壁式構造の設計したことありますか?皆さんもあんまり経験がないと思います。大きな建物で壁式構造を採用する場合が少ないですからね。僕も壁式構造の設計は数少ないですが、1度だけ小さな便所を壁式構造で設計しました。建築物と言っていいのかというくらい小さくて、それでも始めは分からなくて苦労しました。
壁式構造の大きな特徴は、壁柱や壁梁というように壁の中に梁筋や柱筋を内蔵し、仮想柱や仮想梁として設計する点ですね。もちろん、全て壁で構成されるので梁型は出てきませんから、見た目はすっきりです。
今回は、そんな壁式構造の設計を概算的に行うことを目的に説明していければと思います。
まずは軸力の算定から。
まず軸力を算定しましょう。全部壁になるので、柱となる位置を自分で決めます。自重の代表例として、屋根、庇、外壁、1階床くらいですかね。1階床は基礎の検討に必要ですが、柱としての検討には必要ないので重量として計上して後で控除しましょうか。
例えば、()内の値は基礎用としておけば後で見返してもわかりやすいと思います。
次に地震用重量の算定
次に、地震用重量を算定します。ここまでの流れは普通の構造計算と大差ありませんね。先ほど荷重拾いは済ませているので、全重量に対してベースシェアーを掛けるだけです。
大きな開口には要注意!長期応力の算定。
壁式構造は全て壁で造られています。ですが、当然開口は開きます。この開口部分は壁が浮いている状態なので曲げモーメントとせん断力が発生します。つまり開口長さを梁の長さと考えれば言いわけです。この長期応力に対して壁の天端から開口の天端までの、壁梁の配筋を設定します。
また壁式構造の設計では、壁梁のせいや配筋について細かい規定もあります。規定もチェックしながら梁せいや鉄筋量を満足させましょう。
平均せん断応力度法で水平荷重時の応力を算定する。
概算的に行うなら平均せん断応力度方が最も簡単です。この方法はX,Y方向の地震力Qに対してX、Y方向それぞれの地震力を負担する壁断面積Aの比率を算定します。Q/Aですね。これがせん断応力度になります。
開口が空いているので、壁長さは違うと思います。先ほど、全体の地震力と壁断面積の比率を求めましたから、この値に壁の断面積をかければ各仮想柱に作用する地震力がわかります。
例えば、仮想柱の壁長さがLで厚みがtとします。すると、この柱に作用するせん断力=Q/A×L×tで、値がわかりますね。このように、平均せん断応力度法は、全体の地震力を全体の壁面積で平均化していることに特徴があります。簡便な計算ですね。
まとめ
ちなみに断面算定をあえて紹介しなかったのは、通常のRC構造と変わらないからです。壁梁の断面算定は普通のRC梁と同じようにjとftが分かればatもすぐに算定できます。
このように、小さな壁式構造なら今回説明した計算方法で十分配筋を決定できるかと思います。あとは、ルート1の計算を満足するような壁厚にする必要がありますね。計算は難しくないですが、壁式構造の規準書にはRC構造の規準書と違うことも書かれていると思います。
おっと思う発見もありますし、規定を満足するように設計しましょうね。