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4つとも水力発電所でやる試験に見えるんだけど。
ガイドベーンの開閉も水車の試験だし、含まれるんじゃないの?
この記事の要点
有水試験とは、水力発電所の試運転のうち、水を通した状態で行う試験のことです。
分かれ目は発電機を回すかどうかです。通水したり発電機を運転したりする試験は有水試験で、機器が動くかを確かめるだけの試験は水が要りません。
出題は4年度とも「最も関係のないもの」を選ばせる形で、水が要らない試験を1つだけ混ぜてきます。
水力発電所の有水試験は、1級で4年度に出ています。
並ぶ試験の名前は繰り返されます。含まれる側と外れる側を一度整理すれば、あとは同じ形で解けます。
水力発電所を作ったあと、いきなり運転はできません。試運転は、おおまかに次の順で進みます。
このうち「水を通した状態で行う」ほうが有水試験です。出題はこの区切りを問うています。
4年度に並んだ試験を、肢の文言のまま整理すると次のようになります。
| 試験の名前 | 肢に書かれている内容 | 水が要るか |
|---|---|---|
| 通水検査 | 導水路・水槽・水圧鉄管に充水し、漏水などの異常がないことを確認(平成29年度は放水路も加えた4か所) | 要る(水を入れる) |
| 発電機特性試験 | 発電機を定格速度で運転し、無負荷飽和特性・三相短絡特性などを測定 | 要る(回す) |
| 負荷遮断試験 | 発電機の負荷を突然遮断し、異常なく無負荷運転へ移れることを確認 | 要る(回す) |
| 非常停止試験 | 発電機の一定負荷運転時に保護継電器を動作させ、所定の順序で停止することを確認 | 要る(回す) |
| 水車関係機器の単体動作試験 | 圧油装置の調整後、調速機によるガイドベーンの開閉の動作を確認 | 要らない |
| 遮断器・開閉器関係試験 | 遮断器と断路器の動作試験およびインタロックの確認 | 要らない |
表の右の列は、肢の文言をそのまま読めば決まります。
ガイドベーンは水車の部品ですが、開閉するかどうかは水と関係ありません。圧油装置で押して動けば、それで確認は済みます。ここが引っかかりやすいところです。
言い換えると、「水車の部品が出てきても、回すのでなく動かすだけなら有水試験ではない」ということです。
4年度で「最も関係のないもの」に選ばれたのは、次の2種類だけです。
令和2年度 1級 No.59 選択肢2/令和5年度 1級 No.71 選択肢1(いずれも正答肢)
水車関係機器の単体動作試験として、圧油装置の調整後、調速機によるガイドベーンの開閉の動作を確認した。
平成29年度 1級 No.59 選択肢2(正答肢)
遮断器・開閉器関係試験として、遮断器と断路器の動作試験及びインタロックの確認を行った。
平成26年度1級No.59は、同じ内容を水車・発電機機器動作試験という名前で出しました。中身は「圧油装置調整後、調速機によるガイドベーンの開閉の動作が確実に行われることを確認した」で、言い回しが少し違うだけで令和2年度・令和5年度と同じです。
例えば、令和5年度1級No.71では、この単体動作試験が選択肢1に置かれました。残る3肢は発電機を回す試験なので、先頭を読んだ時点で決まります。
混同しやすい語
通水検査と通水:通水検査は導水路・水槽・水圧鉄管に充水して漏水を見る試験です。水を入れる側なので有水試験に含まれます。
単体動作試験と特性試験:単体動作試験は機器が動くかを見るだけ、特性試験は発電機を回して数値を測ります。
ガイドベーンと水車の種類:ガイドベーンは水量を調節する羽根で、フランシス水車などに付きます。水車そのものの分類は水車の種類の記事にまとめました。
負荷遮断試験と非常停止試験:どちらも運転中に行いますが、前者は負荷を切り、後者は保護継電器を働かせます。保護継電器の側は解列と保護リレーの記事で扱っています。
遮断器と断路器:平成29年度の正答肢は、この2つの動作試験とインタロックの確認でした。遮断器そのものの扱いは過電流遮断器の記事にまとめています。
水力発電と揚水発電:揚水発電は水をくみ上げて貯める方式です。揚水発電の記事にまとめました。
発電所の運用:どの発電方式をどう組み合わせるかは発電運用の記事で扱っています。
4年度とも、問い方は「最も関係のないものはどれか」です。
| 年度・級・問 | 正答肢に置かれた試験 | 肢の位置 |
|---|---|---|
| 平成26年度 1級 学科 No.59 | 水車・発電機機器動作試験(ガイドベーンの開閉) | 選択肢3 |
| 平成29年度 1級 学科 No.59 | 遮断器・開閉器関係試験 | 選択肢2 |
| 令和2年度 1級 学科 No.59 | 水車関係機器の単体動作試験(ガイドベーンの開閉) | 選択肢2 |
| 令和5年度 1級 第一次 No.71 | 水車関係機器の単体動作試験(ガイドベーンの開閉) | 選択肢1 |
4年度に共通しているのは、次の3つです。
有水試験かどうかは、何で分かれるか?
水を通した状態で行うかどうかです。充水する試験と、発電機を運転する試験が有水試験にあたります。
ガイドベーンの開閉の確認が有水試験に入らないのはなぜか?
圧油装置の調整後に機器が動くかを見るだけで、水を通していないからです。ガイドベーンは水車の部品ですが、開閉の確認に水は要りません。
4年度すべてに並び、一度も正答肢にならなかった試験は?
発電機特性試験です。発電機を定格速度で運転して特性を測るので、水が要ります。
肢の文言のどこを見れば見分けられるか?
後半に「運転」「充水」があるかどうかです。「調整後、動作を確認した」で終わっていれば有水試験ではありません。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
「水車」という語が付いていても、有水試験とはかぎりません。
外れる側に置かれた試験は、4年度のうち3年度が「水車」を含む名前でした。水車関係機器の単体動作試験、水車・発電機機器動作試験です。
見るのは名前ではなく、肢の後半に「運転」と書いてあるかです。圧油装置の調整後に動作を確認しただけなら、水はまだ通っていません。