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限時要素と瞬時要素の違いとは?受け持つ事故とCTとの関係を整理

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限時要素と瞬時要素って、それぞれ何の事故を受け持つの?

2年度の肢は文がほとんど同じなのに、答えの位置が違うのはなんで?

この記事の要点

限時要素とは、過電流継電器のうち、電流の大きさに応じた時間をおいて動作する部分のことです。

高圧受電用過電流継電器を問う出題は3年度あります。

狙われるのは要素の役割CTとの関係の2つです。

限時要素と瞬時要素は、どちらも同じ継電器に入っている別々のはたらきです。

受け持つ事故の種類が違うので、そこを入れ替えた肢が作られます。

過電流継電器は保護継電方式の1つで、高圧受電設備では主遮断装置と組んで動きます。継電器が事故を見つけ、遮断器が切る役割分担です。

限時要素と瞬時要素は役割が違う

2つの要素は、動く条件と守る対象が分かれます。

  • 限時要素:電流の大きさに応じた時間をおいて動作します。過負荷保護に使われます。
  • 瞬時要素:整定値を超えると時間をおかずに動作します。短絡保護に使われます。

過負荷はすぐ切る必要がないので時間をおき、短絡はすぐ切る必要があるので時間をおきません

言い換えると、「時間をおくほうが過負荷、おかないほうが短絡」ということです。

要素 動き方 受け持つ事故 整定で見るところ
限時要素 電流に応じた時間をおいて動く 過負荷 契約電力に比例/CT比に反比例。動作時間は配電用変電所と保護協調
瞬時要素 整定値を超えると時間をおかず動く 短絡 変圧器の励磁突入電流で動かない値にする

この表の「受け持つ事故」の列を入れ替えたものが、そのまま誤りの肢になります

受け持つ事故そのものの違いも押さえておきます。

  • 過負荷:定格を超えた電流が続く状態です。すぐに切ると停電が増えるので、時間をおいて様子を見ます。
  • 短絡:電線どうしが直接つながって大電流が流れる状態です。機器が壊れるので即座に切ります。短絡容量が大きい系統ほど被害も大きくなります。
  • 電動機の分岐回路:始動電流で動かないよう、短絡保護専用遮断器を使う場合があります。
同じ継電器に入っている2つのはたらき 限時要素 電流に応じた時間をおいて動く 過負荷を受け持つ 動作時間は配電用変電所と保護協調 瞬時要素 整定値を超えると時間をおかず動く 短絡を受け持つ 励磁突入電流で動かない値にする 限時要素の整定値 契約電力に比例 / CT比に反比例 CT比が大きいほど二次側の電流は小さくなるので、整定値も小さい側へ動く 裏返してくるのは「役割の入れ替え」と「比例/反比例」の2か所
2つの要素の受け持ちと整定の向きを分けるための図です。継電器の内部構造や動作特性曲線を表したものではありません。

令和4年度は役割を逆にして答えを作る

1年度目は、この2つを入れ替えています。設問文は「高圧受電用過電流継電器に関する記述として、不適当なものはどれか」で、令和7年度は「最も不適当なものはどれか」と少しだけ変わります。選び方は同じです。

令和4年度 1級 第一次検定 No.33 選択肢4(答え)

瞬時要素は過負荷保護用に適用され、限時要素は短絡保護用に適用される。

受け持ちが逆になっています。同じ年度の選択肢1は「限時要素の動作電流の整定値は、契約電力に比例し、変流器(CT)の一次電流に反比例する」で、正しい側でした。

令和7年度は同じ肢を正しい形に戻す

2年度目は、選択肢4を正しい向きに戻したうえで、別の肢を狂わせています。

令和7年度 1級 第一次検定 No.30

選択肢1(答え) 限時要素の動作電流の整定値は、変流器(CT)の定格一次電流に比例する。

選択肢4(正しい側) 瞬時要素は短絡保護用に適用され、限時要素は過負荷保護用に適用される。

令和4年度で答えだった論点が、令和7年度では正しい側の肢になっています

2年度とも動かなかった肢が2つあります。どちらも正しい側です。

  • 動作時間と保護協調:限時要素の動作時間は、電力会社の配電用変電所と合わせます。上位が先に切れると停電の範囲が広がるので、下位から順に切れるようにします。考え方は配電線路の保護と同じです。
  • 励磁突入電流:瞬時要素の動作電流は、変圧器を入れた瞬間に流れる突入電流で動かない値にします。事故ではないので切ってはいけません。進相コンデンサを入れるときにも似た突入電流が出ます。

4つの肢の文はほとんど同じで、裏返る場所だけが動きます。

なお、過電流継電器を置くかどうかは主遮断装置の型で変わります。CB形は遮断器と継電器の組で保護し、PF・S形は高圧限流ヒューズが短絡を受け持ちます。保護継電方式の中で、過電流継電器がどこに置かれるかを押さえておくと読み違えません。

論点 令和4年度 1級 第一次検定 No.33 令和7年度 1級 第一次検定 No.30
限時要素とCTの関係 反比例(正しい側) 比例(答え)
限時要素と瞬時要素の役割 逆にしてある(答え) 正しい向き
動作時間の整定と保護協調 正しい側 正しい側
瞬時要素と励磁突入電流 正しい側 正しい側

片方の年度で答えだった論点が、もう片方では正しい側に戻ります。例えば、年度ごとの答えの位置だけを覚えると外します。

整定式が比例か反比例かを決める

CTとの関係は、別の年度に出た式で確かめられます。

平成28年度 1級 学科試験 No.32 選択肢3(公表正答)

受電電圧6.6kV、契約電力W〔kW〕、負荷力率cosθ、CT比n、余裕率αのとき、限時要素のタップの整定計算値I〔A〕は

I = W ÷(√3 × 6.6 × cosθ)× α ÷ n

式のWは分子、nは分母にあります。契約電力に比例し、CT比に反比例するという読み方が、この式から出ます。

CT比は一次電流を二次電流で割った値です。変流器は大きな一次電流を扱いやすい二次電流に落とす機器で、一次側が大きいものほど同じ電流でも二次側に出る値は小さくなります。継電器は二次側の電流を見ているので、CT比が大きいほど整定値は小さい側へ動きます

まちがえやすいポイント

令和7年度の選択肢1は「定格一次電流に比例」と書いています。

CT比は一次電流を二次電流で割った値です。一次電流が大きいCTほど二次側に出る電流は小さくなるので、整定値は小さい側へ動きます。比例ではなく反比例です。

式のかたちがそのまま令和4年度と令和7年度の選択肢1の判定に使えます。

混同しやすい組合せ

限時要素と過負荷:時間をおいて動く側が過負荷を受け持ちます。

瞬時要素と短絡:時間をおかず動く側が短絡を受け持ちます。

限時要素と保護協調:動作時間の整定は電力会社の配電用変電所と合わせます。

瞬時要素と励磁突入電流:動作電流の整定値は、変圧器の励磁突入電流で動かない値にします。

この論点は、次の順に確かめます。

  • 1つ目 要素と保護の組合せを見る。瞬時が短絡、限時が過負荷でなければ答え。
  • 2つ目 CTとの関係を見る。限時要素の整定値がCTに比例と書いてあれば答え。
  • 3つ目 保護協調と励磁突入電流の肢は2年度とも正しい側。

裏返る場所は2つしかないので、そこだけ見れば足ります。

肢を読む順は、次のとおりです。

  • 「瞬時」と「短絡」が同じ文にあるか:離れていれば答えです。
  • 「比例」か「反比例」か:限時要素とCTなら反比例が正しい形です。
  • 契約電力との関係:こちらは比例で正しい形です。
  • 保護協調の相手:電力会社の配電用変電所です。
  • 励磁突入電流:これで動かない値にするのは瞬時要素です。

理解度チェック

Q.

限時要素と瞬時要素は、それぞれ何の保護に使われるか?

限時要素は過負荷保護、瞬時要素は短絡保護です。時間をおくかどうかで分かれます。

Q.

限時要素の動作電流の整定値は、CTに対して比例するか反比例するか?

反比例します。整定式でCT比が分母に置かれているためです。

Q.

瞬時要素の動作電流の整定値は、何で動作しない値にするか?

変圧器の励磁突入電流です。投入時の大きな電流で切れないようにします。

Q.

2年度で答えになった論点はそれぞれ何か?

令和4年度は限時要素と瞬時要素の役割を逆にした肢、令和7年度は限時要素の整定値がCTに比例するとした肢です。

まとめ

  • 限時要素は過負荷保護、瞬時要素は短絡保護
  • 限時要素の整定値は契約電力に比例しCTに反比例する。
  • 令和4年度は役割の入れ替え、令和7年度はCTとの関係で答えを作っている。
  • 動作時間の整定は電力会社の配電用変電所との保護協調で決める。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成28年度1級(学科試験)・令和4年度1級・令和7年度1級(第一次検定)
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