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事業用と自家用と一般用って、頭の中でごちゃ混ぜになる…。
どれがどれを含んでいるの?
この記事の要点
事業用電気工作物とは、一般用電気工作物以外の電気工作物のことです。条文がそのまま引き算で定義しています。
自家用電気工作物は、一般送配電事業などの用に供する電気工作物と一般用電気工作物を除いたものです。
主任技術者を選任する義務が掛かるのは事業用電気工作物を設置する者で、一般用電気工作物ではありません。
この区分は、一般用電気工作物を起点にした引き算でできています。
だから、まず一般用の輪郭を押さえると、残りが自動的に決まります。
まず、区分する前のいちばん外側の枠です。
電気事業法 第2条第1項第18号(電気工作物)
電気工作物 発電、蓄電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。
言い換えると、「電気を起こす、送る、使うために設置した工作物のひとまとまり」ということです。
ここで見落とされやすいのが、条文に並んでいる語です。
ダムや水路も条文に名前が挙がっています。電気設備だけが電気工作物ではありません。
除かれるものは政令が定めています。
電気事業法施行令 第1条(法第2条第1項第18号の政令で定める工作物)
一 鉄道営業法…が適用され若しくは準用される車両若しくは搬器、船舶安全法…が適用される船舶…又は道路運送車両法…第二条第二項に規定する自動車に設置される工作物であつて、これらの車両、搬器、船舶、装備移転船舶及び自動車以外の場所に設置される電気的設備に電気を供給するためのもの以外のもの
二 航空法…第二条第一項に規定する航空機に設置される工作物
三 前二号に掲げるもののほか、電圧三十ボルト未満の電気的設備であつて、電圧三十ボルト以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの
例えば、電気鉄道の車両に設置する電気設備は、この第1号によって電気工作物から除かれます。
区分は第38条にまとまっています。
電気事業法 第38条(抜粋)
2 この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。一 一般送配電事業 二 送電事業 三 配電事業 四 特定送配電事業 五 発電事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの
順番に引き算すると、こうなります。
| 区分 | 条文での決まり方 | 条項 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 構内に設置し、低圧受電電線路以外で構外と電気的に接続されていないものなど | 38条1項 |
| 事業用電気工作物 | 一般用電気工作物以外の電気工作物 | 38条2項 |
| 小規模事業用電気工作物 | 事業用電気工作物のうち、構内に設置する小規模発電設備など | 38条3項 |
| 自家用電気工作物 | 一般送配電事業などの用に供するものと、一般用電気工作物を除いたもの | 38条4項 |
事業用と自家用は入れ子です。自家用は事業用の中に含まれます。
義務の相手を条文で確かめます。
電気事業法 第43条第1項(主任技術者)
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
主語は事業用電気工作物を設置する者です。一般用電気工作物を設置する者ではありません。
混同しやすい語
事業用と自家用:事業用は一般用以外の全部です。自家用はそのうち、一般送配電事業などの用に供するものを除いた側になります。並列ではなく入れ子です。
小規模発電設備と小規模事業用電気工作物:小規模発電設備は設備の呼び名で、38条1項の括弧書きで定義されています。小規模事業用電気工作物は区分の名前で、38条3項です。
電気工作物とダム:ダム・水路・貯水池は2条1項18号に名前が挙がっています。土木構造物だから電気工作物ではない、とはなりません。
2級では、この区分と義務の掛かり先を毎年のように聞いてきます。引っかけは大きく3つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和8年度 2級 第一次検定(前期)No.53 | 電気事業法上、誤っているものはどれか | 一般用電気工作物を設置する者は主任技術者を選任しなければならない ←① |
| 令和7年度 2級 第一次検定(前期)No.54 | 電気事業法上、誤っているものはどれか | 水力発電のために設置するダムは電気工作物ではない ←② |
令和8年度で正しくは、主任技術者の選任義務は事業用電気工作物を設置する者に掛かります。
令和7年度で正しくは、ダムは2条1項18号に名前が挙がっているので電気工作物です。同じ問に並んだ「高圧で受電する需要設備は自家用電気工作物である」と「火力発電のために設置する蒸気タービンは電気工作物である」は、正しい選択肢に置かれていました。
この2つの記述は、年度によって向きが入れ替わります。令和4年度 2級 第一次検定(前期)No.55では、「高圧で受電する需要設備は一般用電気工作物である」が誤りの選択肢で、「水力発電のために設置するダムは電気工作物である」のほうが正しい選択肢でした(公表正答は選択肢2)。令和7年度とちょうど逆向きです。これが③の型です。
①の型も令和8年度だけではありません。令和5年度 2級 第一次検定(後期)No.55は「一般用電気工作物の所有者は、当該電気工作物が技術基準に適合しているか調査しなければならない」が誤りで、公表正答は選択肢1でした。令和元年度 2級 学科試験(前期)No.55にも、令和8年度とほぼ同じ「一般用電気工作物を設置する者は…主任技術者を選任しなければならない」という選択肢が並んでいます。
もう1つ、除かれる側を選ばせる型があります。平成30年度(前期)No.55・令和2年度(後期)No.55・令和6年度(前期)No.53は、いずれも「電気工作物として定められていないものはどれか」という問い方で、3年度とも公表正答は「電気鉄道の車両に設置する電気設備」でした。施行令1条第1号で除かれる側です。
義務の主語と、条文に並んだ語。この2か所だけ見れば両方とも解けます。
電気工作物まわりの肢は、次の順に見ます。
事業用電気工作物は、条文でどう定義されているか?
一般用電気工作物以外の電気工作物です(電気事業法38条2項)。引き算での定義になっています。
主任技術者を選任する義務は、誰に掛かるか?
事業用電気工作物を設置する者です(43条1項)。一般用電気工作物を設置する者には掛かりません。
水力発電のために設置するダムは、電気工作物に当たるか?
当たります。2条1項18号に、機械・器具と並んでダム・水路・貯水池・電線路が挙げられています。
参考資料
※ この記事の法令・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
自家用電気工作物を「自分で使う設備」と言葉の印象で覚えると、条文と合わなくなります。
条文の作りは一般用を引き、さらに一般送配電事業などの用に供するものを引いた残りです。印象ではなく引き算の順で押さえます。