ども、Tです。
基礎の接地圧を計算するとき、e/Lを算出しますよね。e=M/Nで、重心位置からNが作用する偏心距離。
Lは加力方向に対する基礎の長さです。このe/Lが0.166以下であれば、中立軸は基礎の外にあります。一方、0.166を超えると中立軸は基礎の内側に入っています。
中立軸が基礎の外、内で何がわかるのか?というと、全面圧縮か部分圧縮か?という判断基準になるのです。
さて、RC規準によればe/Lの許容値は1/3程度とされています。なぜ1/3までに抑えたほうが良いのか、RC規準に明確な答えは書いていないように思います。一体、e/Lの許容値はどこまで許されるのか?考えてみました。
とりあえずe/Lを無視して考えてみる。
とりあえず!e/Lは無視して感覚的に考えます。そもそも、基礎の接地圧を検討する意味はなんでしょうか?地盤の圧壊と基礎の転倒のチェックということだと思います。どちらも、NGになれば建物が不安定な状態になるわけで無視できません。
地盤の圧壊は単純で、接地圧<支持力の関係であればOKです。基礎の転倒はどう考えればいいのでしょう?直接基礎は引抜側の反力は生じえませんから、部分圧縮の領域をどこまで許容するか?だと思います。なんとなく、半分以上が部分圧縮領域だと不安です(僕は)。
接地圧が生じていない範囲が半分以上ということは、半分以上は『基礎が浮いている』ということですよね。それはすぐにでも転倒しそうなんですけど。
接地圧の算定係数αを読み解く
接地圧の算定でαN/Aという式がありますよね。αの算定式をみると分母に3×(0.5-e/L)とあります。ここでようやくe/Lは0.5以内まで許されるんだ!ということに気が付きます。つまり、0.5を代入すると分母が0になってαが無限大になります。
αが無限大になられたら設計しようがありませんから、0.5以内はαの算定範囲内ということです。
さて、e/Lとは偏心距離と基礎長さの比率なので、e/L=0.49のときは基礎長さのほぼ半分ずれた位置にNが作用していることになります。つまり、長方形基礎だと重心位置は真ん中なので、真ん中から一番端部がNの作用点ということですね。
机上の計算では、これでも地盤の強度内に収まっていれば本当に良いのでしょうか?試に、基礎端にNが作用するときの接地圧分布を書いてみてください。半分どころか、ほとんど基礎は浮いている状態です。これで釣り合っているとは言えませんよね。
そうなると、やはり初めに書いた1/3という許容値が妥当のように思います。
計算上、e/Lは計算できるけど・・・?
計算上e/L=1/3を超えても算定可能です。しかし、e/Lが1/3を超えたときの接地圧分布をみると不安になってきます。僕だけでしょうか?所詮、釣り合うor釣り合わないなんて話は、僕らが想像で勝手に決めたことで実際はよくわかりません。
そもそも、接地圧を直線分布で仮定していること自体間違っているかもしれませんし。建物が思っている以上に変形してPδ効果で曲げが加算されるかもしれません。
e/Lは1/3に収めておくのが無難か。
部分圧縮領域が半分以下で、釣り合うイメージがわかないのでe/Lは1/3以下にするのが無難だと思いました。ただし、これは短期時の値だから終局時はどうだ?と聞かれると言葉に詰まります。
ま!そのへんは僕の理解力が足りないのですが、この世界分からなければ結局安全側に丸めるしかありません!最終的に、自分とどう折り合いをつけるかなんでしょうね。
ところで、RC直接基礎の設計方法を詳しく知りたい人は、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説〈2010〉に書いてあるので必読です。むしろこの規準書以外に詳しく書いてある本が無いかも。