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2年度を並べると、肢の顔ぶれがほとんど同じなんだけど。
2Ωと10Ωって、どこで線を引くの?
この記事の要点
等電位ボンディングとは、導電性部分間に発生する電位差を軽減するために施す電気的接続のことです。
鉄骨造の建築物の接地工事を正面から問う出題は2年度、鉄骨を接地極に使う肢そのものは5年度に出ています。
狙われるのは鉄骨の抵抗値と遮断時間の2つの数値です。
建物の鉄骨や鉄筋は、接地極として使うことが条文で認められています。
ただし使える条件に数値があり、そこが問われます。
条文に数値がそのまま書かれています。
電気設備の技術基準の解釈 第18条第2項
大地との間の電気抵抗値が2Ω以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は、これを次の各号に掲げる接地工事の接地極に使用することができる。
一 非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施すA種接地工事
二 非接地式高圧電路と低圧電路を結合する変圧器に施すB種接地工事
2Ω以下という条件と、非接地式高圧電路という限定の2つが付いています。
言い換えると、「鉄骨を接地極に使う話で数値が出たら2Ωかどうかを見る」ということです。
この論点が5年度にわたって出ているのは、10Ωという数字が別の意味で条文に3回出てくるからです。
電気設備の技術基準の解釈 第17条第1項第一号・第3項第一号・第5項
第1項第一号 A種接地工事の接地抵抗値は、10Ω以下であること。
第3項第一号 C種接地工事の接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
第5項 C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。
10Ωの鉄骨は、第5項によってC種接地工事を施したものとはみなせます。A種の接地抵抗値も10Ω以下なので、数字だけを見ると通りそうに見えます。
それでもA種とB種の接地極には使えません。鉄骨を接地極として使う条件は第18条第2項の2Ω以下で、接地抵抗値の判定とは別の話だからです。D種接地工事なら100Ω以下なので、種別ごとに見る数字が変わります。
抵抗値のほうを狂わせる形が、いちばん多く出ています。
令和元年度 1級 学科 No.38 選択肢2(答え)
大地との間の抵抗値が10Ωである建物の鉄骨その他の金属体は、機械器具等に施すA種接地工事の接地極として使用できる。
条文は2Ω以下なので、10Ωでは使えません。この肢には非接地式高圧電路という限定も付いていません。
同じ形は、受電室の施工を問う出題でも繰り返されています。
| 年度・級・問 | 答えになった肢 |
|---|---|
| 平成25年度 1級 No.60 | 鉄骨と大地の電気抵抗値が10ΩなのでB種接地工事の接地極に使用した |
| 平成29年度 1級 No.60 | 電気抵抗値が10Ωの建物の鉄骨をA種接地工事の接地極として使用した |
| 令和元年度 1級 No.38 | 抵抗値が10Ωである鉄骨はA種接地工事の接地極として使用できる |
| 令和2年度 1級 No.60 | A種接地工事の接地極として電気抵抗値が10Ωの鉄骨を使用した |
| 令和7年度 1級 No.69 | A種接地工事の接地極として電気抵抗値が10Ωの鉄骨を使用した |
5年度とも、この肢が答えです。平成25年度と平成29年度と令和2年度と令和7年度は高圧受電設備規程を問う出題ですが、外させ方は同じでした。
令和5年度は、鉄骨の肢を正しい形に戻し、別の数値を狂わせています。
電気設備の技術基準の解釈 第17条第3項第一号(C種)・第4項第一号(D種)
C種 接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
D種 接地抵抗値は、100Ω(同じ条件のときは500Ω)以下であること。
令和5年度の選択肢3は、この0.5秒以内から外れた遮断時間を書いて答えになりました。500Ωへの緩和は遮断時間が条件なので、そこが崩れれば使えません。
遮断時間と接地抵抗値を組み合わせて条件を作る形は、地絡遮断装置の省略でも出てきます。そちらは接地抵抗3Ω以下と対地電圧150V以下が線引きで、数字は違いますが読み方は同じです。
同じ論点は、正しい側としても出ています。
平成26年度 1級 No.37 選択肢3/令和元年度 1級 No.38 選択肢3(どちらも正しい側)
低圧電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に遮断する漏電遮断器を設けたので、C種接地工事の接地抵抗値を500Ω以下とした。
令和5年度の選択肢1は、建物の鉄骨その他の金属体を非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施すA種接地工事の接地極に使用できる、という形で正しい側に置かれています。第18条第2項の条件を満たす値が書かれた肢です。
令和元年度と令和5年度は、4つの肢の顔ぶれがほぼ同じで、狂わせる場所だけが動きました。
| 条 | 数値 | 何を決めているか |
|---|---|---|
| 第17条第1項第一号 | 10Ω以下 | A種接地工事の接地抵抗値 |
| 第17条第3項第一号 | 10Ω以下 (0.5秒以内なら500Ω) |
C種接地工事の接地抵抗値 |
| 第17条第5項 | 10Ω以下 | C種接地工事を施したものとみなせる金属体 |
| 第18条第2項 | 2Ω以下 | 鉄骨を非接地式高圧電路のA種・B種の接地極に使う条件 |
| 第18条第1項 | 接地抵抗値によらず | 共用の接地極(一部を地中に埋設し等電位ボンディングを施す) |
10Ωは3行に出ますが、鉄骨を接地極にする条件の行にはありません。見る行を間違えると通してしまいます。
片方の年度で答えだった論点が、もう片方では正しい側に戻ります。例えば、覚えた年度の並びだけで解くと必ず外します。令和元年度は鉄骨の抵抗値、令和5年度は遮断時間が狂わされた側でした。
2年度とも正しい側だった肢は、条文の第1項です。
電気設備の技術基準の解釈 第18条第1項(抜粋)
当該建物の鉄骨又は鉄筋その他の金属体を、共用の接地極に使用する場合には、建物の鉄骨又は鉄筋コンクリートの一部を地中に埋設するとともに、等電位ボンディング(導電性部分間において、その部分間に発生する電位差を軽減するために施す電気的接続をいう。)を施すこと。
なお、これらの場合において、鉄骨等は、接地抵抗値によらず、共用の接地極として使用することができる。
共用の接地極として使う場合は、抵抗値によらず使えるかわりに等電位ボンディングが必要です。
混同しやすい数値
2Ω:非接地式高圧電路のA種・B種に鉄骨を使うときの条件です。
接地抵抗値によらず:A種からD種までの共用の接地極として使うときです。
0.5秒以内:C種とD種を500Ωにできる例外の条件です。
50Vを超える接触電圧:第18条第1項各号が、これを発生させないよう求めています。
「鉄骨造の建築物における接地工事」という設問名で出たのは令和元年度と令和5年度の2年度です。鉄骨を接地極に使う肢そのものは、高圧受電設備規程を問う出題も含めて5年度に出ています。
この論点は、次の順に確かめます。
数値さえ押さえれば、2年度とも同じ手順で解けます。
この系統の肢は、次の順に見ます。
鉄骨を非接地式高圧電路のA種接地工事の接地極に使うには何Ω以下が必要か?
大地との間の電気抵抗値が2Ω以下です。第18条第2項に定められています。
C種接地工事を500Ωにできるのはどんなときか?
低圧電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に遮断する装置を施設するときです。ここが崩れれば使えません。
A種からD種までの共用の接地極として鉄骨を使うとき、何が必要か?
鉄骨又は鉄筋コンクリートの一部を地中に埋設し、等電位ボンディングを施すことです。この場合は接地抵抗値によらず使えます。
2年度で答えになった論点はそれぞれ何か?
令和元年度は鉄骨の抵抗値を10Ωとした肢、令和5年度は遮断時間を外した肢です。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
2Ωが要るのは第2項の場合です。
第1項の共用の接地極として使う場合は接地抵抗値によらず使えます。2Ω以下が条件になるのは、第2項の非接地式高圧電路のA種・B種接地工事に使う場合です。
また、C種の500Ωは0.5秒以内に遮断する装置を施設したときの例外です。接地抵抗値の判定を問う別の出題ではこの例外を使う肢が出ていませんが、この2年度では正面から問われています。