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キュービクルの中で、コンデンサにくっついてる機器が2つあるよね。
どっちが何をしてるの?
この記事の要点
直列リアクトルとは、進相コンデンサに直列に入れて、回路電圧の波形のひずみを軽減し、コンデンサ投入時の突入電流を抑えるための機器のことです。JISの適用範囲に、この2つの目的が並べて書かれています。
コンデンサの残留電荷を放電するのは、直列リアクトルの役目ではありません。放電コイルの役目です。
この放電の役目を直列リアクトルに貼り付けた肢が、2級で3年度とも誤りとして出ています。
コンデンサにくっつく機器は、目的が1つずつ違います。
だから、機器の名前で覚えるより、目的とつなぎ方をセットにするほうが混ざりません。
目的は、JISの適用範囲にそのまま書かれています。
JIS C 4902-2:2010 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器−第2部:直列リアクトル 1(適用範囲)
この規格は、力率改善、電圧調整などの目的で、交流3 300 V以上の回路に使用し、JIS C 4902-1に規定する高圧及び特別高圧進相コンデンサ又はコンデンサ群(以下、コンデンサという。)に直列に挿入して、回路電圧の波形のひずみを軽減させ、かつ、コンデンサ投入時の突入電流を抑制する目的に使用する直列リアクトル(以下、リアクトルという。)について規定する。
ここから読み取れる目的は2つです。
言い換えると、「つないだ瞬間の暴れと、つないだ後の波形の乱れを抑える」ということです。
どちらも、コンデンサそのものを守る話ではなく、コンデンサをつないだ回路の側を整える話です。
容量にも決まりがあります。
JIS C 4902-2:2010 7.6(定格容量)
定格容量は、コンデンサの定格容量の6 %とする。
例えば、定格容量が100 kvarのコンデンサに組み合わせるなら、直列リアクトルは6 kvarとなります。
放電コイルです。こちらもJISに目的が書かれています。
JIS C 4902-3:2010 高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器−第3部:放電コイル 1(適用範囲)
この規格は、力率改善、電圧調整などの目的で、交流600 Vを超える回路で負荷と並列に接続して使用し、JIS C 4902-1に規定する高圧及び特別高圧進相コンデンサ又はそのコンデンサ群(以下、コンデンサという。)に常時併用され、コンデンサを回路から切り離したときの残留電荷を短時間に放電させる目的に用いる放電コイルについて規定する。
放電の速さも数値で決まっています。放電開始から5秒後に、コンデンサの端子電圧が50 V以下でなければなりません。
2つの機器を、つなぎ方と目的で並べます。
| 機器 | つなぎ方 | 目的 | JIS |
|---|---|---|---|
| 直列リアクトル | コンデンサに直列 | 回路電圧の波形のひずみの軽減/投入時の突入電流の抑制 | C 4902-2 |
| 放電コイル | 負荷と並列 | 切り離したときの残留電荷を短時間に放電 | C 4902-3 |
つなぎ方が違うので、目的も入れ替わりません。直列に入るのが波形と突入電流、並列に付くのが放電です。
放電のはやさを、別の機器と比べさせた年度もあります。
平成27年度 1級 学科試験No.33(公表正答4)
コンデンサの残留電荷は、放電コイルよりも放電抵抗の方が短時間に放電できる。
これが最も不適当とされました。短時間に放電できるのは放電コイルのほうです。同じ問の「放電コイルは、コンデンサに並列に接続して使用する」は正しい側に置かれています。
放電の役目を直列リアクトルに置き換える入れ替えは、2級で3年度とも答えになりました。
平成28年度と令和4年度は、設問文まで同じです(「進相コンデンサと接続して使用する直列リアクトルに関する記述として、不適当なものはどれか」)。置かれた位置も3年度とも選択肢2でした。
この2年度で正しい側に置かれた肢も、直列リアクトルの目的そのものです。
1級では、リアクトル全般の設問で同じ崩し方が繰り返されています。
言い回しは3年度とも違いますが、崩している所は同じです。リアクトルは遅れ電流を流す側の機器で、遅れを打ち消したり改善したりする役目ではありません。
3年度とも、進相コンデンサに直列に接続して高調波の流入や突入電流を抑えるという肢は、正しい側に置かれています。令和4年度1級第一次検定No.8でも「電力用コンデンサ回路に使用される直列リアクトルは、回路電圧波形のひずみを軽減する」が正しい側でした(公表正答3は同期調相機の肢)。
令和6年度 2級 第一次検定(後期)No.7(公表正答3)
高調波障害対策として、電力用コンデンサに並列にリアクトルを施設する。
高調波の設問の中に置かれていますが、崩れているのは直列か並列かです。直列リアクトルは直列に入れます。
直列リアクトルを入れると、コンデンサの端子電圧が変わります。
令和5年度 1級 第一次検定No.32(公表正答3)
進相コンデンサの端子電圧は、直列リアクトルを用いた場合、回路の電圧より低下する。
これが誤りとされました。回路の電圧より上昇します。直列リアクトルの分だけ電圧が持ち上がるので、コンデンサの定格電圧は回路電圧より高いものを選びます。
混同しやすい語
直列リアクトルと放電コイル:どちらもコンデンサに併用しますが、直列リアクトルは直列に挿入して波形のひずみと突入電流を扱い、放電コイルは並列に接続して残留電荷を放電します。
直列リアクトルと分路リアクトル:直列リアクトルはコンデンサに直列です。架空送電線路に並列に接続するリアクトルについて、平成30年度の1級では「負荷の遅れ電流を補償する」とした説明が誤りとされました。
コンデンサの容量とリアクトルの容量:直列リアクトルの定格容量は、コンデンサの定格容量の6 %と規定されています。同じ値ではありません。
この論点は1級で5年度・6問、2級で4年度・4問出ています。引っかけは大きく4つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 引っかけ |
|---|---|---|
| 平成30年度 2級 学科試験(後期)No.25 | キュービクル式高圧受電設備の高圧進相コンデンサ及び直列リアクトルに関する記述として最も不適当なもの | 残留電荷を放電するため直列リアクトルを取り付けるとした ←① |
| 平成30年度 1級 学科試験 No.7 | リアクトルの設置に関する記述として不適当なもの | 架空送電線路に並列に接続し負荷の遅れ電流を補償するとした ←② |
2級で正しくは、残留電荷の放電は放電コイルの目的です。直列リアクトルの目的は波形のひずみの軽減と突入電流の抑制です。
なお1級の同じ問では、コンデンサに直列に接続して回路電圧波形を改善するという説明と、コンデンサ開放時に開閉器の再点弧の発生を防止するという説明は、どちらも正しい肢として置かれていました。
直列は波形と突入電流、並列は放電。この2語だけ押さえれば入れ替えに気づけます。
リアクトルやコンデンサの肢が並んだときは、次の順に見ます。
直列リアクトルをコンデンサに直列に入れる目的は何か?
回路電圧の波形のひずみを軽減することと、コンデンサ投入時の突入電流を抑制することです。JIS C 4902-2の適用範囲にこの2つが書かれています。
コンデンサを回路から切り離したときの残留電荷は、どの機器が放電するか?
放電コイルです。負荷と並列に接続してコンデンサに常時併用し、放電開始から5秒後に端子電圧を50 V以下にします。
直列リアクトルの定格容量は、何を基準にどれだけと決まっているか?
コンデンサの定格容量の6 %です。JIS C 4902-2の7.6に規定されています。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の規格・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
キュービクルの図では、直列リアクトルも放電コイルもコンデンサのすぐそばに描かれます。
絵で覚えると位置が似ているので混ざります。直列リアクトルは電流の通り道に割り込んで入り、放電コイルは通り道の横にぶら下がる、という向きの違いで覚えると取り違えにくくなります。