直接基礎を検討するとき、斜め加力に対して接地圧を算定したことはありますか?あまり経験がない人も多いかもしれません。というのも、斜め加力の検討をしなくてもX,Y方向の地震力を1.25倍してやれば斜め加力は省略できるからです。一貫計算は斜め加力に対応していないですから、1.25倍の地震力で検討した方が楽なんです。
僕もいつもはそうしているんですが、最近、斜め加力の検討をする機会があって、どういう検討をしたか纏めました。
斜め加力時の基礎の形を意識しよう。
実はX,Y加力だろうが、斜め加力だろうが本質的な計算は変わりません。ただし!少し計算は複雑になるかもしれませんが。要するに斜め加力にすることで何が変わるのか考えていけば良いです。まず外力。当然変わりますよね。ベクトルの関係でX,Y方向地震力よりも大きくなることは予測がつきます。
では具体的に値はどうするか?僕は、Qv=Qx/1.41+Qy/1.41で算定しました。1.41という数字は√2でも良いですが、要するに斜め方向の力を1と仮定したなら、その1/1.41倍した値の足し合わせが斜め加力Qvになると考えたのです。こうして算定した値は不思議と地震力を1.25倍した値に近くなりました。
次に、抵抗する基礎スラブの形状が変わりますよね。いや、厳密に言うと基礎スラブ自体、変化はありません。しかし、斜め加力ということは、菱形形状で荷重に抵抗します。計算すると分かりますが、長方形の断面係数と菱形の断面係数を比較すると、2割くらい菱形の断面係数は落ちます。ですから、接地圧の値も変化するわけです。
注意したいのは、RC規準のαは使えないということ。あの値は長方形基礎に対する係数で菱形基礎の値ではありません。そのため、σL=N/AとσE=M/Zを算定して地道に収斂計算するしかありません。このときのZはもちろん菱形断面ですよ。σL+σEを計算すると、プラスとマイナスの値がでると思います。しかし直接基礎にマイナスの接地圧はあり得ませんから、部分圧縮となる範囲のみで断面係数Zを求めます。
以上の計算を繰り返してσmaxを算定します。途中、Zの値が菱形から台形になるので計算が面倒になりますが、これしか方法が無いように思います。あ、Autocad使えば断面係数は自動で計算できますよ。
加力方向によって基礎形状が変わることを覚えよう
覚えてもらいたいのは、加力方向によって抵抗する基礎形状が変わっていることです。普通にX,Y方向から加力したとき、長方形基礎なら斜め加力なら菱形です。あと、斜め加力だからといって直接基礎の検討内容がガラっと変わるわけではありません。拒否反応を示さずに。
塔状建物の参考にしてください
斜め加力が必要になる建物は塔状建物です。超高層を設計する機会はほとんど無いと思うのですが、EV建物なら割と多いですよね。もし斜め加力の検討が必要になったときの参考になればと思います。