令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.24は、配電系統の電圧調整に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、ステップ式自動電圧調整器をどこに置くかを分かっているかを問うものです。SVRは線路の途中に置いて、そこから先の電圧を持ち上げます。
送り出し部の電圧を決めるのは変電所の負荷時タップ切換変圧器です。
正解:選択肢2(送り出し部にステップ式自動電圧調整器)
> この論点をやさしく解説:配電系統の電圧調整とは?電圧を上げる機器と下げる機器の使い分け
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 太い電線に張り替える | 抵抗が下がる。適当 |
| 2 | 送り出し部にSVRを施設 | SVRは線路の途中。不適当 |
| 3 | 末端部に分路リアクトルで電圧上昇を抑制 | 進み分を吸収する。適当 |
| 4 | 柱上変圧器のタップを変更 | 引込口の電圧を合わせる。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、電圧を上げるなら手前でやったほうが効きそうに見えるところです。送り出し部で上げると、変電所に近い需要家の電圧まで一緒に上がってしまいます。
配電線の電圧は、末端に向かって下がっていきます。こう長が長いと、末端を規定内に入れようとして送り出しを上げれば手前が上限を超え、手前を合わせれば末端が下限を割ります。両端を同時に満たせないのが問題です。
そこで線路の途中にSVRを入れます。SVRから手前はそのまま、SVRから先だけを持ち上げるので、両方を規定内に収められます。
| 機器 | 置く場所 | 調整するもの |
|---|---|---|
| 負荷時タップ切換変圧器(LRT) | 変電所 | 配電線の送り出し電圧 |
| ステップ式自動電圧調整器(SVR) | 線路の途中 | そこから先の線路電圧 |
| 柱上変圧器のタップ | 各柱上 | その変圧器につながる需要家の二次電圧 |
令和3年度 No.27では、「こう長が長い配電線の電圧降下を許容範囲内に抑えるために、線路の途中に配電用(ステップ式)自動電圧調整器を施設した」が正しい選択肢として置かれていました(公表正答は4)。場所は「線路の途中」です。
同じ問題で誤りとされたのは「こう長が長い配電線の末端で、軽負荷時の電圧上昇を抑制するために、電力用コンデンサを施設した」のほうです。電力用コンデンサは進相なので、入れると電圧は上がります。上昇を抑えたいときに使うのは逆の分路リアクトルです。
これが今回の選択肢3にあたります。軽負荷のとき、線路の静電容量や太陽光発電の逆潮流で末端の電圧が上がることがあります。分路リアクトルを入れると遅れ無効電力を消費して電圧が下がります。
選択肢1は電線の張り替えです。電圧降下は電流と線路インピーダンスの積で決まるので、太くして抵抗を下げれば降下が小さくなります。効果は確実ですが工事の費用がかかります。
選択肢4は柱上変圧器のタップです。高圧側の何ボルトを二次側の105Vや210Vに対応させるかを選びます。線路のどこにつながっているかで高圧側の電圧が違うので、場所に応じたタップを選んで引込口の電圧を規定内に収めます。
ステップ式自動電圧調整器はどこに施設するか。
線路の途中です。そこから先だけを持ち上げるので、手前の電圧を上げずに末端を規定内に入れられます。
軽負荷時の電圧上昇を抑えるにはコンデンサとリアクトルのどちらを入れるか。
分路リアクトルです。電力用コンデンサは進相なので、入れると電圧はかえって上がります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月