「軸形式は、立軸形が採用される」が最も不適当な肢です。令和3年度の選択肢4「軸形式は、横軸形が採用される」は正しい側でした。
水車発電機は、軸を縦にする立軸形と、横にする横軸形があります。
立軸形は大容量低速機に適しています。小容量の高速機と書いた肢は、平成27年度・平成30年度の2年度とも誤りとされました。
軸を縦にすると、水車と発電機を上下に積めます。だから床を占める面積が小さくなります。立軸形は据付面積を小さくできる、という肢が正しい側に置かれているのはこのためです。
その代わり、回転子と水車の重さがそのまま下向きに掛かります。この軸方向の荷重を支えるのがスラスト軸受です。横軸形では重さが横に分散するので、この軸受が要りません。
スラスト軸受の肢は5年度とも正しい側に置かれています。立軸形の話が出たら、スラスト軸受はセットで正しい側と考えて構いません。
据付けの工事でも立軸は論点になります。令和7年度2級(前期)No.46では、「立軸の水車と発電機の心出しは、ロータリエンコーダを用いて行った」が最も不適当な肢とされました。上下に積む機械なので、軸の中心を合わせる作業が欠かせません。
発電機を系統につないだあとの運転は、発電機の運用で扱います。
2級で5年度、同じテーマで出ています。引っかけは大きく2つです。
| 年度・級・問 | 誤りとされた記述 |
|---|---|
| 平成27年度 2級 学科No.13 | 立軸形は、横軸形に比べて小容量の高速機に適している ←② |
| 平成30年度 2級 学科(前期)No.13 | 同じ文(小容量高速機) ←② |
| 令和2年度 2級 学科(後期)No.13 | 回転子は、軸方向に長い円筒形が多く使用される ←① |
| 令和5年度 2級 第一次(後期)No.13 | 同じ文(円筒形) ←① |
| 令和7年度 2級 第一次(前期)No.11 | 回転子は、軸方向に長い円筒形が多い ←① |
令和2年度以降は、「ただし、発電機は同期発電機とする」という条件が付くようになりました。誤りにされる肢は3年度とも回転子の形です。
回転子は突極形。立軸形は大容量低速機です。
混同しやすい語
突極形と円筒形:水車発電機が突極形、蒸気タービン発電機が軸方向に長い円筒形です。
立軸形と横軸形:立軸形は大容量低速機に適し、据付面積を小さくできます。
スラスト軸受:立軸形が持つ、軸方向の荷重を支える軸受です。5年度とも正しい肢に置かれています。
なぜ水車発電機の回転子は突極形になるのか?
水車は蒸気タービンより回転が遅く、同じ周波数を出すには極数を多くする必要があるためです。多くの磁極を円周に並べると、突き出た形になります。逆に高速で回るタービン発電機は、遠心力に耐えるため表面のなめらかな円筒形にします。
水車発電機の回転子は、一般にどんな形か?
突極形です。軸方向に長い円筒形と書いた肢は3年度とも誤りとされています。
立軸形は、横軸形に比べてどんな機に適しているか?
大容量低速機です。小容量高速機と書いた肢は2年度とも誤りとされています。
水車発電機の短絡比は、蒸気タービン発電機と比べてどうか?
大きいほうです。3年度とも正しい肢に置かれています。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
2つの論点は、どちらも蒸気タービン発電機との対比で成り立っています。
タービン発電機は高速で回るので円筒形の回転子、水車発電機は低速なので突極形の回転子です。速いか遅いかを先に押さえると、形も向きも連動して決まります。