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そで壁柱の曲げ耐力 完全塑性理論について

構造設計

鉄骨と違ってRCは分からないことが沢山あります。最近、耐震補強の物件を担当する機会がありました。Is値が足りなかったので、そで壁で補強を行ったのですが初めて増設袖壁の耐力を手計算で解きましたら、意外と面倒。

建防協の規準で袖壁の耐力は引っ張り側は無視することが一般的です。ですから意匠的な制約で片側しか袖壁を設けられなかった場合、引っ張り側の耐力は落ちます。しかし、引っ張り側の鉄筋を考慮する計算方法もあります。

これが『完全塑性理論』です。片側に袖壁をつけても、耐力が同じように算出される完全塑性理論は、現在ほとんどの診断で取り入れられている計算手法です。今回は完全塑性理論について特集します。

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計算手法の概要

完全塑性理論は、袖壁付き柱を数個のピースに分割します。ピースに分割することで、袖壁の端部補強筋や、袖壁の縦筋、柱の主筋を袖壁付き柱の曲げ耐力として考慮可能です。他にも仮定条件があります。が、ともかく袖壁付き柱を『数個のピースに分割する』ということを覚えておきましょう。

 

まずは中立軸Zを算定する。

普通の規準式よりも中々面倒な式になっています。例えば両側袖壁付き柱と考えたとき、7つのピース分割を行います。Zを求めるために必要な未知数は下記の通り。

m iとjの扱い方で-1叉は1に代わります。

n iとjの扱い方で-1叉は1に代わります。

i 構造的に必要なあまり意味のない記号ですが、Σ計算の便宜上必要ですね。

j ピースの番号を意味します。

D ピースのせい(ピース毎に違いますね。)

B ピースの幅(ピース毎に違いますね。)

sA ピースの鉄筋量/ピースのせい(ピース毎に違いますね。)

Fc ピースの設計基準強度(ピース毎に違いますね。)

N 袖壁付き柱に作用する軸力

σy 鉄筋の降伏強度

L 圧縮縁からピースの重心までの距離(ピース毎に違いますね。)

中立軸Zを求めるコツは、『どのピースに中立軸があるかアタリをつけて計算する』ことです。例えば、両側袖壁付き柱を7つにピース分割したとき、3~5のピースのどこかに中立軸があるはずです。なぜなら、①や⑦は袖壁の両端であり、対称形ならほぼ真ん中に中立軸があるから。と、いうことを念頭に⑤番目のピースを最初に計算しましょう。

⑤番目のピースに中立軸があると仮定したとき、j=5となります。これを覚えておきましょう。iとjを混同しなように。jはピースの番号ですが、iはΣ計算上に必要な記号なだけです。

 

曲げ耐力Muの算定

実は、上記のZを計算した時点でほとんど終わっています。なぜならZ算出のときに求めた項に、LをかければMuが求められるからです。ここでは、計算式を示しませんがZの算定が終わっていれば難しい計算はありません。

また、上記で⑤ピースの中立軸を算定しているので、j=5のときでZを求めましょう。

 

まとめ

完全塑性理論は名前が難しくて中々とっつきにくい計算です。が、本を読み込めばそこまで複雑な計算はしていません。ただ、構造的に何をやっているかまだよくわかっていないですが・・・。ま、完全塑性理論とは、袖壁及び柱をピースに分割すること、分割したピースの鉄筋を考慮できる、ということを覚えてください。

あとは、面倒な計算なのでj=1~7まで計算しようとせず、ある程度アタリをつけて手計算するようにしましょう。あと、エクセルで簡単な数式を組むと簡単に算定できるかなあと思います。

今回、この計算を算定するにあたって一番参考になった資料がSS3のQ&A。ぶっちゃけ建防協の規準書よりわかりやすいですよ。規準書って、なんでこんなに難しいんでしょーか。もっと初学者にも、頭悪くてもわかるように説明して欲しいものです。

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