建設業界のこと

新築物件は本当に減っているのか?統計から考える。

僕が学生の頃、先生たちから『これからは改修が増える!』と耳にタコができるまで言われました。

あぁそうなんだ、と思っていたのですが、設計事務所に入ると意外や意外。結構新築の仕事があるのでは。もっと劇的に新築仕事が無いと思っていたので、ギャップを感じたのです。

もちろん、新築物件は減っています。では、どのくらい減っているのでしょう。わかりますか?

僕の住んでいるマンション近くでも、新築住宅が数件できています。意外と、住宅は減っていないのか? そんな風にも思ってしまいます。

周りが『減っている減っている』、と言っても、僕はどうも懐疑的に思ってしまうのです。で、調べました。

スポンサーリンク

 

過去10年間の新築物件着工『床面積』数を整理した。

このデータは建築着工統計調査報告を平成18~27年の期間で整理したものです。横軸が年、縦軸は新築物件の着工床面積。

公共物件、民間物件、居住物件ごとにグラフを分けました。また、公共+民間は新築物件全体と考えてください。

平成18年まで全体的に落ち込むが、回復している。

平成18年以前のデータが欲しいところですが、割愛します。

すると、平成18年を境に一気に着工床面積数が落ち込んでいます。この理由ですが、平成18年に構造計算書偽装問題が起きたこと。それまで年間18万㎡あった新築物件数は12%も落ち込みます。建築業界に大ダメージを与えました。

構造計算書偽装問題で大きく変わった点は、建築基準法が大幅に改正され『適合性判定』が、建築審査に加わったことです。

これにより、1~2ヶ月は着工まで時間がかかりました(当時はもっと混乱していたでしょうが)。1年経っても、建築業界は回復するどころかさらに着工数は減っていきます。

さらに、平成20年に着目します。すると、20年から21年にまたまた大打撃を受けていました。実はこのときに『リーマンショック』が起きたのです。詳しい経済事情は割愛しますが、アメリカが倒れると日本も共倒れになることが、良くわかります。

まさにアメリカと日本は二人三脚ですね。

この平成18年~21年までに着工床面積は4割落ち込んでいます。

そこからは、平成25年まで徐々に回復します。平成23年は東日本大震災が起きた年です。復興バブルで、平成20年頃までの床面積数まで復活しました。

次は視点を変えてデータをみていきましょう。

 

景気に左右されない公共物件

ひときわ異色を放っているのが、公共物件の床面積数です。裏で示し合わせたように、床面積数は一定です。

景気に左右されない、と言う意味では最も安定しています。何だか『公務員』と似ていますね。

僕が意外に感じたのは、民間物件と比べて明らかに物件が少ないことです。僕が務めている事務所は公共案件を中心に仕事を受けています。が、こんなにも小さなパイを争っているのか、と思いました。

逆に考えれば、民間物件の仕事が明らかに多いのに仕事をとれないなんて・・・、よっぽど力が無い事務所なんだな、と。

また、新築の居住用物件が多いことも意外です。日本の新築至上主義は相変わらず。考えて見れば、日本人は新築住居が好きなので中古物件は売れません。売れないリフォーム案件を増やすより、スクラップ&ビルドで新しい住居を建てる方がビジネスになるのでしょう。

 

将来はどうなるか?

未来のことは誰にもわかりません。が、予測はできます。

例えば民間物件は平成25年を境に落ちんでいます。2年続いた復興バブルは終わり、リーマンショック後の建築業界に戻りつつあります。

平成26、27年は横ばいですから、その情勢は変わらないのではないでしょうか。つまり民間の景気は横ばい。

公共物件は? ご存じのように、これからも大幅に増えたり減ったりしません。全体のパイは変わらないまま。

但し、2020年は東京オリンピックがあります。つまり平成32年頃になれば公共物件の着工はもっと増えるでしょうね。

今回は、新築物件の増減をイメージするために『床面積』に着目して整理しました。次回は工事金額を整理したデータを読み解いていきたいですね。

スポンサーリンク
 

こちらも人気の記事です

ピックアップ記事

  1. 24才までに二級建築士を受けるならば、2人に1人は合格可能な件
  2. 一級建築士受かりたい?じゃあ仕事なんて無視しろ
  3. 鉄骨造で注意したい、外壁による鉄骨梁のねじれについて
  4. マンションの鋼製手すりは触れるな危険、という話。
  5. 建築系ブログを200記事書いたときのPVは?

関連記事

  1. 労働のこと

    設計業務に『生産性』っていう言葉あるのかな(笑)

    『生産性』という言葉、よく聞きます。生産性を上げろとか、生産性をよくし…

  2. 建設業界のこと

    ゼネコンはロボット会社と提携してIcT技術の研究開発をもっと行うべき

    世界と比べても日本のゼネコンは開発費用が多い国です。しかし、産業別にみ…

  3. 建設業界のこと

    「哲学」から読み解く建築に関する諸問題(建物の沈下等)

    久々にマイケルサンデル教授のジャスティスを読みました。学生時代に購入し…

  4. 建設業界のこと

    設計事務所にインターンへ行くメリットとは?

    このブログで散々、設計事務所はブラックだと公言していますが、まだまだ広…

  5. 労働のこと

    あと十年後には技能労働者大量離職。職人単価は益々高騰するか?

    まずは下図を見てください。これは、総務省による「技能労働者の大量離職の…

  6. 建築のこと

    サルでもわかる、建設と建築の根本的な違いについて

    ども、tyazukeです。建設と建築って何が違うの、という質問…

スポンサーリンク

最近の記事

Tazukeのおすすめ書籍

  1. 労働のこと

    仕事一筋の人がヤバい理由と、構造設計者の7割が削減された将来
  2. 構造設計に関すること

    Autocadで変断面の断面係数を求める方法
  3. 一級建築の試験勉強

    構造一級建築士制度で構造屋が減っていく件
  4. 一級建築の試験勉強

    本当に知りたかった!一級建築士と二級建築士は何が違う?
  5. 設計事務所に関すること

    業界人が教える組織設計事務所の年収ランキング。
PAGE TOP