構造設計の話

最終更新日: 2017.10.3

保有水平耐力時の耐力が上がらないとき 層間変形角1/200の規定

ども、tyazukeです。

RC造で公共物件を設計するとき、2次設計で層間変形角1/200の縛りがあります。これは建物の耐力を地震時の層間変形角で決めてしまうもの。建物によっては層間変形角に達してしまい耐力が上昇しないことがあります。

僕は、この縛りに何度も苦しめられました。計算を何度回しても思ったように耐力が上がらない。もちろん柱や梁の断面を大きくすれば解決します。が、それは最後の手段としましょう。今回は層間変形角の規定で耐力が上がらないときの対処法について考えました。

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1/200に何の意味がある?

公共工事の設計基準は国の研究機関により定められています。実は1/200という数字がどうやって決まったか?、定かではありません。やはり実験的に解析的に決定しているかと。重要なのはこれが『規定』であることです。

規定は守らないとね。

 

保有水平体力が足りないとき どうすればいい?

困りますよね。保有水平体力が足りないときどうしますか?僕はまず保有水平耐力時のヒンジ図を見ます。剛につながっていた梁や柱にヒンジができているなら、その梁は変形に対して無抵抗です。いわゆる降伏しています。

 

さて、ヒンジが発生しているなら部材が降伏しているので変形が進んでいます。つまりヒンジを解消してやればいいわけです。柱または梁のヒンジを解消するように鉄筋を増やします。鉄筋を増やせば終局耐力が上昇し、ヒンジが発生するのが遅くなります。

塑性ヒンジが柱や梁に多く発生しているなら鉄筋を増やすだけで保有水平体力はかなり上昇するでしょう。

 

これでも耐力が1.00未満の場合

上記の方法で鉄筋を増やしました。しかし、これでも耐力が足りないときは問題ですね。でも、まだ大丈夫。こんなときは鉄筋の剛性を考慮しても良いです。通常、部材の剛性はコンクリート断面のみです。しかし、これに鉄筋の剛性を考慮しても問題ありません。

鉄筋は径が小さいですが、RCよりも10倍程度ヤング係数が違います。このヤング係数の違いが剛性をグッと上げる要因です。結果、鉄筋の剛性考慮が意外と効いてきて、建物の剛性が1~2割くらい上昇し大抵の場合、耐力が納まります。

 

それでも耐力が足りないとき! 断面が小さいかも・・・

これでもQu/Qunが足りない場合、部材のメンバーが小さいかも。なぜなら、降伏もしていないのに層間変形角が規定値に達しているからです。つまり、部材断面を大きくする以外に大幅な剛性アップは望めません。

どの部材を大きくするかは意匠との相談です。が、効果的に部材断面をアップさせる必要がありますね。これには例えば各階のQ-δグラフを見ましょう。ほとんどの場合、2階の層間変形角が規定値に達しているはずです。先に、規定値に達している層の部材をアップさせれば、さらにステップが進みます。

 

柱をワンサイズアップするか、梁をアップするかは意匠、構造の合理性を考えます。例えば柱を大きくすれば内部面積が小さくなって意匠は嫌がるでしょう。場合によっては天井高に制限があって梁を大きくできないかもしれません。

一番意匠に影響がないのは、梁幅を大きくする方法です。梁幅は必ず柱内に納めますから、逆に言えば柱断面まではサイズアップできます。梁幅を大きくして鉄筋をたくさん入れるのも1つの方法ですね。

 

まとめ

今回は保有水平体力時の層間変形角と、耐力が足りないときの対処法について考えました。最近、RC造の設計を多くやっています。

が、2次設計時の耐力が中々上がらなくて困っています。そんな時は、ヒンジが出来ていないか?、鉄筋を剛性に考慮してみる、部材断面が小さくないか?、ということをチェックしてみましょう。

下記は、RC造の構造設計が分かりやすく説明してある本。イラストも良い感じです。

 

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