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D種接地工事はどこまで省略できるのか?4mと8mの線引きは工事ごとに違う

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同じ8mでも、省略できる工事とできない工事があるの?

4肢とも似た文で、どこが違うのか分からない…。

この記事の要点

D種接地工事の省略とは、使用電圧が300V以下の低圧屋内配線で、条文のただし書きに当てはまるときに接地工事を施さなくてよいことです。

ただし書きは4mの例外8mの例外の2つです。8mの例外には交流対地電圧150V以下という条件が付きます。

そして金属可とう電線管だけ、8mの例外がありません。ここが答えになります。

D種接地工事を省略できるかどうかは、工事の種類ごとに別の条文で決まっています。

だから確認も、工事の種類を先に読んでから条文に当てます。

省略の型は2つある

金属管工事を例にすると、ただし書きは次の形です。

電気設備の技術基準の解釈 第159条第3項第四号(金属管工事)

四 低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、管には、D種接地工事を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。(関連省令第10条、第11条)

イ 管の長さ(2本以上の管を接続して使用する場合は、その全長。以下この条において同じ。)が4m以下のものを乾燥した場所に施設する場合

ロ 屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下の場合において、その電線を収める管の長さが8m以下のものに簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す管と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき

言い換えると、「短ければ無条件に近く省略でき、長い場合は電圧が低いことが条件になる」ということです。

例えば、乾燥した場所に使用電圧100Vの配線を金属管で施設し、管の長さが8mだったという肢は、ロに当てはまるので正しい側に置かれています。

省略できる長さは工事の種類で違う 4m以下 4mを超え8m以下 8m超 金属管工事 金属可とう電線管 省略できない 金属線ぴ工事 ケーブル工事 省略できる 条件付きで省略できる 省略できない 黄色の条件=交流対地電圧150V以下+簡易接触防護措置または乾燥した場所
出典=電気設備の技術基準の解釈 第159条・第160条・第161条・第164条

工事ごとに並べると差が見える

4つの工事の条文を、同じ形に並べます。

工事の種類 条文 4mの例外 8mの例外
金属管工事 第159条第3項第四号 管の長さ4m以下+乾燥した場所 交流対地電圧150V以下+8m以下+簡易接触防護措置又は乾燥した場所
金属可とう電線管工事 第160条第3項第六号 管の長さ4m以下 規定なし
金属線ぴ工事 第161条第3項第二号 線ぴの長さ4m以下 交流対地電圧150V以下+8m以下+簡易接触防護措置又は乾燥した場所
ケーブル工事 第164条第3項第四号 防護装置の金属製部分の長さ4m以下+乾燥した場所 交流対地電圧150V以下+防護装置の金属製部分8m以下+簡易接触防護措置又は乾燥した場所

金属可とう電線管だけ、8mの例外の行が空です。条文はこうなっています。

同 第160条第3項第六号(金属可とう電線管工事)

六 低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、電線管には、D種接地工事を施すこと。ただし、管の長さが4m以下のものを施設する場合は、この限りでない。(関連省令第10条、第11条)

ただし書きが1つしかありません。8mという数字が条文に出てきません。

金属線ぴとケーブルは8mの例外がある

残る2つは、金属管と同じ2段構えです。

同 第161条第3項第二号(金属線ぴ工事)

二 線ぴには、D種接地工事を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。(関連省令第10条、第11条)

イ 線ぴの長さ(2本以上の線ぴを接続して使用する場合は、その全長をいう。以下この条において同じ。)が4m以下のものを施設する場合

ロ 屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧が150V以下の場合において、その電線を収める線ぴの長さが8m以下のものに簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す線ぴと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき

同 第164条第3項第四号(ケーブル工事)

四 低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、管その他の電線を収める防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱及び電線の被覆に使用する金属体には、D種接地工事を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、管その他の電線を収める防護装置の金属製部分については、この限りでない。(関連省令第10条、第11条)

イ 防護装置の金属製部分の長さが4m以下のものを乾燥した場所に施設する場合

ロ 屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下の場合において、防護装置の金属製部分の長さが8m以下のものに簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施すとき又は乾燥した場所に施設するとき

ケーブル工事だけ、測る対象が管ではありません。条文が長さを問うているのは、防護装置の金属製部分です。

8mの例外の入口は対地電圧150V

8mの例外は、電圧の条件が入口になっています。

年度・級・問 肢の書かれ方 扱い
平成28年度 1級 No.62 ケーブル工事で乾燥した場所に交流対地電圧200Vの配線を施設したとき、防護装置の金属部分の長さが8mであったので省略した 誤り
令和元年度 1級 No.62
(乾燥・交流の使用電圧100Vの前置きあり)
ケーブル工事で、防護装置の金属製部分の長さが8mであったので省略した 正しい肢
令和4年度 1級 No.74
(簡易接触防護措置を施すとき又は乾燥した場所に施設するときを除くの前置きあり)
交流対地電圧200Vで使用するCVケーブルの防護装置の金属製部分の長さが6mであったので省略した 誤り

同じケーブル工事の8mが、電圧の書き方だけで扱いが分かれています。200Vは150Vを超えるのでロに当たりません。令和4年度は長さが6mですが、前置きが乾燥した場所を外しているのでイにも当たりません。

まちがえやすいポイント

4肢がどれも「〜であったので接地工事を省略した」で終わるので、数字だけを見比べたくなります。

先に読むのは工事の種類です。金属可とう電線管なら、8mという数字が出た時点で誤りです。次に電圧を読みます。対地電圧が150Vを超えていれば、8mの例外は使えません。

混同しやすい語

使用電圧と対地電圧:8mの例外の条件は交流対地電圧150V以下です。使用電圧100Vと書かれた肢は、対地電圧もこれ以下なので条件に入ります。

管の長さと防護装置の金属製部分の長さ:ケーブル工事で条文が測っているのは後者です。

簡易接触防護措置と接触防護措置:省略のただし書きが呼んでいるのは前者です。高さが屋内1.8m以上、屋外2m以上と、接触防護措置より低く設定されています。

金属可とう電線管と金属管:条文が別で、金属可とう電線管には8mの例外がありません。

接地は、省略できるかどうかの前に、どの種別を施すかが決まっています。

過去問でどう問われたか

1級で4年度に出ています。引っかけは大きく2つです。

  • ①8mの例外がない工事に8mを当てる:金属可とう電線管の肢を8mにします。
  • ②電圧を150V超に上げる:交流対地電圧200Vと書いて、8mの例外を使えなくします。
年度・級・問 誤りとされた記述
平成28年度 1級 学科試験 No.62 ケーブル工事で乾燥した場所に交流対地電圧200Vの配線を施設したとき、防護装置の金属部分の長さが8mであったので省略した ←②
令和元年度 1級 学科試験 No.62 金属可とう電線管工事で、管の長さが8mであったので省略した ←①
令和4年度 1級 第一次 No.74 交流対地電圧200Vで使用するCVケーブルの防護装置の金属製部分の長さが6mであったので省略した ←②
令和7年度 1級 第一次 No.71 金属可とう電線管工事で乾燥した場所に使用電圧200Vの配線を施設したとき、管の長さが8mであったので省略した ←①

令和元年度は、金属管・金属線ぴ・ケーブルの3つが同じ8mで正しい側に並び、金属可とう電線管だけが誤りです。数字がそろっているので、工事の種類でしか切れません。

令和7年度は同じ①の型を、数字をずらして出しました。金属管が4m、金属可とう電線管が8m、金属線ぴが8m、ケーブルが4mで、答えは金属可とう電線管の8mです。数字がそろっていないぶん、長さだけを見比べると迷います。

この年度の選択肢1は金属管工事で乾燥した場所に使用電圧200Vの配線、管の長さが4mで正しい側でした。4mの例外(イ)には電圧の条件が付いていないので、200Vでも乾燥した場所なら省略できます。電圧の条件が付くのは8mの例外(ロ)だけです。

表に挙げた令和4年度1級No.74では、点検できる隠ぺい場所において使用電圧200Vの配線に2種キャブタイヤケーブルを使用したという肢が正しい側に置かれています。164-1表で、2種キャブタイヤケーブルは「使用電圧が300V以下のものを展開した場所又は点検できる隠ぺい場所に施設する場合」の列にだけ印があります。

工事の種類を読み、次に電圧を読む。数字は最後です。

同じ工事の種類でも、屋側や地中では別の条文が当たります。屋側は低圧屋側電線路、地中は地中電線路の施工にまとめました。

どこを確認すれば読み分けられるか

接地工事の省略の肢は、次の順に見ます。

  • 工事の種類を読む:金属可とう電線管で8mと書いてあれば、そこで誤りです。
  • 電圧を読む:交流対地電圧が150Vを超えていれば、8mの例外は使えません。
  • 前置きを読む:乾燥した場所を除くと書かれていれば、4mの例外も使えません。
  • 何の長さかを読む:ケーブル工事は管ではなく、防護装置の金属製部分の長さです。

理解度チェック

Q.

D種接地工事の省略で、8mの例外に付く電圧の条件は何か?

屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下であることです。加えて、簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所に施設することが要ります。

Q.

金属可とう電線管工事で、管の長さが8mのとき接地工事を省略できるか?

できません。第160条第3項第六号のただし書きは4m以下だけで、8mの例外がありません。

Q.

ケーブル工事では、何の長さを見るのか?

防護装置の金属製部分の長さです(第164条第3項第四号)。

まとめ

  • 省略の型は2つ。4m以下の例外と、交流対地電圧150V以下かつ8m以下の例外。
  • 8mの例外には、簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設することも要る。
  • 金属可とう電線管だけ8mの例外がない(第160条第3項第六号は4m以下だけ)。
  • ケーブル工事が測るのは管ではなく、防護装置の金属製部分の長さ(第164条第3項第四号)。
  • 対地電圧200Vと書かれた肢は、8mでも6mでも誤りとされている。ただし4mの例外には電圧の条件が付かないので、200Vでも4mなら正しい側(令和7年度の選択肢1)。
  • 金属可とう電線管に8mを当てる型は、令和元年度と令和7年度の2年度で答えになっている。
  • 164-1表で、2種キャブタイヤケーブルは300V以下を展開した場所又は点検できる隠ぺい場所に施設する場合だけ印がある。

参考資料

  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第159条第3項第四号(金属管工事)・第160条第3項第六号(金属可とう電線管工事)・第161条第3項第二号(金属線ぴ工事)・第164条第3項第四号および164-1表(ケーブル工事)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成28年度No.62・令和元年度No.62・令和4年度No.74・令和7年度No.71
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