ども、Tです。
クレーンが走行する場合、それを受ける梁はクレーン荷重を考慮する必要があります。ここで見落としがちなのは、クレーン荷重は鉛直方向だけでなく水平方向にも荷重が作用する、ということです。
クレーン荷重の設定方法は、鋼構造設計規準などが参考になります⇒ 鋼構造設計規準―許容応力度設計法
天井を走行するクレーンを見たことがある人は、イメージが簡単ですが、クレーンは動くとかなりグラグラと揺れながら走行します。つまり衝撃力が作用しますね。
というわけで今回は、クレーンの衝撃力を設定する基礎項目について考えます。
天井クレーンを支持する構造部への荷重
今回は参考文献※1の内容を列挙していきますね。
- 地上で操作する軽作業用クレーン 車輪荷重の10%が作用
- ワイヤーロープで巻き上げを行う一般作業用のクレーン 車輪荷重の20%
- 吊り具がトロリーに剛に固定されているクレーン 車輪荷重の30%(鉄工所レベル)
- モーターによって動く機械を支持する構造部 機械重量の20%
- ピストン駆動の機械を支持する構造部 機械重量の50%
- 床またはバルコニーなどをつる吊り材 積載荷重の30%
天井クレーン走路に作用する水平力
- 制動を受ける各車輪荷重の15%をとり、走行レール上端に作用するもの
とする。
走行方向に直角に作用する水平力
クレーン両側受梁は、両方とも同時に走行方向に対して直角に、クレーン車輪荷重の10%の水平力を受けるものとして算定する。
この場合、走行ホイストならびに吊り荷は最も不利な状態にあるものとする。
地震荷重
- クレーンに加わる地震荷重は、走行レール上端に作用するものとする。
この場合、クレーンの重量としては、特別の場合を除き、吊り荷の重量を無視することができる。特別な場合とは、吊り具がトロリーに剛に固定されているクレーンの場合を指す。
まとめ
クレーンに限らず駆動する機械は取り扱い注意です。動くということは、鉛直力だけでなく、水平力も作用します。
一般的にクレーンのレール受け梁はH型鋼だと思いますが、水平力は弱軸方向に作用します。鉛直力と水平力が同時に作用したと考えて、応力および変形を規定値に満足させましょう。
あと今回は省略しましたが、エレベーターもクレーンと同じく衝撃力を考慮する荷重の1つですね。エレベーター荷重はこちら⇒ EV荷重の設定はどうすればいい?