建築業界の分析

最終更新日: 2019.09.29

今後、日本の建築設計者の技術力は中国に負ける

ども、tyazukeです。

「日本の技術力は一番!」「日本は最強!」という日本礼賛の声を聞きます。それ自体は結構なんですが、もっと危機感を持ちましょう。

例えば日本の液晶メーカー大手だったシャープは台湾の鴻海に買収されました。その背景には、シャープの怠慢があったのです(https://thepage.jp/detail/20160402-00000004-wordleafより)。

シャープは1912年創業。早くから液晶技術に着目して独自開発に傾注。液晶テレビ「アクオス」で世界的な評価を得たものの、技術開発力への過信から、液晶事業への積極投資が裏目に出て、経営の悪化を招いた。液晶技術に代わる有望技術の確立には至っていない。2015年3月期の売上高は2兆7862億円。人員削減が進んだものの、15年12月現在で4万4000人の従業員を抱えている。

 

建築業界でも同じこと。「日本は地震国ゆえ建築設計業界では先陣を切っている」「日本の技術力!」なんて思っていると同じ一途をたどるのでは?

今回は、日本の建築設計者の技術力は中国に負けると思う、ことについて調べてみました。

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そもそも中国のゼネコンは世界一の規模

日本の中にいると、日本がNo.1だと勘違いします。でも、それは大きな間違い。そもそも世界のゼネコン売り上げ高トップ4まで中国が独占しています(2015年のデータです)。

(http://www.sbbit.jp/article/cont1/30469より)

 

日本は・・・ありました。大林組の18位が日本でトップ。ゼネコンは建設業界の中でも、最も企業規模が大きい業態。つまり、ゼネコンの強さ≒建設業界の強さと思っても良い。

もう中国に負けているんですよ。その自覚を持たなきゃ、もっと落ちます。僕が勤めている会社のお爺さんの中には「中国の安い労働力で単純労働をさせて、わし達は頭脳労働をする」なんて言う方がみえます。

大きな間違いです。そのうち逆転しまっせ。大体、日本でしか仕事が取れない日本ゼネコンが海外のゼネコンより優れているはずがない。すなわち日本の建設業界は、中国に技術力でも劣る。

 

日本のコンペで、中国勢が台頭している。

僕がギョッとしたのは、日本のコンペで中国勢が台頭していること。「構造デザインコンペ」という学生・若手実務者向けのコンペをご存知ですか?

今年で第4回目になりますが、特に応募資格はありません。国内外問わず参加可能。小さな国際コンペと言っても良いでしょう。

問題は今年の受賞作品。これをご覧ください(http://www.ko-zo.jp/examination2.htmlより)。

DING Yi・SUN Xianqing・CUI Yue・ZHOU Shaoyang(北京工業大学)
「Woven Wharf 編みの埠頭」
■ 優秀賞
副賞:賞金10万円

泉 芳朋・渡邊 眞奈・吉村 環紀(早稲田大学大学院)
「Pool Roof 水たまりから人たまりへ」
■ 優秀賞
副賞:賞金10万円

小林 隼也・伊藤 真太朗・大江 晴天・川端 将大・二宮 颯佑(オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド)
「尾張津島天王橋」
■ 赤松賞(審査員賞)
副賞:賞金5万円

LIU Yujie・LIU Xinyue・GUO Zengqi・CHEN Yixin(北京工業大学)
「マングローブ架け橋 mangrove plank road」
■ 大森賞(審査員賞)
副賞:賞金5万円

武者 美波(千葉大学)
「記憶をつつむ」
■ 佐藤賞(審査員賞)
副賞:賞金5万円

YANG Hongye・GAO Yichen(北京工業大学)
「風立ちぬ THE WIND RISES」
■ 彦根賞(審査員賞)
副賞:賞金5万円

HU Na・JI Zimeng・ZHANG Jiawei・HU Jiahao(北京工業大学)
「湿地を守る細胞」
■ 竹中賞(審査員賞)
副賞:賞金5万円

福田 泰之・小島 慎平(東京大学)
「隙間を縫う消壁」
■審査員奨励賞(永井氏選出)

TIAN Lili・LI Xue・LIU Shenliang(北京工業大学)
「可変式ツリーハウス」
■審査員奨励賞(新谷氏選出)

加藤 万梨香・久保 隆成・山下 倉太郎(名古屋市立大学)
「石の都 岡崎」

なんと最優秀賞を筆頭に、計5作品も「北京工業大学」が当選しているんです。ちなみに北京工業大学は、中国のなかで「そこまで偏差値は高くない方の大学」なんです。

中国では上から86番目くらいの大学(http://top.at0086.com/university/2011/top100_jp.htmlより)

 

審査員は日本人なので、恣意的に北京工業大学が入選したわけではありません。単純に日本は勝てなくなっています。

「たかがコンペじゃないか」

本当にそうでしょうか。どうも僕には、日本の建築設計者の技術力が中国に負ける気配のようなもの、を感じます。

 

国際コンペで日本は勝てない?

もっと言えば中国に限らず、日本の建築設計者は世界と戦えないのかもしれませんね。僕がちょっと調べただけの国際コンペでも、最近日本人はGold medalどころか、入選すらしていません。

  • LIXIL国際大学建築コンペ
  • The Prize “Sustainable Architecture” Fassa Bortolo 2017

LIXIL国際大学建築コンペは日本発のコンペですが、この3年ほどは日本の大学は最優秀賞をとっていません。

日本が落ちたとみるべきか、世界のレベルが上がったと知るべきか・・・。

 

日本人は、世界から見ると下請け労働者に最適

ところで、納期最優先で働いてくれる日本労働者。お金にならない仕事もせっせとこなす。確かに中国人にはできない勤勉さです。上司から言われることは絶対。言いつけも守ります。素晴らしいですね。

でも、あれ?これって都合の良い下請け労働者に最適じゃないですか?少なくとも海外から、そう思われる日が遠くないと思いますね。

 

「日本は真面目で安い賃金で働いてくれるぞ笑」「あんな優秀な技術者が、こんなに安く雇える日本は素晴らしいな笑」

こう思われていることでしょう。そのうち中国から日本の設計事務所へ下請け依頼がくるかもね。

 

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