熊本地震が起きて構造設計者が感じたこと。それは、『今後は数回の地震に耐える建物を設計するかもしれない』ということです。
1回目はエネルギーを吸収できた。2回目はできなかった。
熊本では本震の前に震度7の地震が起きました。旧耐震の建物だけでなく、耐震補強した建物も壊れたと聞きます。
今回の地震は1回目で震度7です。これくらい揺れるとRCならひび割れが起きています。鉄骨も塑性変形した部材があったかもしれません。すると、1回目の地震で、『建物はある程度エネルギーを吸収した』と言えます。
その後、2回目の地震です。この時も揺れが震度7でした。既に建物はエネルギーを吸収していますから、2回目の地震力には耐えられなかったのでしょう。
数回の大地震に耐えられる設計とは?
2回起きた地震に耐える建物とは?正直検討が付きません。例えば、弾性域を2倍にする?保有水平耐力を2倍以上とか?エネルギー吸収部材(ブレース、制震ブレース)を追加するなど?必要です。
両方向ラーメン構造の建物があります。X,Y方向共に保有水平耐力を満足します。一方で、耐震ブレースを両側に取り付けます。両方向のブレースで地震力を吸収し(ブレースで壊れるように)、これも保有水平耐力を満足させます。
ブレースで壊れてもラーメンが残っている、という考えはできないでしょうか。
一番現実的なのは、免震構造にすることですが。
そういえばエネルギー法があったね。
現在、保有水平耐力が主流の計算法です。一方、エネルギー法と呼ばれる計算法もあります。僕は詳しく無いです。が、地震エネルギー<建物のエネルギーにする設計法と何となく知っています。
『保有水平耐力が必要保有水平耐力を上回るように~』というややこしい設計法より、わかりやすい。
『2回分の地震エネルギー<建物のエネルギー』となるように設計できませんか?
壁や屋根が布のように軽かったら?
人の安全を守るのが『建築』です。一方、地震で建物が倒壊して犠牲になった方々。被災者の方は『建築』の被害にあったのでしょうか?
もし、壁や屋根が布のように軽かったら?下敷きになっても問題なかった?
テントのように軽くてRCのように快適?
日本で目指す設計は『軽い。軽い。軽い。』建築物。一方でRCのように住環境に優れた環境が必要。
テントを工夫すれば可能かもしれません。又は材料の革新。ある業界のブレイクスルーは、他業界からの革新によるもの。
建築を変えるのは新しいライフスタイル? 新材料? 建築よりも建築以外が、案外重要かなあと思います。