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屋根にALC版を使うときの、構造に関する注意点。

構造設計

屋根にALC版を使うことがあります。ALC版はRCスラブと似ているようで全く違う材料です。主に外壁に使われることが多く、構造躯体よりも化粧材に近いですね。

しかし、純粋な化粧材よりは比較的しっかりとした材料です。そのため、RCスラブの代わりに屋根材として使うのです。

 

ALC版は軽いため地震力が少なく構造的に有利ですが、注意することも多々あります。

そこで今回は、屋根にALC版を使うときの注意点をまとめました。

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剛床仮定のためブレースは必要。

ALCはあくまでも外装材です。つまり、地震力を伝達する力はありません。屋根面には必ずブレースを入れて、剛床を成り立たせましょう。

 

許容スパンを確認。

ALCは許容スパンが存在します。大抵どのメーカーでも同じですが、屋根で30t(tはALCの版厚ね。)、床で25tが一般的。

つまり、ALC版が100mmの場合、3.0mの区間は小梁ナシでOKです。この許容スパンは鉄骨部材の芯々距離です。

 

ざっくりとした許容スパンは30t、25tと覚えておいてOKですが、細かく知りたい人はALCメーカーの早見表をチェックしましょう。

これは、平米荷重と許容スパンの関係を示した表です。屋根に使う場合でも、床と同じくらい積載荷重や仕上げ荷重があれば、当然、30tよりも短い許容スパンになることに注意。

 

 

水勾配と直角にALC版の方向を設定。

ALC版はRCスラブのように一体性のある材料ではありません。そのため、水勾配と同じ方向にALC版を流すと、ALCが撓んだとき、水を溜める原因となります。

これを避けるために、水勾配と直交方向にALC版を流すことが一般的。

つまり、意匠が水勾配を決める⇒ALC版の方向が決定⇒小梁方向が決定、という流れになるのです。

 

ALC版に直接、重量物を留めることはできない。

クドイですが、ALC版は外装材です。そのため、直接ALC版に重量物を留めることはできません。

 

パネルには裏表があることを注意。強度が全く違う。

これは設計側で注意することはできませんが、ALC版には裏表があります。RCスラブと同じで、長期荷重時は下端筋が多く必要で、上端部筋は必要ありません。工事で、裏表を間違えると大変です。

 

パネルのかかり代を十分に確保すること。片側40mm必要。

ALCパネルを設定するためには、鉄骨部材への掛代が片側40mm必要です。ALC版同士は20mmのクリアランスが必要ですから、梁幅は最低でも100mm必要。ALC版を受ける鉄骨部材をあまりにも小さくすると、施工的に納まらないので注意しましょう。

 

継手に干渉するので嵩上げcチャンネルを流すこと。

鉄骨部材によるラーメン構造は、必ず継手が発生します。継手部分はボルト頭が飛び出ているので、ALCを載せることができません。よって、cチャンネルを流して嵩上げします。主に、大梁に対してcチャンネルを流すので、小梁は+50mmレベルを上げるようにしましょう。

 

まとめ

色々とALC屋根を使う際の注意点を説明しました。が、ALC屋根の平米重量はRCスラブの1/3.6程度。重量が大幅に小さくなるので、柱や梁断面が、かなり小さくできるでしょう。

今回紹介した注意点も頭の片隅に入れておいて、構造部材に対しては有利な点が多いことも覚えてくださいね。

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