令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.35は、自家用発電設備に用いるディーゼル機関の冷却方式に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、外から水をもらう方式かどうかで4つを分けられるかを問うものです。直結ラジエータ方式は閉じた回路なので、補給水がなくても運転できます。
だから非常用発電機に多く使われます。
正解:選択肢3(補給水が断たれた場合、運転が不可能となる)
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 冷却塔方式は蒸発潜熱で冷却 | 水を蒸発させて熱を奪う。適当 |
| 2 | 熱交換は一次側が清水、二次側は河川水 | 機関側は清水で守る。適当 |
| 3 | 直結ラジエータは補給水が断たれると運転不可 | 補給水が要らない。不適当 |
| 4 | 水槽循環は水温が上がるまで運転を継続 | 水槽の水を使い切るまで動く。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、選択肢4で水槽循環方式が「補給水が断たれても水温が上がるまでは動く」と書かれているので、ラジエータのほうが弱いように読めてしまうところです。実際は逆で、ラジエータがいちばん水に強い方式です。
直結ラジエータ方式は、自動車のラジエータと同じ仕組みです。機関で温まった冷却水をラジエータへ送り、ファンの風で冷やしてまた機関へ戻します。水は回路の中を回るだけで外へ出ません。
蒸発しないので減らず、外から補う必要がありません。地震や断水で水が来なくなっても運転できるので、非常用発電設備の標準的な方式になっています。
| 方式 | 補給水 | 断たれたとき |
|---|---|---|
| 直結ラジエータ | 不要 | そのまま運転できる |
| 水槽循環 | 必要 | 水温が許容限度に上がるまでは運転を継続 |
| 冷却塔 | 必要 | 蒸発する分だけ減るので続かない |
| 熱交換 | 必要 | 二次側の水が来ないと冷やせない |
この論点は2つの年度で確定しています。平成26年度 1級 No.35と令和8年度 1級 No.32は、どちらも「直結ラジエータ冷却方式は、地震等により補給水が断たれた場合、運転が不可能となる」とほぼ同じ文を置き、どちらでも公表正答になっています。
選択肢4も、令和2年度 1級 No.35で確かめられます。そちらは「水槽循環冷却方式は、補給水が断たれた場合、直ちに運転を停止させる必要がある」と書いて公表正答になりました。つまり水温が上がるまでは続けられるのが正しい形です。
選択肢1の冷却塔方式は、水の一部を蒸発させて熱を奪います。
蒸発潜熱による冷却
水が蒸発するとき、まわりの水から熱を奪う
蒸発した分の水は減るので、補給が必要になる
選択肢2の熱交換冷却方式は、2つの水の回路を熱交換器で接する構造です。
| 回路 | 使う水 | 理由 |
|---|---|---|
| 一次側(機関本体側) | 清水 | 機関の中を通るので、さびや詰まりを避ける |
| 二次側 | 河川水など | 機関には入らないので、汚れた水でよい |
2つの水は混ざらず、熱だけがやりとりされます。機関の中には清水しか入らないので、河川水を大量に使いながら機関を守れます。
直結ラジエータ冷却方式に補給水が要らないのはなぜか。
冷却水が閉じた回路の中を回るだけで外へ出ず、蒸発もしないためです。断水しても運転できるので非常用発電設備に使われます。
熱交換冷却方式で、一次側に清水を使うのはなぜか。
一次側は機関本体の中を通るためです。さびや詰まりを避ける必要があります。二次側は機関に入らないので河川水などが使えます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月