RC小梁に比べて鉄骨小梁は部材選定に慎重になる必要があります。なぜなら、鉄骨梁は「たわみやすい、揺れやすい」からです。だからこそ、応力度と変形の両方をチェックします。
さて、応力度と変形2つの判定が必要ということは、部材選定のときどちらで決まるのか?判断する必要があります。
大体、何メートルくらいから変形量で決まるのか?それとも応力度で部材決定する必要があるのか?鉄骨小梁のスパンと応力度の関係の勘所を整理しました。
下図はスパンと変形角(スパン÷変形量)の関係です。スパンを4、6、8・・・ 20mまで増やしました。縦軸は変形角、2500までとしました。Hは梁せいを示していて、H200はH-200x100x5.5x8です。
荷重はw=18.0kN/m(6.0kN/㎡×3m負担幅。住居並みのTLを想定)、等分布荷重です。赤線は変形角の下限値1/250のライン。建築基準法で守るべき変形量の最低値。
整理した結果、いずれの梁せいでも同じようなグラフになります(当然ですが)。H200~250ならスパン6mは変形量で決まりそう。H300は8mのスパンで変形量が厳しい。12mスパンになると、H150~600の半分以上が変形量を満足せず、16mになれば全ての梁で変形を満足しませんでした。
以上をおさえて、スパンと応力度の関係をみていきましょう。縦軸は応力度です。横軸はスパン。赤線は長期許容応力度156です。
スパン4mなら、ほとんど応力度はOk。ただし、H150,200は応力度がNG。スパンと変形角の図と逆の結果です。つまり、4m程度のスパンでは変形よりも応力度に注意した方が良いということ。
スパン6mは、H250、300もNGに。一方、変形角の図ではOKです。つまり、6mスパンでも変形量より応力度に注意します。8mスパンでも、変形量よりも応力度が決まりそう。12m以上では、ほとんどの部材がNGになります。変形角の図でも同じような結果が得られました。
応力度と変形角は表裏一体に近い。応力度でNGなら変形量も厳しい。
結局、応力度と変形角の結果は表裏一体に近いものでした。要するに、応力度が厳しければ変形量も厳しくなる、と。また変形角でOKでも、応力度でNGになる部材も多くありました。
まぁ、断面二次モーメントと断面係数は同じような係数ですからね(Z=I/y)。
また小梁で12m以上のスパンは、工夫しないと飛ばせません。今回H600まで整理したので、それ以上の部材にするか、スラブの剛性を考慮する、2方向ビームにする等。
真新しい勘所は得られませんでしたが、応力度と変形角が表裏一体ということは、両方注意しなければならない証。応力度をみたら変形角も合わせてチェックしましょう。