電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 施工管理法
  3. > ライティングダクト工事

ライティングダクト工事とは?開口部の向きと施設できない場所を整理

T

T

開口部の向きって、上・下・横のどれが正しいの?

支持点間の距離も2mと3mが出てきて迷う…。

この記事の要点

ライティングダクトとは、照明器具を任意の位置に取り付けられるように、導体を組み込んで造営材に取り付けるダクトのことです。

開口部は下に向けて施設します。横向きにできるのは2つの例外だけで、上向きは条文にありません。

支持点間の距離は2m以下、造営材は貫通しない。この2つが数字と動作の急所です。

ライティングダクト工事の決まりは、電気設備の技術基準の解釈の1つの項にまとまっています。

だから、その項を丸ごと読んでしまうのが早道です。

電気設備の技術基準の解釈 第165条第3項(ライティングダクト工事)

3 ライティングダクト工事による低圧屋内配線は、次の各号によること。

一 ダクト及び附属品は、電気用品安全法の適用を受けるものであること。

二 ダクト相互及び電線相互は、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続すること。

三 ダクトは、造営材に堅ろうに取り付けること。

四 ダクトの支持点間の距離は、2m以下とすること。

五 ダクトの終端部は、閉そくすること。

六 ダクトの開口部は、下に向けて施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、横に向けて施設することができる。
イ 簡易接触防護措置を施し、かつ、ダクトの内部にじんあいが侵入し難いように施設する場合
ロ 日本産業規格 JIS C 8366(2012)「ライティングダクト」の「5 性能」、「6 構造」及び「8 材料」の固定Ⅱ形に適合するライティングダクトを使用する場合

七 ダクトは、造営材を貫通しないこと。

八 ダクトには、D種接地工事を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 合成樹脂その他の絶縁物で金属製部分を被覆したダクトを使用する場合
ロ 対地電圧が150V以下で、かつ、ダクトの長さ(2本以上のダクトを接続して使用する場合は、その全長をいう。)が4m以下の場合

言い換えると、「この8つの号を覚えれば、出題の肢はすべてどれかに当たる」ということです。

号ごとに、ただし書きがあるかどうかと、出題でどう扱われたかを並べます。

何を定めているか ただし書き 出題での扱い
電気用品安全法の適用を受けるもの なし 電気用品に該当する。ただし特定電気用品ではない
二・三 堅ろうに接続する/堅ろうに取り付ける なし 単独では出ていない
支持点間の距離は2m以下 なし 3mとした肢が2年度とも誤り
終端部は閉そくする なし 4年度とも正しい肢
開口部は下に向ける あり(2つ) 上向きが3年度とも誤り。固定Ⅱ形の横向きは正しい
造営材を貫通しない なし 貫通させた肢が2年度とも誤り
D種接地工事を施す あり(2つ) 施した肢も、条件を書いて省略した肢も正しい

出題が集まるのは、ただし書きのある六号と八号、そして無い七号です。ただし書きのある号は「条件を書けば正しい」、無い号は「理由を書いても誤り」。この分かれ方がそのまま肢になります。

例えば、令和6年度1級No.73の肢では「JISに適合した固定Ⅱ型のライティングダクトの開口部を、横向きにして施設した」と書かれており、六号ただし書きロに当たるため誤りにされていません。

開口部の向きは3通りで扱いが違う

開口部をどちらに向けるか 下向き 原則(六号本文) 正しい 横向き ただし書きイ・ロの条件つき 条件を書いてあれば正しい 上向き 許す規定が無い 誤り
開口部の向きと扱いの対応をイメージでつかむための模式図です。ダクトの形や寸法は実物どおりではありません。正しいのは、下向きが原則、横向きは条件つきで可、上向きは許す規定が無いという分かれ方だけです。

横向きが正しい肢になるのは、条件を満たしたときだけです。令和6年度1級No.73の肢は「固定Ⅱ型」とわざわざ書いており、これが六号ただし書きロの条件そのものです。

上向きは3年度とも誤りにされています。しかも、肢はいずれも理由や対策を添えたうえで上向きにしています。

  • 平成27年度2級No.42「天井を照らす照明を取り付けるため、開口部を上向きに設置した」
  • 平成29年度1級No.62「天井を照らす照明器具を取り付けるため、ライティングダクトの開口部を上向きにして施設した」
  • 令和3年度2級No.50「ライティングダクトの開口部を上向きに取り付け、ほこりが入らないようにカバーを取り付けた」

令和3年度の肢は、じんあい対策まで書いています。それでも誤りです。ただし書きイの「じんあいが侵入し難いように施設する」は、横向きにするための条件であって、上向きを許す条件ではありません。条文のどこに掛かる条件かを読み違えると外します。

誤りにされた肢は6つだけ

1級・2級あわせて、誤りとされた肢を並べます。

年度・級・問 誤りとされた記述
平成27年度 2級 No.42 天井を照らす照明を取り付けるため、開口部を上向きに設置した
平成29年度 1級 No.62 天井を照らす照明器具を取り付けるため、開口部を上向きにして施設した
平成30年度 2級 No.42 壁などの造営材を貫通して設置した
令和3年度 2級 No.50(内線規程上) 開口部を上向きに取り付け、ほこりが入らないようにカバーを取り付けた
令和6年度 1級 No.73 造営材に取り付ける場合は、支持点間の距離を3mとした
令和6年度 2級 No.48 壁などの造営材を貫通して施設した

六号が3つ、七号が2つ、四号が1つ。誤りはこの3つの号に集まっています。二号・三号・五号・八号から誤りが作られたことは、ここまで一度もありません。

造営材の貫通は「設置」と「施設」で語尾が違うだけの同じ文です。七号にはただし書きが無いので、どう書き換えても誤りにしかなりません。

支持点間の距離は、内線規程を根拠にした問いでも同じ2m以下です。平成30年度2級No.23では「ライティングダクト 3m以下」の組合せが誤りとされ、令和7年度2級No.21では「ライティングダクト 2m以下」が正しい側に置かれています。バスダクトは3m(垂直は6m)なので、ダクトの種類で数字が変わります。

終端部の閉そく(五号)とD種接地工事(八号)は、出るたびに正しい側です。八号は、施した肢も、条件を書いて省略した肢も、どちらも正しい肢になります。平成27年度2級No.42の「絶縁物で金属製部分を被覆したライティングダクトを使用したので、D種接地工事を省略した」は、八号ただし書きイの条件を肢の中に書き込んだ形です。令和元年度2級No.42の「ライティングダクトの金属製部分(導体を除く)に、D種接地工事を施した」も正しい側でした。

施設できる場所も、正しい側の肢として繰り返し出ています。令和3年度2級No.50の「ライティングダクトを点検できる隠ぺい場所に取り付けた」、令和5年度2級No.50の「ライティングダクト配線を、屋内の乾燥した点検できる隠ぺい場所に施設した」は、どちらも答えではありません。点検できる隠ぺい場所は、出題では正しい側として扱われています。上の第3項には施設場所の規定が無いので、この肢は号の数え上げからは判断できません。

八号ロの「対地電圧150V以下かつ長さ4m以下」という条件は、工事の種類ごとに数字が変わります。そこはD種接地工事の省略にまとめました。接地工事そのものの種別は接地工事の種別で扱っています。

過去問でどう問われたか

ライティングダクト工事そのものを問う形は、平成27年度2級No.42・平成30年度2級No.42・令和6年度2級No.48の3年度。ほかに、照明器具の施工(平成29年度1級No.62・令和6年度1級No.73)、支持点間の距離の組合せ(平成30年度2級No.23・令和7年度2級No.21)、内線規程の低圧屋内配線(令和元年度2級No.42・令和3年度2級No.50・令和5年度2級No.50)でも肢に出ます。

誤りの作り方は2つです。

  • ①ただし書きのない号に理由を付ける:造営材を貫通させ、開口部を上向きにします。理由や対策を書き添えても、条文が許していなければ誤りです。
  • ②数字を大きくする:支持点間の距離を2mから3mにします。

令和6年度の1級は、同じ問題に「固定Ⅱ型なら横向きでよい」という肢を並べています。向きのほうに気を取られると、支持点間の3mを見落とします。

ライティングダクトは、電気用品としても繰り返し問われます。電気用品には該当しますが、特定電気用品ではありません。平成29年度1級No.84・令和3年度1級No.84・令和8年度1級No.82で「特定電気用品に該当しないもの」の答えになっており、令和4年度・令和6年度・令和8年度の2級では「電気用品に該当しないもの」の答えにはなっていません。特定電気用品との線引きは、そちらの記事で扱っています。

下向き・貫通しない・2m以下。この3つで5年度すべてが切れます。

どこを確認すれば読み分けられるか

ライティングダクトの肢は、次の順に見ます。

  • 貫通の有無を読む:造営材を貫通と書いてあれば、そこで誤りです。
  • 向きを読む:上向きは誤り。横向きなら条件が書いてあるかを確かめます。
  • 数字を読む:支持点間の距離が3mなら誤りです。
  • 接地は条件を読む:省略と書いてあれば、絶縁物被覆か対地電圧150V以下かつ4m以下が添えられているかを見ます。

まちがえやすいポイント

この問題は、条文のただし書きの有無で作られています。

開口部(六号)とD種接地工事(八号)には例外があり、条件を書いた肢は正しい側です。一方、造営材の貫通(七号)にはただし書きがありません。だから貫通と書いてあれば、理由が付いていても誤りです。

混同しやすい語

2mと3m:ライティングダクトの支持点間の距離は2m以下です。3mとした肢は2年度とも誤りとされています。バスダクトは3m(垂直は6m)なので、ダクトの種類で数字が変わります。

上向き・下向き・横向き:原則は下向き。横向きは、簡易接触防護措置とじんあい対策をした場合か、固定Ⅱ形を使う場合に限られます。上向きを許す規定はありません。

固定Ⅱ形:JIS C 8366(2012)「ライティングダクト」の性能・構造・材料に適合するものを指します。これが横向きにできる2つ目の条件です。

D種接地工事の省略条件:絶縁物で金属製部分を被覆したものか、対地電圧150V以下かつ長さ4m以下です。

理解度チェック

Q.

ライティングダクトの開口部を横に向けて施設できるのは、どんな場合か?

簡易接触防護措置を施し、かつ内部にじんあいが侵入し難いように施設する場合か、JIS C 8366(2012)の固定Ⅱ形に適合するものを使用する場合です(電技解釈第165条第3項第六号ただし書き)。

Q.

ライティングダクトの支持点間の距離は何m以下か?

2m以下です(同第四号)。3mとした肢は2年度とも誤りとされています。

Q.

ライティングダクトで壁を貫通させてよいか?

貫通させられません。第七号は「ダクトは、造営材を貫通しないこと」で、ただし書きがありません。

まとめ

  • 開口部=下に向けて施設。横向きは簡易接触防護措置+じんあい対策か、固定Ⅱ形の2つの例外だけ。上向きの規定はない。
  • 造営材は貫通しない(第七号。ただし書きなし)。2年度とも誤り肢に使われている。
  • 支持点間の距離=2m以下。3mとした肢は2年度とも誤り。
  • 終端部=閉そくする(3年度とも正しい肢)。
  • D種接地工事=施すのが原則。絶縁物で金属製部分を被覆したもの、対地電圧150V以下かつ長さ4m以下は省略できる。
  • ダクト及び附属品は電気用品安全法の適用を受けるものを使う。

参考資料

  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第165条第3項第一号から第八号(ライティングダクト工事)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成27年度2級No.42・平成29年度1級No.62およびNo.84・平成30年度2級(後期)No.23およびNo.42・令和元年度2級(後期)No.42・令和3年度1級No.84・令和3年度2級(前期)No.50・令和4年度2級(前期)No.56・令和5年度2級(前期)No.50・令和6年度1級No.73・令和6年度2級(前期)No.48・令和6年度2級(後期)No.54・令和7年度2級(前期)No.21・令和8年度1級No.82・令和8年度2級(前期)No.56
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>