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湿気の多い場所に施設した肢って、正しい年と誤りの年があるよね。
支持間隔も3mと6mが出てくるけど、どっち?
この記事の要点
バスダクト工事とは、金属製のダクトに導体を組み込んだ部材を接続して施設する低圧屋内配線のことです。
支持点間の距離は3m以下です。垂直に取り付ける場合だけ6m以下になります。
湿気の多い展開した場所は、300V以下なら施設できて、300Vを超えると施設できません。この電圧の違いが引っかけの本体です。
バスダクト工事の肢は、支持点間の距離、施設できる場所、接地工事の3つに分かれます。
だから確認も、この3つに分けます。
条文には数字が2つ書かれています。どちらも正しい数字です。
電気設備の技術基準の解釈 第163条第1項第二号(バスダクト工事)
二 ダクトを造営材に取り付ける場合は、ダクトの支持点間の距離を3m(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において、垂直に取り付ける場合は、6m)以下とし、堅ろうに取り付けること。
言い換えると、「水平なら3m、条件を満たした垂直なら6m」ということです。
例えば、電気シャフト(EPS)内に垂直に取り付けた場合の6mは、令和2年度・令和5年度・令和8年度の3年度とも正しい側に置かれています。造営材に水平に取り付けた3mも、平成29年度に正しい肢として出ています。
3mと6mは、どちらも一度も誤りにされていません。条文にそのまま書かれている数字だからです。逆に、条文の数字を超える値を書けば条文違反になります。
条文は6mの条件を「取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所」としています。電気シャフト(EPS)がこれに当たるかは条文に明記がありませんが、出題ではEPS内の垂直取付けを6mとした肢が正しい側に置かれています。
バスダクト工事をどこに施設できるかは、第163条ではなく第156条の表にあります。
電気設備の技術基準の解釈 第156条(低圧屋内配線の施設場所による工事の種類)
低圧屋内配線は、次の各号に掲げるものを除き、156-1表に規定する工事のいずれかにより施設すること。
(備考)○は、使用できることを示す。
156-1表のバスダクト工事の列だけを書き出すと、次のようになります。
| 施設場所の区分 | 使用電圧 | バスダクト工事 |
|---|---|---|
| 展開した場所・乾燥した場所 | 300V以下 | ○ |
| 展開した場所・乾燥した場所 | 300V超過 | ○ |
| 展開した場所・湿気の多い場所又は水気のある場所 | 300V以下 | ○ |
| 展開した場所・湿気の多い場所又は水気のある場所 | 300V超過 | 印なし |
| 点検できる隠ぺい場所・乾燥した場所 | 300V以下/300V超過 | ○ |
| 点検できる隠ぺい場所・湿気の多い場所又は水気のある場所 | - | 印なし |
| 点検できない隠ぺい場所(すべての区分) | - | 印なし |
この表がそのまま出題になっています。
乾燥していても、点検できない隠ぺい場所に施設したという肢は、平成29年度1級No.63と令和2年度1級No.62の2年度とも誤りとされました。
施設場所と工事の種類を組み合わせて問う形でも出ます。平成30年度2級(前期)No.27では「点検できない隠ぺい場所に施設できないもの」を選ばせ、答えはバスダクト工事でした。令和3年度2級(後期)No.23でも、点検できない隠ぺい場所とバスダクト工事の組合せが不適当とされています。
点検できるかどうかの1語だけで扱いが入れ替わっています。
湿気の多い場所には、第163条にもう1つ条文があります。
電気設備の技術基準の解釈 第163条第1項第五号
五 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は、屋外用バスダクトを使用し、バスダクト内部に水が浸入してたまらないようにすること。
ここで注意が要ります。第163条第五号は使用電圧に触れていません。電圧の線を引いているのは156-1表のほうです。
使用電圧300V以下で、湿気の多い展開した場所に屋外用バスダクトを使った肢は正しい側です。
ところが使用電圧400Vで同じ場所に施設した肢は、令和5年度1級No.76と令和8年度1級No.72の2年度とも誤りとされました。電圧が300Vを超えると、湿気の多い場所には施設できません。
屋外用にしても、400Vなら誤りです。令和5年度の肢はきちんと「屋外用」と書いてあり、それでも誤りとされています。156-1表の300V超過の行に印が無いからです。
接地工事の条文は、金属管工事と同じ形です。
電気設備の技術基準の解釈 第163条第1項第六号・第七号
六 低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、ダクトには、D種接地工事を施すこと。
七 低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合は、ダクトには、C種接地工事を施すこと。ただし、接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施すダクトと電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は、D種接地工事によることができる。
ただし書きにある「接触防護措置」は、第1条に定義があります。
同 第1条第三十六号(用語の定義)
三十六 接触防護措置 次のいずれかに適合するように施設することをいう。
イ 設備を、屋内にあっては床上2.3m以上、屋外にあっては地表上2.5m以上の高さに、かつ、人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲に施設すること。
ロ 設備に人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設け、又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すこと。
この定義があるので、400Vでも「さくを設けたのでD種」という肢が成り立ちます。
使用電圧400VにC種接地工事を施した肢、300Vを超えるのでC種とした肢は、いずれも正しい側です。
令和5年度1級No.76では、400Vでも「人が接触しないようさくを設けたのでD種接地工事を施した」が正しい肢に置かれています。ただし書きの接触防護措置に当たるためです。
令和5年度と令和8年度は、同じただし書きの表と裏です。令和5年度はさくを設けてD種、令和8年度はただし書きを前置きで外したうえでC種。どちらも正しい側に置かれています。
1級で5年度に出ています。引っかけは大きく3つです。
| 年度・級・問 | 誤りとされた記述 |
|---|---|
| 平成29年度 1級 学科試験 No.63 | 乾燥した点検できない隠ぺい場所にバスダクトを施設した ←② |
| 令和2年度 1級 学科試験 No.62 | 乾燥した点検できない隠ぺい場所にバスダクトを使用した ←② |
| 令和5年度 1級 第一次 No.76 | 使用電圧400Vの屋外用バスダクトを湿気の多い展開した場所に施設した ←③ |
| 令和8年度 1級 第一次 No.72 | 使用電圧400Vのバスダクトを湿気の多い展開した場所に施設した ←③ |
5年度目は平成26年度 1級 No.64です。設問は平成29年度・令和2年度と同じ「低圧屋内配線のバスダクト工事に関する記述として、電気設備の技術基準とその解釈上、不適当なもの」で、選択肢4の「電気シャフト内に垂直に取り付けるバスダクトの支持間隔を8mとした」が答えでした。垂直に取り付ける場合でも6m以下です。同じ問の選択肢1「湿気の多い場所に屋外用バスダクトを使用した」、選択肢3「使用電圧が200VのバスダクトにD種接地工事を施した」は正しい側に置かれています。
3m・6m・300Vの3つの数字を押さえれば、5年度すべての誤り肢を切れます。
混同しやすい語
点検できる隠ぺい場所と点検できない隠ぺい場所:前者は施設でき、後者は156-1表に印がありません。乾燥していても変わりません。
展開した場所:第1条第三十一号で「点検できない隠ぺい場所及び点検できる隠ぺい場所以外の場所」と定義されています。屋外という意味ではありません。
3mと6m:3mが原則で、6mは垂直に取り付ける場合の例外です。数字が大きいほうが例外だと覚えると逆になりません。
接触防護措置と簡易接触防護措置:高さがそれぞれ屋内2.3m/屋外2.5m以上と、屋内1.8m/屋外2m以上で違います。第163条のただし書きが呼んでいるのは前者です。
バスダクトの支持点間の距離は、原則として何m以下か?
3m以下です。取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所で垂直に取り付ける場合だけ、6m以下になります。
使用電圧400Vのバスダクトを、湿気の多い展開した場所に施設できるか?
できません。156-1表の300V超過の行に、バスダクト工事の印がありません。屋外用バスダクトを使っても同じです。
使用電圧400Vのバスダクトにさくを設けた場合、接地工事は何種でよいか?
D種接地工事によることができます。さく、へい等を設けることが接触防護措置に当たるためです(第1条第三十六号ロ)。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の法令・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
「湿気の多い場所」の肢を見たとき、屋外用かどうかだけを見ると外します。
屋外用バスダクトは第163条第五号の要求ですが、そもそもその場所に施設できるかは156-1表で決まります。電圧を先に読んでください。300Vを超えていれば、屋外用でも施設できません。