最近の傾向として、杭は複数本打つよりも高支持力の杭にして1本打ちとすることが増えました。確かに、杭の本数は減らすことができますし、昔と違って支持力を大きく取れる杭の使用は抵抗ありません。
支持力=200NApとしていた時代からα=200⇒250とか300とれますもんね。1本打ち杭だとフーチングの配筋も計算する必要がないですから、ぶっちゃけ計算的にも楽です。
さて、そうはいっても複数本杭を打つ機会もあると思います。今回は、2本杭を打った時の注意点の1つ。フーチングのねじれの検討について特集してきます。
フーチングになぜ、ねじり曲げが生じるのか?
地震が発生したとき杭頭やち中部には曲げモーメントが作用しています。特に杭頭には大きな曲げモーメントが発生しているのです。この杭頭曲げはどうやって伝達するのか?、というと皆さんご存知のように地中梁で伝えます。
さて、平面的に杭の位置と地中梁の位置をイメージしてください。すると、1本打ちの杭の場合、地中梁と杭の位置はずれていません。つまり梁の芯と杭芯は一致しています。一方、杭が2本打ちの場合、杭はある程度のピッチで離れています。地中梁は柱に芯か外面につきますので、杭芯と梁芯がづれているのです。
つまり、杭曲げを地中梁に伝達するためには、このズレの間で力を伝達する必要があります。このズレはフーチングのねじり曲げで伝達するしかありません。以上のように、杭芯と地中梁芯がずれているためにフーチングにねじり曲げが発生するのです。
ねじり曲げの検討方法とは?
ねじり曲げの検討方法で最も一般的な方法を紹介します。
(T/To)^2+(Q/Qo)^2 < 1
T 設計用ねじり曲げモーメント。1本当たりの杭曲げと考えていいでしょう。
To ねじり曲げ耐力です。To=bt^2×Dt×1.15×fs/3です。btはフーチングのせいと幅を比較して小さかった値。Dtは大きかった値。必ずしもbtが幅にはなりませんし、逆もしかりです。
Q 設計用せん断力です。杭1本当たりの支点反力、又は支持力を使います。
Qo RC梁のせん断耐力と同じです。Qo=bjfsで算定できますね。
以上のように計算します。注意したいのは、Toの算定方法。btとDtの考え方に注意しましょう。btは、せいと幅を比較して小さい方の値で、必ずしも幅とは限りません。この式を満足するように断面を決定しましょうね。
計算するときの注意点について
杭はフーチングのせいに対して、100か200飲み込みがあります。つまり、この飲み込み分はフーチングは断面欠損していると考えられます。何が言いたいのかというと、フーチングのせいDは飲み込み代dを控除した値を使うべきなのです。
これを間違うとフーチングのねじり曲げ耐力を過大に評価することになります。注意しましょう。
まとめ
今回は、2本打ちフーチングについてねじり曲げの検討方法について紹介しました。言われてみれば、ねじり曲げで伝達することに気づきます。が、中々始めた頃はわかりませんよね。
ま、1度計算すれば理解できますしエクセルで式を組んでおけば何回も手計算する必要もありません。btとDtの考え方、フーチングのせいは杭の飲み込み代を控除することなどポイントを覚えておきましょうね。