令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.27は、配電系統に発生する電圧フリッカの抑制対策に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、フリッカの速さに機器が追いつけるかを分かっているかを問うものです。SVRはタップを機械で切り換えるので、秒より速い変動には追従できません。
フリッカは1秒間に何回も起きる変動です。
正解:選択肢2(ステップ式自動電圧調整器を施設する)
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| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 短絡容量の大きな電源系統に変更 | 電圧が動きにくくなる。適当 |
| 2 | ステップ式自動電圧調整器(SVR) | 応答が遅く追従できない。不適当 |
| 3 | 専用の変圧器から供給する | 他の需要家へ影響させない。適当 |
| 4 | 三巻線補償変圧器を設置 | アーク炉用の対策。適当 |
不適当なのは選択肢2です。
引っかけの核心は、SVRが電圧を調整する装置なので、電圧の変動が問題なら効きそうに見えるところです。効くかどうかは変動の速さで決まります。
フリッカは、アーク炉や溶接機のように負荷電流が激しく上下する機器が原因で起きます。1秒間に何回も電圧が揺れるので、照明がちらついて見えます。
SVRは変圧器のタップを機械的に切り換える装置です。1回の切り換えに数十秒かかるので、秒より速い揺れには全く追いつけません。SVRが担当するのは、朝と昼で負荷が変わるような、ゆっくりした電圧の変化です。
| 機器 | 応答の速さ | 担当する変動 |
|---|---|---|
| SVR(ステップ式自動電圧調整器) | 遅い | 時間単位のゆっくりした変化 |
| SVC(静止形無効電力補償装置) | 速い | フリッカ。半導体で切り換える |
| 三巻線補償変圧器 | 速い | アーク炉のフリッカ |
フリッカに使うのは、半導体で無効電力を高速に出し入れするSVCです。名前が似ていますが、SVRとSVCは別の装置です。
選択肢1の短絡容量は、その系統がどれだけ電圧を保てるかの尺度です。
電圧変動と短絡容量
電圧変動率 ≒ 負荷の変動分 ÷ 短絡容量
短絡容量が大きいほど、同じ負荷変動でも電圧の揺れは小さい
短絡容量が大きい=系統のインピーダンスが小さいということです。電流が変わっても電圧降下の変化が小さいので、フリッカが起きにくくなります。
選択肢3の専用変圧器は、フリッカを出す機器を他の需要家から切り離す方法です。フリッカそのものは消えませんが、他の人の照明はちらつかなくなります。
選択肢4の三巻線補償変圧器は、アーク炉に使う専用の変圧器です。三次巻線に補償用の回路をつないで、アーク炉の無効電力の変動を打ち消します。
フリッカ対策は、次の3つの方向に分かれます。
| 方向 | 例 |
|---|---|
| 系統を強くする | 短絡容量の大きな系統に変える。上位の電圧で受電する |
| 変動を打ち消す | SVC、三巻線補償変圧器 |
| 切り離す | 専用変圧器、専用線での供給 |
SVRがフリッカ対策にならないのはなぜか。
タップを機械的に切り換える装置で1回に数十秒かかり、1秒間に何回も起きるフリッカに追従できないためです。
短絡容量が大きいとフリッカが起きにくいのはなぜか。
系統のインピーダンスが小さく、電流が変動しても電圧降下の変化が小さくなるためです。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月