令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.32は、高圧受変電設備に用いる機器に関する記述として、不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、直列リアクトルを入れるとコンデンサの電圧がどちらに動くかを分かっているかを問うものです。回路の電圧より上昇します。
低下ではありません。
正解:選択肢3(回路の電圧より低下する)
> この論点をやさしく解説:直列リアクトルは何のために入れるのか?進相コンデンサと放電コイルの役割の違い
> この論点をやさしく解説:高調波とは?発生源・影響と直列リアクトルによる対策を整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 引外し方式に過電流・電圧・コンデンサ | 3種類とも実在する。適当 |
| 2 | 限流ヒューズは一般用G、変圧器用T | 記号のとおり。適当 |
| 3 | 直列リアクトルで端子電圧が低下 | 上昇する。不適当 |
| 4 | %Zが大きいほど遮断容量は小さくできる | 短絡電流が減る。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、直列に何かを入れると電圧降下が起きて電圧が下がる、という直流の感覚で読んでしまうところです。交流でリアクトルとコンデンサを直列にすると、それぞれの電圧は打ち消し合う向きになります。
リアクトルの電圧とコンデンサの電圧は、位相が180度ずれています。回路にかかる電圧はその差になります。
直列リアクトル付きの電圧
回路の電圧 V = VC - VL
したがって VC = V + VL
コンデンサの端子電圧は、回路の電圧よりリアクトル分だけ高くなる
6%リアクトルなら、コンデンサの端子電圧は回路の電圧の約1.06倍になります。
6%リアクトルの場合
VC = V ÷ (1 - 0.06) = V ÷ 0.94 ≒ 1.06 V
だからコンデンサは、回路電圧より高い電圧に耐える定格で選ばなければなりません。6,600Vの回路なら、コンデンサの定格電圧は7,020Vになります。
直列リアクトルを入れる目的は2つです。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 高調波の抑制 | 回路を誘導性にして、第5調波などの拡大を防ぐ |
| 突入電流の抑制 | 投入した瞬間に流れる大電流を小さくする |
選択肢1の引外し方式は、遮断器を開かせるための電源の取り方です。
| 方式 | 引外しの電源 |
|---|---|
| 過電流引外し | 変流器から取り出した事故電流そのもの |
| 電圧引外し | 別に用意した制御電源 |
| コンデンサ引外し | あらかじめ充電しておいたコンデンサ。停電しても動く |
コンデンサ引外しは、停電で制御電源が失われても遮断器を開けるようにした方式です。蓄電池を持たない小規模な設備で使われます。
選択肢2の限流ヒューズは、記号で用途が分かるようになっています。
| 記号 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| G | 一般用 | 標準的な溶断特性 |
| T | 変圧器用 | 励磁突入電流で切れないようにしてある |
| M | 電動機用 | 始動電流で切れないようにしてある |
| C | コンデンサ用 | 投入時の突入電流に耐える |
選択肢4のパーセントインピーダンスは、短絡電流の大きさを決めます。
短絡電流
Is = 定格電流 × 100 ÷ %Z
%Zが大きいほど短絡電流は小さい
短絡電流が小さくなれば、それを切る遮断器の遮断容量も小さくて済みます。ただし%Zが大きいと通常時の電圧変動も大きくなるので、大きければよいわけではありません。
直列リアクトルを入れるとコンデンサの端子電圧が上がるのはなぜか。
リアクトルとコンデンサの電圧は位相が180度ずれて打ち消し合うためです。回路電圧はその差なので、コンデンサ側はリアクトル分だけ高くなります。
変圧器のパーセントインピーダンスが大きいと遮断容量を小さくできるのはなぜか。
短絡電流が定格電流の100÷%Z倍になるためです。%Zが大きいほど短絡電流が小さくなります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月