昨日、19時頃に仕事が終わったので、そのまま事務所で構造の本を読んでいました。なんとなく、RC構造の本を手にとってみると著者に松井源吾氏、監修に内藤多仲氏というメンツ。本の発行日は十勝地震が起きた後ということで、『はじめに』に綴られていた時代背景を読んでいくと当時の面影を感じることができます。
『建築』は工学の中で最も人気のある科目といっても過言ではない~、とか語られているので。今では、建築は斜陽産業で最も落ち目な産業なんですけど・・・。
それはともかく、読み進めていくと面白い記述がありました。RC梁はトラス梁と同じらしいのです。は?どういうこと?今でも何となくしか理解できていないのですが、説明します。
下端鉄筋に付着力がないと考える。
RCはコンクリートと鉄筋がしっかり付着していることが重要です。付着がなければ、一体の効果がなくなるからです。
で、例えば下端鉄筋がシースの中に入っているとします。シースの中に鉄筋があるので、当然、鉄筋を引っ張ればズボズボと抜けてしまいます。付着力が無い状態です。この状態で上から荷重を作用させると、コンクリートと鉄筋は別々に力を負担することになります。
次に、シース内の下端鉄筋を延ばして梁上端部にしっかりアンカーします。アンカー部にシースは無いので、鉄筋とコンクリート一体です。すると、下端筋はRCと一体ではありませんが、下端筋が上端部でアンカーされるので、これは、上弦材・束材・引張り材で構成されたトラス梁と同じである、と考えられるのです。
上弦材が上端筋と中立軸から上の圧縮コンクリート、束材がコンクリート、引張材が下端鉄筋ですね。
RC梁とトラス梁の断面性能の違い
以上のようにRC梁をトラス梁と考えた時、上弦材はどんな部材になるかざっくり計算してみました。RC梁は400x800(Fc24)の断面だったとき、トラス梁に置き換えた上弦材の部材は、H-200x100x5.5x8くらいです。ちなみに、H鋼は横向きに配置すれば面外への座屈は無いので、圧縮強度はftと考えます。
こう考えると、RC梁の断面性能は鉄骨より遥かに劣っているんだなあと思いました。