このブログを読んでいる方ならご存知ですが、これまで空き家問題を書いてきました。本業は構造屋で全くの門外漢なのですが、建築にかかわる人なら知って当たり前だと思うのです。
今回は、空き家問題を知るための9つのキーワードについて紹介します(参考は国土交通省HPより)。一体、日本の空き家問題はどれほど深刻なのか?それとも楽観的でいいのか?何が起きているのか?
議論に入る前に、情報をフェアに理解しましょう。新築物件は下記をご覧ください。
1.空き家の戸数は800万!
現在、住宅ストック数は6060万戸(2013年データ)あるといわれています。それに対して、総世帯は約5240万。つまり16%も部屋が余っているのです。量的には十分足りています。
6060-5240≒800で、現在も毎年戸建て住宅や新築マンションは増えています。一方、少子化によって世帯数は減少していますから、今後どんどん空き家は増えていくでしょう。
2.空き家の総数はこの20年で倍増!
空き家の数は800万戸と説明しましたが、実はここまで増えたのは最近の話。例えば、1993年は448万戸だった空き家が次の年は576万戸、次は659万戸と増え現在は800万戸となっているのです。
年間100万戸の空き家が増えている計算なので、何も手を打たなければ、そのうち1000万戸の空き家が生まれます。
3.本当の意味での「空き家」は318万戸
先ほどから空き家は800万戸あると説明しました。しかし、本当の意味での「空き家」は318万戸(2013年データ)です。
どういうことか?実は、国土交通省が整理している空き家総数は、賃貸用または売却用の住宅、二次的住宅を含みます。二次的住宅とは、保養目的の「別荘」も含まれます。僕たちのイメージする空き家とはちょっと違いますよね。
長期休暇に入れば別荘はしっかり利用されるので。また賃貸用は単に空きが出ているだけで、今後入居者が入る可能性もあります。売却用は言わずもがな。将来的に住み手が現れます。
ですから、それ以外の空き家、これを「その他の住宅」と言います。明らかに誰も住んでいない崩れかけた木造住宅が、「その他の住宅」に該当します。僕たちがイメージする、良くなさそうな空き家って「そっち」ですよね。
だから、本当の空き家は318万戸程度なんです。
4.空き家率の高い県1位は「山梨県」、その他の住宅率が高い県1位は「鹿児島県」
空き家率の1位は山梨県です。しかし、注意したいのは空き家率とは別荘や賃貸マンションの空き部屋もカウントされている点。
全国平均13.5%に対して、山梨県は22.0%の空き家率ですが、これは別荘が多かったり賃貸マンションの空きが多いことが理由だといえます。
その証拠に、空き家率(その他の住宅)をみると、1位は鹿児島県。全国平均が5.3%に対して11.0%となっています。こっちのデータの方が深刻で、鹿児島県は空き家問題を真剣に取り組みべきでしょう。
ちなみに、2位は高知県。3位は和歌山県。いずれも限界集落の多い県がランクインしました。僕の地元島根県は6位。確かに空き家が多い気がします。
5.全国の都道府県で83.4%が空き家実態を把握しきれていない。
空き家の実態を把握しているのは、全国の約6分の1の市町村に留まっています。地域により大きく異なるようです。全国的には島根県での取り組みが大きく進んでいるようです。
空き家の調査方法は、行政区域内を調査員が現地調査するのみ。電子情報の活用は5%にとどまりました。例えば北海道は敷地も広いし環境も過酷。空き家調査を調査員を派遣して行うなんて、費用的、時間的にも不合理な方法のように思います。
だって調査員は外観だけで空き家かどうか判断できません。わざわざ玄関まで行って、チャイムならして確認するわけでしょ?もっと良い方法ないものか・・・。
国土地理院のGISを使えば、せめて調査範囲だけでもある程度カバーできそうなんですが。
6.空き家に関する苦情は全体の75.9%
空き家の75.9%が迷惑だとクレームを受けています。最も多い理由が、外壁材・がれき材などの悲惨による近隣家屋・通行人などへの被害への危険。当然ですね。危ないですもの。
次は、柱・梁などの腐食・損壊による空き家などの倒壊の危険。こっちの方が、危険度は高い。次いで、台風などの災害による通路へのはみだし。
皆さん身の危険を感じる空き家にはクレームを出しているようです。他にも、景観を見だす空き家などもクレーム上位に挙がっています。
7.空き家バンクの取り組みを今後実施する予定がない自治体は全体の40.9%
僕の地元、島根県でも空き家バンクを利用した取り組みが盛んです。最近、田舎暮らしを求めてIターンやUターンする方が増えていますから。空き家バンクは、空き家になった家を行政やNPO法人に登録してほしい人へ売却する取り組み。
かなり格安で家が手に入ります。もっと取り組み行う自治体が増えればいいんですが・・・。
8.改修支援の実施の有無で、今後の取り組み予定もない自治体は59.6%
改修支援の実施をしていない自治体が60%あることは問題ですよね。これじゃあ、国が求める空き家活用は到底遠く。
9.空き家の除却支援の取り組みを実施する予定がない自治体は全体の67.8%
空き家は有効活用できなくても除却するだけで景観はよくなります。それでも取り組みを実施しない自治体が全体の68%。今後も取り組む予定がないって・・・やる気あるんでしょうか。
今回は、空き家に関するTIPSを特集しました。実はまだまだあるんです。今後、第二弾として紹介しますね。