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「施設しなければならない」って書いてあると、つい正しく見えちゃう。
逆を定めている箇所って、あるの?
この記事の要点
接地側電線とは、電路の一部に接地工事を施した低圧電線路のうち、接地された側の電線のことです。
第35条は、接地線・多線式電路の中性線・接地側電線を、過電流遮断器を施設しない箇所として挙げています。
だから「接地側電線には過電流遮断器を施設しなければならない」と書いた肢は誤りになります。
配電線路に施設する過電流遮断器は、2級で3年度に出ています。
いずれも「電気設備の技術基準とその解釈」上の判定を求める問い方です。
根拠は電気設備の技術基準の解釈 第35条です。
電気設備の技術基準の解釈 第35条【過電流遮断器の施設の例外】(省令第14条)
次の各号に掲げる箇所には、過電流遮断器を施設しないこと。
一 接地線
二 多線式電路の中性線
三 第24条第1項第一号ロの規定により、電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線
2 次の各号のいずれかに該当する場合は、前項の規定によらないことができる。
一 多線式電路の中性線に施設した過電流遮断器が動作した場合において、各極が同時に遮断されるとき
二 第19条第1項各号の規定により抵抗器、リアクトル等を使用して接地工事を施す場合において、過電流遮断器の動作により当該接地線が非接地状態にならないとき
| 号 | 施設しない箇所 | 出題での使われ方 |
|---|---|---|
| 一 | 接地線 | 肢に出ていない |
| 二 | 多線式電路の中性線 | 肢に出ていない |
| 三 | 電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線 | 3年度とも、この箇所を「施設しなければならない」と書いた肢が誤り |
条文の向きは「施設しないこと」です。肢は「施設しなければならない」なので、正反対になります。
同じ文が繰り返し置かれ、そのたびに答えになりました。
令和6年度2級前期と令和8年度2級前期は一字一句同じです。平成29年度だけ「架空電線」で、条文の「電線路」と表記が違います。
言い換えると、「接地側電線と過電流遮断器が同じ文に並び、しなければならないで終わっていれば答え」ということです。
残る肢は、第34条の2つの号がそのまま使われています。
電気設備の技術基準の解釈 第34条【高圧又は特別高圧の電路に施設する過電流遮断器の性能等】(省令第14条)
高圧又は特別高圧の電路に施設する過電流遮断器は、次の各号に適合するものであること。
一 電路に短絡を生じたときに作動するものにあっては、これを施設する箇所を通過する短絡電流を遮断する能力を有すること。
二 その作動に伴いその開閉状態を表示する装置を有すること。ただし、その開閉状態を容易に確認できるものは、この限りでない。
3年度とも、この2つを言い換えた肢が正しい側に置かれました。
第二号の言い換え方が、年度によって変わります。
言い換え方が違っても、どちらも正しい側でした。条文は「表示する装置を有すること」を本則にし、「容易に確認できるもの」をただし書きで外しています。
例えば、令和8年度2級前期No.18では条文の構造をそのままなぞった書き方で、令和6年度2級前期は同じ内容を「又は」で並べています。
低圧について書いた肢も、いずれの年度でも正しい側でした。
低圧の肢は答えになっていません。狙われるのは接地側電線です。
混同しやすい語
接地線と接地側電線:どちらも第35条第1項が挙げる「施設しない箇所」です。接地線は一号、接地側電線は三号にあります。
施設しないことと施設しなければならない:条文は前者、誤り肢は後者です。向きが正反対になります。
第34条と第35条:第34条は高圧の過電流遮断器に求める性能、第35条は施設してはならない箇所です。
低圧架空電線と低圧電線路:条文の言葉は「低圧電線路」です。平成29年度だけ「低圧架空電線」と書かれましたが、扱いは変わりません。
短絡保護専用遮断器:低圧の電動機回路に使う遮断器の整定は別の条文です。短絡保護専用遮断器の記事で扱っています。
接地工事の省略:どこに接地を施すかは別の条文です。D種接地工事の省略の記事にまとめました。
地絡方向継電器:同じ令和6年度2級でも、後期のNo.18はこちらが題材でした。地絡方向継電器の記事で扱っています。
主遮断装置:高圧受電設備でどの遮断器を選ぶかは主遮断装置の記事にあります。
系統連系の保護:分散型電源をつなぐときのリレーは系統連系用保護装置の略記号の記事で扱っています。
答えになった肢を、年度ごとに並べます。
| 年度・級・問 | 並んだ論点 | 答えの論点 |
|---|---|---|
| 平成29年度 2級 学科 No.20 | 開閉状態の表示/低圧電路の保護/短絡電流の遮断能力/接地側電線 | 接地側電線 |
| 令和6年度 2級前期 第一次 No.18 | 短絡電流の遮断能力/開閉状態の表示/接地側電線/低圧のヒューズ | 接地側電線 |
| 令和8年度 2級前期 第一次 No.18 | 短絡電流の遮断能力/開閉状態の表示/接地側電線/低圧の過熱焼損 | 接地側電線 |
3年度とも答えは接地側電線の肢です。入れ替わるのは低圧について書いた肢だけになります。
この系統の肢は、次の順に見ます。
過電流遮断器を施設しない箇所として第35条が挙げるのは?
接地線、多線式電路の中性線、電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線です。
高圧の電路に施設する過電流遮断器に求められる性能は?
短絡電流を遮断する能力と、開閉状態を表示する装置です。開閉状態を容易に確認できるものは、表示する装置がただし書きで外されます(第34条)。
第35条第2項のただし書きが使えるのはどんな場合か?
多線式電路の中性線に施設した過電流遮断器が動作したとき各極が同時に遮断される場合と、抵抗器やリアクトルを使う接地工事で接地線が非接地状態にならない場合です。
低圧電路の短絡保護にヒューズを使えるか?
定められた能力を有するヒューズの施設が認められています(令和6年度2級前期の正しい肢)。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
第35条は「施設しない箇所」を3つ挙げています。
接地線・多線式電路の中性線・接地側電線の3つです。このうち出題で使われるのは接地側電線だけで、接地線と中性線は肢に出ていません。
また、第2項のただし書きは、中性線に施設した遮断器が動作したとき各極が同時に遮断される場合などに限られます。肢にはそうした条件が書かれていないので、本則で判断できます。