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計器用変流器の二次側を開放してよいか?VT・CT・ZCTで分かれる扱い

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VTとCTって名前が似てるけど、どっちが開放でどっちが短絡なの?

年度によって同じ肢が正しかったり誤りだったりして、混乱する…。

この記事の要点

計器用変成器とは、直接測定することができない高電圧や大電流を、測定しやすい電圧や電流に変成する機器のことです。

二次側の扱いはVTとCTで逆です。計器用変圧器は短絡してはならず、変流器は開放してはなりません

零相変流器は、三相分の電線を一括して変流器に貫通させます。

計器用変成器は、変流器と計器用変圧器をまとめて呼ぶ名前です。

日本産業規格でも、同じ規格番号の第1部が変流器、第2部が計器用変圧器という部編成になっています。

日本産業規格 JIS C 1731 の部編成

JIS C 1731-1:1998 計器用変成器-(標準用及び一般計測用) 第1部:変流器

JIS C 1731-2:1998 計器用変成器-(標準用及び一般計測用) 第2部:計器用変圧器

言い換えると、「計器用変成器という総称の下に、電流を測るCTと電圧を測るVTが並んでいる」ということです。

この総称そのものが出題に置かれたこともあります。平成29年度 1級 No.18の選択肢2は「計器用変成器は、直接測定することができない高電圧や大電流を測定しやすい電圧や電流に変成する」で、正しい側でした(答えは選択肢1の負荷時タップ切替器)。

例えば、令和5年度2級前期の肢では「計器用変圧器には、巻線形とコンデンサ形が用いられる」が正しい肢として置かれました。規格の第2部にも、コンデンサ形計器用変圧器という語が出てきます。

二次側の扱いはVTとCTで逆

ここが3年度すべての中心です。

機器 一次側の状態 二次側でしてはならないこと
計器用変圧器(VT) 電圧をかけた状態 短絡
変流器(CT) 電流が流れている状態 開放
二次側でしてはならないことが逆 VT(計器用変圧器) 一次側は電圧を受ける 二次側を短絡しない 二次側の1線は接地する CT(計器用変流器) 一次側は電流を受ける 二次側を開放しない 開放すると高電圧が出る 「開放する」と書いてあればCTの肢を疑う ZCTは三相分の電線を一括して貫通させる
2つの変成器の扱いを見比べるための模式図です。結線や巻数比を表したものではありません。正しいのは、VTは短絡せず、CTは開放しないという点です。

令和3年度2級は、この対比をそのまま穴埋めにしています。

問題文は「計器用変圧器は、一次側に電圧をかけた状態で二次側を〔ア〕してはならず、変流器は、一次側に電流が流れている状態で二次側を〔イ〕してはならない」という形です。アとイの組合せを選ばせます。

変流器の二次側については、同じ論点が2年度で反転しています。

  • 令和5年度 2級前期 No.15 計器用変流器(CT)は、二次側を開放する(誤り)
  • 令和7年度 2級前期 No.13 計器用変流器(CT)は、二次側を開放しない(正しい肢)

語尾が2文字変わるだけで扱いが入れ替わります。肢を読むときは、末尾の否定の有無まで見てください

零相変流器は三相を一括して貫通

零相変流器(ZCT)の貫通のさせ方も、正しい形と誤りの形が2年度で対になっています。

  • 令和5年度 2級前期 No.15 三相分の電線を一括して変流器に貫通させる(正しい肢)
  • 令和7年度 2級前期 No.13 各相ごとに電線を別々の変流器に貫通させる(誤り)

零相変流器は、中性点非接地方式の高圧配電系統で地絡事故から系統を保護するために使う機器としても出ています。令和元年度2級No.19では、零相変流器・接地形計器用変圧器・地絡方向継電器が正しい側に並び、避雷器だけが外れました。

二次側の接地と端子の接続

残る2つの論点は、2年度とも正しい肢として置かれています。読み飛ばして差し支えありません。

  • 計器用変圧器(VT)の接地:二次側の1線を接地します。令和5年度は「二次側の線を接地する」、令和7年度は「二次側の1線を接地する」という書き方でした。
  • 変流器(CT)の二次端子:接続を誤ると、計器や保護継電器の誤動作に至る場合があります。令和5年度は「発生する異常電流により保護継電器の誤動作に至る場合がある」という書き方でした。

まちがえやすいポイント

規格が定めているのは、定格と試験方法までです。

JIS C 1731-1 と JIS C 1731-2 には、二次側を開放してはならない、短絡してはならないという取扱い上の禁止規定がありません。零相変流器という語も出てきません。規格には二次短絡試験という項目があり、こちらは試験の手順を定めたもので、現場での扱いとは別の話です。

混同しやすい語

計器用変圧器(VT)と変流器(CT):VTは電圧、CTは電流を変成します。二次側でしてはならないことは、VTが短絡、CTが開放で逆になります。

変流器(CT)と零相変流器(ZCT):CTは各相の電流を測ります。ZCTは三相分の電線を一括して貫通させ、地絡電流を検出します。

接地形計器用変圧器と計器用変圧器:地絡保護に使うのは前者です。令和元年度2級では、零相変流器と地絡方向継電器と並んで正しい側に置かれました。

巻線形とコンデンサ形:どちらも計器用変圧器の形式です。規格の第2部にコンデンサ形計器用変圧器という語があります。

計器用変成器と変成器:計器用変成器はVTとCTの総称です。規格の第1部が変流器、第2部が計器用変圧器という部編成になっています。

略号の読み分け:VT・CT・ZCTの訳が入れ替えられる出題もあります。JEMの文字記号の記事にまとめました。

零相変流器と地絡方向継電器:ZCTで拾った零相電流をどう使うかは地絡方向継電器の記事で扱っています。

変電所の機器:断路器・分路リアクトル・避雷器などの役割は変電所の機器の役割の記事にあります。

主遮断装置:高圧受電設備でどの遮断器を選ぶかは主遮断装置の記事で扱っています。

過電流遮断器:施設しない箇所と高圧に求められる性能は過電流遮断器の施設の記事にまとめました。

過去問でどう問われたか

計器用変成器の取扱いは、2級で3年度に出ています。令和3年度だけが穴埋め、あとの2年度は4肢から不適当なものを選ばせる形です。

年度・級・問 問われた形 中心の論点
令和3年度 2級(後期)第一次 No.15 穴埋め(開放と短絡の組合せ) VTは短絡、CTは開放
令和5年度 2級前期 第一次 No.15 VT接地/CT二次側/ZCT貫通/CT端子 CTの二次側
令和7年度 2級前期 第一次 No.13 CT二次側/VT接地/CT端子/ZCT貫通 ZCTの貫通

令和5年度と令和7年度は、並ぶ4つの論点が同じで、順番と正誤だけが入れ替わっています。4つを一組で覚えると、どちらの年度も同じ手数で解けます。

計器用変成器の肢は、次の順に見ます。

  • VTかCTかを先に見る:VTは短絡が禁物、CTは開放が禁物です。
  • 末尾の否定を読む:「開放する」と「開放しない」で扱いが逆になります。
  • ZCTは一括か別々か:三相分を一括して貫通させるのが正しい形です。
  • 接地と端子の肢は飛ばす:VTの二次側の接地とCTの二次端子の誤接続は、2年度とも正しい肢でした。

理解度チェック

Q.

計器用変圧器の二次側でしてはならないことは?

短絡です。一次側に電圧をかけた状態で二次側を短絡してはなりません。

Q.

変流器の二次側でしてはならないことは?

開放です。一次側に電流が流れている状態で二次側を開放してはなりません。令和5年度2級前期では「二次側を開放する」が誤り、令和7年度2級前期では「二次側を開放しない」が正しい肢でした。

Q.

零相変流器に電線を通すときの向きは?

三相分の電線を一括して変流器に貫通させます。各相ごとに別々の変流器へ通すという書き方は誤りとされました。

Q.

計器用変圧器の形式を2つ挙げると?

巻線形とコンデンサ形です(令和5年度2級前期No.14で正しい肢)。規格の第2部にもコンデンサ形計器用変圧器という語があります。

まとめ

  • 計器用変成器は直接測定することができない高電圧や大電流を、測定しやすい電圧や電流に変成する機器。
  • 規格の部編成は第1部が変流器、第2部が計器用変圧器(JIS C 1731-1/JIS C 1731-2)。
  • 計器用変圧器は二次側を短絡してはならず、変流器は二次側を開放してはならない
  • 変流器の二次側は、同じ論点が令和5年度と令和7年度で反転して出ている。
  • 零相変流器は三相分の電線を一括して貫通させる。各相ごとに別々の変流器へ通す書き方は誤り。
  • 計器用変圧器は二次側の1線を接地する。変流器の二次端子の接続を誤ると保護継電器の誤動作に至る場合がある。

参考資料

  • 日本産業規格 JIS C 1731-1:1998「計器用変成器-(標準用及び一般計測用) 第1部:変流器」、JIS C 1731-2:1998「同 第2部:計器用変圧器」(部編成と形式の名称)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級・2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成29年度・令和元年度・令和3年度・令和5年度・令和7年度
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