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水車の名前が多すぎて、どれが衝動でどれが反動なの?
分ける決まりって、どこかに書いてあるの?
この記事の要点
水車とは、水のもつエネルギーを機械的エネルギーに変える回転機械のことです。
流水の受け方で衝動水車と反動水車に分かれます。
この試験で衝動水車として出るのはペルトン水車だけです。残りはすべて反動水車です。
水車の肢は、分類の話と、部品の置きどころの話に分かれます。どちらも日本産業規格に定義があるので、そこから確定させます。
まず、2つに分ける基準を押さえます。
なお、出力が小さいものは小出力発電設備として別の扱いを受けます。水力発電設備は出力の上限が決まっており、種類ごとに線引きが違います。
JIS B 0119:2009「水車及びポンプ水車用語」 3.2 種類
衝動水車 圧力ヘッドを速度ヘッドに変えた流水をランナに作用させる構造の水車。
反動水車 圧力ヘッドをもつ流水をランナに作用させる構造の水車。ランナを通過する流れの方向によって、遠心水車、斜流水車、軸流水車に区分される。
言い換えると、「圧力を速度に変えてから当てるのが衝動、圧力のまま当てるのが反動」ということです。
規格の附属書Aには、この2つをさらに流れの方向で分けた分類表があります。
| 動作原理 | 流れの方向 | 水車 |
|---|---|---|
| 衝動水車 | ー | ペルトン水車/ターゴ水車/クロスフロー水車 |
| 反動水車 | 遠心水車 | フランシス水車 |
| 斜流水車 | デリア水車 | |
| 軸流水車 | カプラン水車/プロペラ水車/セミカプラン水車/チューブラ水車 |
平成28年度 2級 No.13 選択肢2(答え)/令和4年度 2級(前期)No.13 選択肢2(答え)
平成28年度 プロペラ水車 - 衝動水車
令和4年度 カプラン水車 - 衝動水車
正しい側に並んだのは、平成28年度がペルトン=衝動/デリア=反動/フランシス=反動、令和4年度がペルトン=衝動/プロペラ=反動/フランシス=反動でした。
平成28年度で誤りにされたプロペラ水車は、令和4年度では反動水車として正しい側に置かれています。2年度を合わせると向きが確定します。
この定義文は、そのまま穴埋めの形でも出されました。
平成30年度 2級(後期)No.13/令和6年度 2級(後期)No.11
平成30年度 「圧力水頭を速度水頭に変えた流水をランナに作用させる構造の水車をアと呼び、ノズルから流出するジェットをランナのバケットに作用させるイが代表的である。」→ ア 衝動水車/イ ペルトン水車
令和6年度 「圧力水頭をもつ流水をランナに作用させる構造の水車をアと呼び、アには、流水がランナの外周から流入し、ランナ内で軸方向に向きを変えて流出するイがある。」→ ア 反動水車/イ フランシス水車
JIS B 0119:2009 の定義
吸出し管 ランナから放出された流水の速度を減少させて、流水のもつ運動エネルギーを有効に回収させる管。
ニードル弁 ニードル形状の弁体が、流水と同方向に動くバルブ。
ガイドベーン、案内羽根 ランナ上流に設けられ、流量の調整に用いられる可動羽根。
令和7年度 1級 第一次 No.14(公表正答は選択肢3)
「ぺルトン水車のノズル内には、負荷に応じて使用流量を調整するためのニードル弁が設けられる。」
選ばせたのは「ランナ」か「ノズル」か、「ニードル弁」か「吸出し管」かの組合せです。
令和7年度は、この2つの語をそのまま穴埋めにしました。ニードル弁が付くのはノズル内で、ランナではありません。吸出し管はフランシス水車の側なので、組合せとしても混ざりません。
令和2年度 1級 No.17 選択肢2(答え)/令和6年度 1級 No.13 選択肢1(答え)
2年度とも同じ文です。フランシス水車は、負荷が変化しても、効率はほぼ一定である。
令和4年度 1級 No.16 選択肢2(正しい側)
フランシス水車では、最高効率はペルトン水車よりも優れているが、軽負荷時に効率が低下する。
2つを並べると向きが見えます。フランシス水車の効率は一定ではありません。最高効率はペルトン水車より高いのですが、軽負荷になると落ちます。だから「ほぼ一定」と書いた肢が、2年度とも答えになりました。
もう1つ狂わせてくるのが比速度です。
令和4年度 1級 No.16 選択肢4(答え)/令和6年度 1級 No.13 選択肢3(正しい側)
令和4年度 ペルトン水車は、フランシス水車と比較して、高落差での比速度を大きくとれる。
令和6年度 ペルトン水車は、フランシス水車と比較して、高落差での比速度が小さい。
令和2年度・令和4年度・令和6年度 1級(いずれも正しい側)
吸出し管 フランシス水車には、ランナの出口から放水面までの接続管として吸出し管が設置される。(令和2年度・令和4年度・令和6年度)
ニードル弁 ペルトン水車のノズル内には、負荷に応じて使用流量を調整するためのニードル弁が設けられる。(令和2年度・令和4年度)
圧力上昇の抑制 ペルトン水車は、急激な負荷変化でも水圧管内の圧力上昇を抑制することが可能である。(令和2年度)
衝動水車への分類 ペルトン水車は、動作原理によって大別すると衝動水車に分類される。(令和6年度)
6年度・8設問を並べると、2級は分類と定義、1級は効率と比速度という分かれ方になります。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 答えになった記述・語 |
|---|---|---|
| 平成28年度 2級 No.13 | 形式と動作原理の組合せ | プロペラ水車=衝動水車 |
| 平成30年度 2級(後期)No.13 | 穴埋め | 衝動水車/ペルトン水車 |
| 令和2年度 1級 No.17 | 記述の正誤 | 負荷が変化しても効率はほぼ一定 |
| 令和4年度 2級(前期)No.13 | 形式と動作原理の組合せ | カプラン水車=衝動水車 |
| 令和4年度 1級 No.16 | 記述の正誤 | 高落差での比速度を大きくとれる |
| 令和6年度 1級 No.13 | 記述の正誤 | 負荷が変化しても効率はほぼ一定 |
| 令和6年度 2級(後期)No.11 | 穴埋め | 反動水車/フランシス水車 |
| 令和7年度 1級 No.14 | 穴埋め | ノズル/ニードル弁 |
2級は分類と定義、1級は効率と比速度という分かれ方をしています。
水車の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
衝動水車と反動水車:圧力を速度に変えてから当てるのが衝動、圧力のまま当てるのが反動です。
吸出し管とニードル弁:吸出し管はフランシス水車、ニードル弁はペルトン水車のノズル内です。
ガイドベーンとランナベーン:ガイドベーンはランナ上流の可動羽根、ランナベーンはランナ側の羽根です。
デリア水車とカプラン水車:デリアは斜流水車、カプランは軸流水車です。どちらも反動水車に入ります。
プロペラ水車とカプラン水車:ランナベーンの角度が変わらないのがプロペラ、変わるのがカプランです。
例えば、肢に「プロペラ水車 - 衝動水車」と書いてあれば、そこで切れます。衝動水車に入るのはペルトン水車だけなので、ほかの水車名が衝動水車と組んでいれば読み進める必要はありません。
逆に「ペルトン水車 - 衝動水車」なら正しい側です。水車名を見たら、まず衝動か反動かを思い出してから、書いてある分類と突き合わせます。
ペルトン水車は衝動水車と反動水車のどちらか?
衝動水車です。ノズルから流出するジェットをランナ周辺のバケットに作用させる構造だと規格が定めています。
カプラン水車とプロペラ水車はどちらの側か?
どちらも反動水車の軸流水車です。衝動水車とした肢は、平成28年度と令和4年度でそれぞれ答えになりました。
吸出し管はどの水車に付くか?
フランシス水車です。ランナの出口から放水面までの接続管で、流水の速度を減少させて運動エネルギーを回収します。
ペルトン水車の比速度は、フランシス水車と比べてどうか?
小さい側です。大きくとれると書いた肢は令和4年度で答えになりました。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
衝動水車に入るのはペルトン水車だけです。
ターゴ水車とクロスフロー水車も衝動側ですが、この試験では出ていません。フランシス・カプラン・プロペラ・デリアは全部、反動水車です。
1級の記述問題は、フランシスの肢とペルトンの肢が2つずつ並ぶ形になります。狂わせてくるのは効率か比速度のどちらかです。