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ディーゼルとガスタービンの比較って、どっち向きなの?
主語が入れ替わると、向きが逆に見えるんだけど…。
この記事の要点
ディーゼル発電装置とは、ディーゼル機関で発電機を回す自家用の発電設備のことです。
ガスタービンと比べると燃焼用空気量が少なく、部品点数は多く、重い側です。
「構成部品点数が少なく、重量も軽い」と書いた肢は2年度とも答えになりました。
自家用発電設備の比較は、1級で9年度に問われています。これに冷却方式だけを問う2年度が加わり、合わせて11年度です。
ディーゼルを主語にする年度と、ガスタービンを主語にする年度があります。同じ比較を、どちら側から書くかが入れ替わるだけです。
どちらも常用ではなく非常電源として置かれることが多く、停電時に自動で立ち上がります。系統側で足りない分を補う発電の運用とは役割が違います。
ディーゼル機関は、シリンダーの中でピストンが上下します。往復する動きを回転に変えるので、どうしても揺れます。ガスタービンは羽根車が回るだけなので、揺れが小さい。
この違いが、部品の数にも効きます。往復する仕組みにはピストン・クランク・弁が要りますが、回るだけならその一式が要りません。部品が少なければ、軽くなります。
ここが引っかけの本体です。ディーゼルのほうが部品が少なく軽いと書いた肢が、2年度とも答えになりました。向きは逆で、少なく軽いのはガスタービンの側です。
例えば、肢に「ディーゼル機関はガスタービンに比べて燃焼用空気量が少ない」とあれば、そこで切れます。空気量が少ないのはガスタービンではなくディーゼルの側だと覚えていても、この肢は主語がディーゼルなので正しい向きです。実際に答えになるのは、これを逆に書いた形です。
言い換えると、「主語がどちらかを読んでから、向きを当てる」ということです。項目だけを覚えると、主語が入れ替わったときに外します。
出題は2通りあります。ディーゼルを主語にする形が4年度、ガスタービンを主語にする形が5年度。両方を合わせると、比較の向きがすべて確定します。
| 項目 | ディーゼル | ガスタービン |
|---|---|---|
| 機関の形式 | 往復動機関 | 回転機関 |
| 振動 | 大きい | 少ない(3年度) |
| 構成部品・重量 | 多く、重い | 少なく、軽い(3年度) |
| 燃焼用空気量 | 少ない | 多い(3年度) |
| 本体の冷却水 | 必要 | 不要(3年度) |
| 使用燃料 | 軽油やA重油 | 液体又は気体(気体に限られない) |
| 軽負荷時の完全燃焼 | 得られにくい | ー |
| 窒素酸化物・騒音 | 窒素酸化物は多い(令和7年度で「低い」と書いて答え) | 窒素酸化物は少ない(平成28年度で正しい側)/騒音は高周波音 |
| 整備 | 設置場所で点検も分解もできる | ー |
部品・重量の向きは、ガスタービン側の3年度が決めています。平成28年度1級No.35は「部品点数が多く重量が大きい」を誤りとし、平成30年度1級No.35の選択肢4は「ディーゼルエンジンに比べて構成部品が少ない」を正しい側に、令和3年度1級No.35の選択肢4は「体積、重量ともに小さく軽い」を正しい側に置きました。
だからディーゼル側で「構成部品点数が少なく、重量も軽い」と書いた令和元年度・令和4年度の肢は、2年度とも答えになります。主語がどちらかを読み違えると、正解の肢を選んでしまいます。
往復動か回転かという形式の違いが、表の並びにそのまま対応しています。往復させる側が部品も重量も振動も大きく、回転する側が小さい。この対応をつかんでおけば、個々の項目を1つずつ覚えなくても向きが出せます。
据え付けにも決まりがあります。原動機と燃料小出タンクの間隔、通気管の先端を建築物の開口部から離す距離が問われ、燃料の扱いがそのまま論点になります。
停電時に立ち上がるまでの時間は、機関の種類で変わります。その間を埋めるのが蓄電池で、切り替えは瞬時ですが容量は小さくなります。系統規模で貯める揚水発電とは、受け持つ時間の長さが違います。
なお、発電設備は出力の大きさで扱いが分かれ、小さいものは小出力発電設備として別の区分になります。排気に含まれる成分や高調波の扱いは、また別の問で問われます。
| 年度・級・問 | 誤りとされた記述 |
|---|---|
| 平成25年度・令和3年度 1級 No.35 | ガスタービン本体を冷却するための水が必要である |
| 平成28年度 1級 No.35 | (ガスタービンは)部品点数が多く重量が大きい |
| 平成29年度 1級 No.35 | (ディーゼルは)軽負荷時でも燃料の完全燃焼が得られやすい |
| 平成30年度・令和6年度 1級 | (ガスタービンの)使用燃料は気体燃料に限られている |
| 令和元年度・令和4年度 1級 No.35 | (ディーゼルは)構成部品点数が少なく、重量も軽い |
作り方は3つです。①向きを逆にする(冷却水・部品点数・完全燃焼)、②限定する(気体燃料に限られている)、③主語を入れ替える(ガスタービンの特徴をディーゼルに付ける)。
令和元年度と令和4年度は、答えの文が一字一句同じで、位置も選択肢4で同じでした。平成29年度も選択肢4が答えです。ただし令和7年度1級No.32は選択肢3が答えなので、位置は固定ではありません。
上の表でディーゼル側が空欄だった窒素酸化物が、令和7年度で答えになりました。
令和7年度 1級 第一次 No.32 選択肢3(誤りの側。公表正答は選択肢3)
(ガスタービン発電装置と比較したディーゼル発電装置の特徴として)発生する窒素酸化物の濃度が低い。
低いのはガスタービンの側です。平成28年度1級No.35の選択肢4は「(ガスタービンは)窒素酸化物の発生量が少ない」を正しい側に置いています。同じ論点を、主語を替えて裏返した形です。
同じ問の選択肢1「燃料消費率が低い」、選択肢2「燃焼用空気量が少ない」、選択肢4「冷却水が必要である」は、いずれもディーゼル側の正しい特徴です。
ディーゼル機関の冷却方式を主題にした問が、1級に2年度あります。答えは2年度とも同じ文でした。
令和5年度 1級 第一次 No.35 選択肢3(公表正答は選択肢3)/令和8年度 1級 第一次 No.32 選択肢1(公表正答は選択肢1)
直結ラジエータ冷却方式は、地震などにより補給水が断たれた場合、運転が不可能となる。
直結ラジエータ冷却方式は補給水を使わないので、断たれても運転できます。位置は選択肢3から選択肢1へ動きましたが、文はほとんど変わりません。
同じ問に並ぶ残り3つは、いずれも正しい側です。
1級で9年度に出ています。ディーゼルを主語にしたのが平成29年度No.35・令和元年度No.35・令和4年度No.35・令和7年度No.32、ガスタービンを主語にしたのが平成25年度No.35・平成28年度No.35・平成30年度No.35・令和3年度No.35・令和6年度No.32です。どちらの形も、同じ比較を裏表で問うています。このほかに、冷却方式だけを問う形が令和5年度1級No.35と令和8年度1級No.32の2年度あります。
自家用発電設備そのものの運用は発電方式の出力分担、停電時に何分もたせるかは非常電源の容量で扱っています。回転機で発電するという点では水車発電機や風力発電とも並びます。
この論点は、次の順に確かめます。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
得られやすいと得られにくい:軽負荷時の完全燃焼は得られにくい側です。やすいと書いた肢が平成29年度の答えでした。
振動と空気量:振動は大きい側、燃焼用空気量は少ない側です。向きが逆なので混ざります。
冷却水と燃料:原動機本体に冷却水が必要で、燃料は軽油やA重油です。どちらも正しい側に置かれています。
構成部品点数:少なく軽いとした肢が2年度とも答えでした。
軽負荷時の燃料の完全燃焼はどうなるか?
得られにくい側です。得られやすいと書いた肢が平成29年度の答えでした。
ガスタービンと比べて燃焼用空気量はどうか?
少ない側です。2年度とも正しい側に置かれています。
発生振動はガスタービンと比べてどうか?
大きい側です。往復動機関であることが理由として肢に書かれています。
令和元年度と令和4年度で答えになったのはどの記述か?
構成部品点数が少なく重量も軽いという記述です。2年度とも同じ文で、位置も同じでした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
ディーゼルを主語にした4年度のうち、3年度は選択肢4が答えです。
平成29年度は軽負荷時の完全燃焼、令和元年度と令和4年度は構成部品点数と重量。論点は違いますが、位置は動きません。
ただし位置だけを頼りにすると、ガスタービンを主語にした年度で外します。主語がどちらかを読んでから、向きを当ててください。ガスタービン側が主語なら、部品は少なく軽い、空気量は多い、冷却水は不要が正しい側です。