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小出力発電設備とは?種類ごとの出力の上限を整理

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4つの肢が全部「出力20kW」で、種類だけが違うんだけど。

どの種類が何kWまでなの?

この記事の要点

小出力発電設備とは、電気事業法で一般用電気工作物に含められる、低圧で出力の小さい発電用の電気工作物のことです。

出力の線は3種類です。太陽電池が50kW未満、風力と水力が20kW未満、内燃力と燃料電池が10kW未満。電圧は600V以下です。

だから「出力20kW」で並べられたら、入るのは太陽電池だけです。

電気工作物は、まず一般用電気工作物と事業用電気工作物に分かれます。一般用のほうは、電気主任技術者を選任する必要がなく、保安規程も要りません。家庭やそれに近い規模の設備を、重い義務の外に置くための枠です。

この線引きそのものが問われた年度もあります。令和元年度 2級(前期)No.55は「電気工作物に関する記述として、電気事業法上、誤っているもの」を選ばせる形で、選択肢4の「一般用電気工作物を設置する者は、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主任技術者を選任しなければならない」が誤りです。主任技術者を選任するのは事業用電気工作物のほうで、一般用には求められません。選択肢1の「事業用電気工作物とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう」、選択肢3の「事業用電気工作物を設置する者は…保安規程を定めなければならない」は、いずれも正しい側でした。

ところが、そこに発電設備を置くと話が変わります。発電設備は電気を作って外へ送り出すので、大きくなるほど周りへの影響も大きくなります。そこで、出力が小さいものだけを一般用の側に残すことにしました。この「小さいもの」の線引きが、小出力発電設備です。

その線は、発電の種類ごとに別々に定められています。だから確認も、種類と数字の組で覚えます。

出力の線は種類ごとに3段ある

数値は施行規則にあります。

電気事業法施行規則 第48条第1項・第2項(一般用電気工作物の範囲)

法第三十八条第一項ただし書の経済産業省令で定める電圧は、六百ボルトとする。

2 法第三十八条第一項ただし書の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が五十キロワット以上となるものを除く。

一 太陽電池発電設備であって出力五十キロワット未満のもの

二 風力発電設備であって出力二十キロワット未満のもの

三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力二十キロワット未満のもの
イ 最大使用水量が毎秒一立方メートル未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
ロ 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの

四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力十キロワット未満のもの

五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力十キロワット未満のもの(以下略)

六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力十キロワット未満のもの

言い換えると、「数字は50・20・10の3段で、どの種類がどの段かだけを覚える」ということです。

例えば、令和2年度の肢では水力発電設備を「出力30kW未満」と書いており、こちらが誤りとされています。水力は20kW未満です。

出力の線 発電設備の種類
50kW未満 太陽電池発電設備
20kW未満 風力発電設備/水力発電設備
10kW未満 内燃力を原動力とする火力発電設備/燃料電池発電設備/スターリングエンジンの発電設備
種類ごとに、どこまでが小出力発電設備か 0 10kW 20kW 50kW 太陽電池 風力・水力 内燃力・燃料電池 スターリング 白丸の点は「未満」=その値は入らない
施行規則第48条第2項の数値を、種類ごとに並べた図です。目盛りの間隔は数値どおりではありません。正しいのは、太陽電池だけが50kWまで伸び、内燃力と燃料電池が10kWで止まるという順序と、端の点が「未満」であることだけです。

この区分は、そのまま工事をできる人の範囲につながります。一般用か自家用かで分かれる作業範囲は電気工事士の作業範囲にまとめました。

「20kWちょうど」が答えになる仕組み

条文はすべて「未満」で書かれています。ここが出題の急所です。

この形は2年度出ています。どちらも4つの肢を全部「出力20kW」でそろえ、種類だけを変えてあります。

年度・級・問 並べられた4種類(すべて出力20kW) 該当するもの
平成26年度 1級 No.83 風力/水力/太陽電池/燃料電池 太陽電池
平成29年度 1級 No.83 風力/太陽電池/燃料電池/内燃力火力 太陽電池

2年度とも答えは太陽電池です。風力と水力は20kW未満なので、20kWちょうどでは入りません。燃料電池と内燃力火力は10kW未満なのでさらに入りません。50kW未満の太陽電池だけが残ります。

種類の組み合わせを入れ替えても、20kWでそろえるかぎり答えは太陽電池しかありません。

電圧の側も出題されています。令和3年度2級No.55は「小出力発電設備の電圧は、経済産業省令で定められており、□V以下である」の穴埋めで、選択肢に200・300・600・750が並びました。答えは600Vです。出力は全部「未満」、電圧だけが「以下」という書き分けもそのまま出ます。

令和5年の改正は、もう出題されている

現行の電気事業法に「小出力発電設備」という語はありません。同じものが「小規模発電設備」に改められ、そのうち一般用電気工作物になる範囲が別に定められました。

電気事業法 第38条第1項・第3項(抜粋)

この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧の電気に係る発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいう。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの(中略)を除く。

二 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。

3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。

一 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が第一項第二号イの経済産業省令で定める出力以上のものであること。

その「経済産業省令で定める出力」が、施行規則の第4項です。

電気事業法施行規則 第48条第4項

法第三十八条第一項第二号イの経済産業省令で定める出力は、次の各号に掲げる設備の区分に応じ、当該各号に定める出力とする。

一 太陽電池発電設備 十キロワット(二以上の太陽電池発電設備を同一構内に、かつ、電気的に接続して設置する場合にあっては、当該太陽電池発電設備の出力の合計が十キロワット)

二 風力発電設備 零キロワット

三 第二項第三号イ又はロに該当する水力発電設備 二十キロワット

四 内燃力を原動力とする火力発電設備 十キロワット

五 第二項第五号イ又はロに該当する燃料電池発電設備 十キロワット

六 (スターリングエンジンの発電設備) 十キロワット

太陽電池は、小規模発電設備としては50kW未満のままですが、一般用電気工作物になるのは10kW未満です。10kW以上50kW未満は、小規模事業用電気工作物という別の区分に入ります。風力発電設備は第4項第二号で零キロワットと定められているので、20kW未満の風力はすべて小規模事業用電気工作物です。

この改正で、電気工事士法の側にも新しい語ができました。

電気工事士法 第2条第1項(用語の定義)

この法律において「一般用電気工作物等」とは、一般用電気工作物(電気事業法第三十八条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。以下同じ。)及び小規模事業用電気工作物(同条第三項に規定する小規模事業用電気工作物をいう。以下同じ。)をいう。

令和6年度以降の2級の問題文が「一般用電気工作物において、電気工事士でなくても従事できる作業」という書き方になっているのは、この定義によります。「等」の一文字が、小規模事業用電気工作物を含めるという意味です。

そして令和8年度1級No.53では、小規模事業用電気工作物そのものが肢に出ました。

「小規模事業用電気工作物を設置する者は、省令で定める事項を記載した書類を添えて、経済産業大臣に届け出なければならない」が、正しい肢として置かれています。改正後の枠組みは、すでに出題の対象です。古い区分だけを覚えていると読めません。

出力の線が最も動く太陽光発電そのものは別の記事で扱っています。自家用の側に移ると着工届が要ります。

過去問でどう問われたか

1級で平成26年度No.83・平成29年度No.83・令和2年度No.83、2級で令和3年度No.55に出ています。問い方が3通りあり、それによって答えの探し方が変わります。

  • ①該当するものを選ばせる(平成26年度・平成29年度):肢を全部「出力20kW」でそろえ、種類だけ変えます。20kWで入るのは太陽電池だけです。
  • ②誤っているものを選ばせる(令和2年度):出力の範囲を4つ並べ、1つだけ数字を1段ずらします。水力の20kWを30kWに書き換えた肢が答えでした。
  • ③数値を穴埋めさせる(令和3年度2級):電圧の600Vが答えです。

①と②は答えの向きが逆です。①は該当するものが1つ、②は誤っているものが1つ。問い方を読み違えると、残り3肢のどれかを選んでしまいます。

令和2年度の残り3肢は、太陽電池50kW未満・風力20kW未満・内燃力火力10kW未満で、いずれも誤りにされていません。条文の数字そのままです。

50・20・10と600V。この4つの数字で、4年度すべてが切れます。

どこを確認すれば読み分けられるか

小出力発電設備の肢は、次の順に見ます。

  • 問い方を読む:該当するものか、誤っているものかで答えが逆になります。
  • 種類を読む:太陽電池なら50kW未満、風力と水力なら20kW未満、内燃力と燃料電池なら10kW未満です。
  • 未満かちょうどかを読む:20kWちょうどの風力は入りません。
  • 電圧を読む:600V以下が条文の数値です。

まちがえやすいポイント

出題は「該当するもの」を選ばせる形と「誤っているもの」を選ばせる形の両方があります。問い方を先に読んでください。

そのうえで、条文が全部「未満」で書かれていることを思い出します。20kWの風力は「20kW未満」に入りません。ちょうどの数字は外側です。

混同しやすい語

小出力発電設備と小規模発電設備:出題で使われているのが前者、現行法の語が後者です。同じものを指しています。

一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物:現行法では、小規模発電設備のうち出力が施行規則第48条第4項の値未満なら一般用、以上なら小規模事業用(事業用電気工作物の一種)です。区分そのものは電気工作物の区分で扱っています。

50kW未満と50kW以上:第48条第2項のただし書は、同一構内で電気的に接続した設備の出力の合計が50kW以上になるものを除いています。1台ごとの出力とは別の条件です。

未満と以下:出力はすべて「未満」、電圧だけが「600V以下」です。

理解度チェック

Q.

太陽電池発電設備の出力の上限はいくらか?

50kW未満です(電気事業法施行規則第48条第2項第一号)。なお現行法で一般用電気工作物になるのは10kW未満で、10kW以上は小規模事業用電気工作物です(同第4項第一号)。

Q.

出力20kWの風力発電設備は、小出力発電設備に該当するか?

該当しません。条文は「二十キロワット未満」で、20kWちょうどは入らないためです。

Q.

小出力発電設備の電圧は何V以下か?

600V以下です(同規則第48条第1項)。

まとめ

  • 太陽電池発電設備=50kW未満。
  • 風力発電設備・水力発電設備=20kW未満(水力は最大使用水量が毎秒1立方メートル未満でダムを伴わないもの等)。
  • 内燃力を原動力とする火力発電設備・燃料電池発電設備・スターリングエンジンの発電設備=10kW未満。
  • 電圧=600V以下。
  • 条文はすべて「未満」。20kWちょうどが入るのは太陽電池だけ。
  • 現行法では「小規模発電設備」に改称。一般用電気工作物になるのは施行規則第48条第4項の出力未満で、以上は小規模事業用電気工作物。太陽電池は10kW、風力は零キロワットが境。
  • 電気工事士法の「一般用電気工作物」=一般用電気工作物+小規模事業用電気工作物(同法第2条第1項)。令和6年度以降の問題文はこの表記。

参考資料

  • 電気事業法 第38条第1項・第2項・第3項・第4項(e-Gov 法令ID 339AC0000000170)
  • 電気事業法施行規則 第48条第1項・第2項・第4項(e-Gov 法令ID 407M50000400077)
  • 電気工事士法 第2条第1項(e-Gov 法令ID 335AC0000000139)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)1級 平成26年度No.83・平成29年度No.83・令和2年度No.83・令和8年度No.53/2級 令和3年度No.55・令和元年度(前期)No.55
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