令和7年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.30は、高圧受電用過電流継電器に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
この問題は、過電流継電器の整定の基本(限時要素と瞬時要素の役割・何を根拠に整定値を決めるか)を問うものです。なかでも引っかけの核心は限時要素の整定値が何で決まるかで、変流器の定格と保護すべき電流を切り分けられるかが分かれ目になります。
※ 問題文そのものは、建設業振興基金が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢1(最も不適当な記述)
> この論点をやさしく解説:保護継電方式とは?距離・過電流・差動継電器が何を測るかの違いを整理
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | 整定値は保護したい電流から決める。CTの定格一次電流に比例するものではない |
| 2 | ○(正しい) | 動作時間は電力会社の配電用変電所より早く動くよう保護協調を図る |
| 3 | ○(正しい) | 瞬時要素は変圧器の励磁突入電流では動作しない値に整定する |
| 4 | ○(正しい) | 瞬時要素は短絡保護用、限時要素は過負荷保護用に用いる |
選択肢1の「変流器(CT)の定格一次電流に比例する」という記述が誤りで、整定値は保護したい一次電流から決めます。
限時要素が受け持つのは過負荷保護です。だから整定値は、契約電力や変圧器容量から出した「ここまでなら流れてよい電流」を根拠に決めます。この電流は設備の側で決まる値で、計器用の変流器をどれにするかとは関係がありません。
整定の操作そのものはCTの二次側で行います。継電器のタップは定格に対する百分率で刻まれているので、同じ一次電流で動かしたいなら、CTを大きいものに替えたときはタップを下げて合わせます。CTを2倍にしたら動作する一次電流も2倍になる、という関係ではありません。
選択肢3の瞬時要素は短絡保護が役目です。変圧器を投入した瞬間には定格の何倍もの励磁突入電流が流れるので、これで動いてしまわない値に整定します。選択肢4のとおり、瞬時が短絡、限時が過負荷という役割分担になっています。
過電流継電器の限時要素の動作電流は、何を根拠に整定するか。
契約電力や変圧器容量から出した、流れてよい上限の一次電流です。変流器の定格一次電流に比例して決まるものではありません。
瞬時要素の動作電流を整定するとき、何で動作しないようにするか。
変圧器の励磁突入電流です。投入の瞬間に定格の何倍もの電流が流れるため、それでは動かない値に整定します。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月