ども、Tです。
ある日、意匠設計部の上司から頼まれました。
『この屋根の図芯位置を出してほしい』と。図形をみると、長方形に楕円が上と右についています。うーん、よくわからん!ともかく手計算厳しそう。
そんなとき便利なのがAutocadです。今回はAutocadを使って変断面の重心位置を求める方法を紹介します。
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Autocadを使う前に、ざっくりと図芯位置を予想する。
長方形の上と右に楕円が付いた図形です。
長方形は図形の真ん中に図芯あります。つまり、今回の図形は、長方形の図芯位置に対して右上に図芯位置がある。
「こんな感じだろうなぁ・・・」と、まずは予測します。
図芯を算出する方法は?
図芯を算出する方法の理論を説明します。
まずは、図形の断面一次モーメントGを算出します。次に断面積Aを算定します。
図芯位置はG/Aで求められます。とても簡単。ただし、変断面の場合、断面一次モーメントを求めることが困難。
だからAutocadが必要、というわけですね。
Autocadで図芯を求める① Regionで図形を認識
まず、Autocadで変断面図形の形状を1つの形状にする必要があります。例えば今回の、長方形と楕円が混ざった形状の場合、「長方形+楕円」という2つの形状で描かれているはず。
僕たちは、「長方形+楕円」それぞれの図芯が知りたいのではなく、「長方形+楕円が一体化された図形」の図芯が知りたいですよね?
これを可能にする機能がそれが『Region』です。カタカナでリージョンと言います。リージョンは色々な図形を1つの図形として認識できる機能です。
さて使い方ですが、Autocadの画面を開いてください。
下部分にコマンド入力欄がありますね?ここに「Region」と入力してEnterキー。「オブジェクトを選択」と指示が返されます。あとは、変断面の形状通りに線をクリックして選択。もう一度、Enterキーを押せば完了。
Autocadで図芯を求める② MASSPROPで断面性能チェック
お次は、MASSPROPとコマンド入力します。MASSPROPは図形の断面性能や図形が、CAD上のどこに(座標位置)あるか調べるコマンドです。
MASSPROPを入力した後、リージョンした図形をクリック。
すると、断面性能が一覧で出ます。このとき図芯がXとYの座標軸で出力されるので、これをメモします(コピペできますよ)。
図芯の位置は、あくまでもCAD座標上の位置として示されます。つまり、メモした座標を再度入力しないと、変断面のどこに図芯があるか分からないのです。
さて、図芯の座標を入力します。方法は色々ありますが、例えば線を描く機能を使います。1度、線を描く機能をクリック。その後、コマンド欄に図芯座標を入力します。
線が描かれる始端が、変断面の図芯位置となりはずです。これで変断面の図芯位置が分かりましたね。
ところで変断面の断面係数が知りたい人は、下記の記事が参考になります。
まとめ
- 変断面の図芯位置はAutocadで分かる。
- リージョン⇒マウスプロパティのコマンドを使えば簡単。
- Autocadを使う前に、ざっくり図芯位置を予測しよう。
今回紹介する機能は、Autocadのほんの一部です。Autocadを使いこなしたい、という方は下記の本を参考にしてください。
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