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EV荷重の設定はどうすればいい?

構造設計

ども、Tです。

EV荷重の設定悩んだことはありませんか?僕も恥ずかしながら実務をしていて、イマイチ納得できないまま荷重設定をしていたことがあります。とりあえず、EV図面に書いてある水平力の合計で最大のものを。

計算に慣れてくると、屋根にザクッと10tくらいのせときゃ大丈夫だろう、みたいな判断に。新築建物の内部にあるEVなら全体の荷重に対しての影響は小さいですし、部材に与える影響は小さいので問題ありません。

 

しかし、EV棟単体の設計になるとEV重量が支配的になってきて、いくら安全側といっても『ザクッと』荷重を決めるわけにもいきません(経済設計のためにも)。そこで、今回はEV荷重の設定について特集します。

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EVの仕組み

EVの動く仕組みは理解すればとても簡単です。人が乗るカゴと、カゴが釣り合う重りが階数を行き来しているだけ。例えば、2階のEVを考えてみましょう。カゴは1階⇒2階、2階⇒1階という移動をします。このとき、カゴと釣り合う重りは、カゴと反対の位置にいることで釣り合います。

例えば、カゴが1階にいるとき重りは2階に位置します。実は、EVの仕組みはこれだけなんです。

EV荷重の設定方法

大抵、EV図面に水平荷重時の反力が明記されています。それぞれX方向、Y方向の反力です。これは、地震時にカゴと重りが揺れたときの地震力を示しています。つまり、この荷重を地震力として加えればOK。

この反力は一般的に、カゴと重りが揺れた場合、カゴだけが揺れた場合について算出しています。また、最悪のケースを考えて反力は算出しています。最悪のケースとは、カゴと重りが同じ位置にいた場合のようです。

 

最初説明したEVの仕組みから、カゴと重りが同じ位置にいたケースは、ちょうど1階と2階の中央になります。と、いうことで実はEVが地震で揺れたときの反力はR階ではなく、真ん中の層に作用させても良いのです。

しかしカゴと重りが同じ位置にいた荷重ケースが最も大きくなるといっても、地震力は一番上の層に作用した方が厳しくなるように思えます。なぜなら、せん断力は上から累加されていくので、R階に作用する重量は1階まで影響します。じゃあ、どうすればいいの?ということなんですが。次の章で説明します。

安全側にR階へ荷重を作用させるか、カゴが最上階にいた場合で設定する。

一番簡単で安全側なのは、本来なら階の中間に作用する地震力をR階にもってきて検討すること。R階に作用させる理由はないですが安全側の検討です。

一方少し真面目に計算するなら、最上階にカゴが位置したときの重量の半分がR層に作用すると考えます。これをW1としましょう。W1は、EV全重量-重り自重と考えます。カゴが最上階にいるとき、重りは最下階にいるわけですから、R階の荷重に無関係なわけです。

次に、EV機器全重量W-W1を中間層に作用させます。さきほど、R階にカゴ自重他の半分を作用させました。つまり、残りの重量W-W1が真ん中に作用するのです。

まとめ

以上、今回はEV荷重について特集しました。最近、EV棟の設計が増えて嫌になりますが。沢山やるにつれて発見もあります。EV棟のように、部材本数が少ない場合、ちょっとした荷重の設定で部材断面が決まりやすいです。

建物内部になるEVなら荷重を設定するだけですが、EV棟が独立している場合、荷重の設定は特に慎重になりましょう。過大設計にならないようにしてくださいね。

下記の本はJASCが書いた非構造部材の技術書です。今後益々検討する機会が増えるかと。

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