建築業界の分析

最終更新日: 2019.10.2

土間コンクリートとスラブの違いと、配筋や床厚について

1年目のとき、土間コンクリートとスラブの違いが分かりませんでした。

『大学院出て、こんなことも知らんのか!』と怒られたものです。建築用語って難しい。

 

まぁ、建築用語集読むとか自分で勉強しなかったのが悪いんだけど。猛省したあとこの本を読みましたよ・・・。

土間コンクリートは、一見人の重さや家具などを支える床に見えます。しかし、「土間コンクリートはスラブじゃないから計算しなくても良い」と言われて納得できませんでした。

 

土間コンクリートだって安全なように計算が必要じゃないの?『土間コンクリートとスラブって、何がどう違うの?』と思うわけです。

今回は、土間コンクリートと床スラブの構造的な違いや配筋について説明しましょう。

スポンサーリンク

土間コンクリートは地盤に支えられたRC床

土間コンクリートとスラブの違いですが、実は見た目には違いはわかりません。設計図を見れば、表現方法が違うので判明しますが、出来上がった物はほぼ同じ。

ですから、建築的な土間コンクリートとスラブの原理の違いを説明します。

 

簡単に言えば、土間コンクリートは地面に支えられたRC床のことです。地面の上に置いてあるRC床と言い換えても良いでしょう。

「なんだ当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、一見地面の上にあるRC床でも、「地面の支え」が無くても人の重さや家具を支える床があります。それがスラブです。

 

さて、土間コンクリートの特徴を専門的に言うと、固定荷重や積載荷重を地盤へ直接伝える床です。

地盤に直接荷重が伝わるなら、その部材に応力は作用しません。ですから、土間コンクリートは構造計算をしないのです。そのため配筋も少なくて済みます。

例えば、両端ピン支持の梁があります。この梁に集中荷重を作用させます。但し作用荷重は支点とします。このとき、梁には応力が作用しません。集中荷重は支点に直接荷重が流れるからです。

 

このように、土間コンクリートの支点は『地盤』です。支点に直接荷重をかけても応力が発生しないように、土間コンクリートに応力は発生しません。地盤へ直接荷重が流れるからです。

よって、沈下を起こしやすい地盤では土間コンクリートは不向きです。地盤が沈下すると、土間コンクリートも一緒に沈下します。あるいはひび割れるなど、劣化の原因となります。

スラブは地盤の上にあっても浮いている、と考える

1階のスラブも普通は、地盤の上にあります。しかしスラブは地面の支えを期待しません。「え、なんで?」と思いますよね。これは土間コンクリートのデメリットに関係しています。土間は地面の支えにより成立しています。地面が沈下すれば土間も沈下するわけです。

強度の弱い地盤だと、そういった現象が良く起きます。それって好ましくないですよね。だから、あらかじめ地面がなくても、床沈下したり荷重に耐えられるよう設計する。

これがスラブなんです。

 

それは2階、3階と同じような状態です。つまり、梁が支点となって床に作用した荷重を伝達します。

そのため、スラブは発生する応力に対して鉄筋の計算を行います。一般階にある床スラブは当然ですが、1階のスラブも同様です。注意したいのは、土間コンクリートとスラブの区別です。

 

図面上の表記を分けないと、土間とスラブの区別がつきません。定着長さや方法も違ってくるハズですから、注意しましょう。

ざっと説明したのですが・・・1年目のころは、土間と床の区別もつきませんでした。1階にある床なんてややこしいですね。

土間コンクリートとスラブの配筋の違い

前述したように土間コンクリートとスラブでは、構造的な意味が全く違います。よって、当然配筋も異なります。まず、土間コンクリートの配筋や床厚は一般的には下記の通りです。

  • t=120または150 D10@200シングルクロス

要は応力が作用しないので、配筋自体は割れ防止筋程度に、D10@200を入れておけばOK。床厚は120でも大丈夫、少し厚くしたほうが安心というなら150です。

スラブはそういうわけにはいきません。荷重やスラブの大きさに応じて配筋を決定します。

まとめ

  • 土間コンクリートは、地面を支点と考えるから応力が発生しない。
  • 土間コンクリートは、強度が低い地盤の上に造ると沈下する。必要であれば地盤改良を行う。
  • スラブは、地面が無くても成立するRC床のこと。地面が沈下しても、床は下がらない。
  • スラブは、強度が低い地盤の場合、効果的。

以上、土間コンクリートとスラブの違いについて説明しました。

実務をやり始めた頃は難しい用語に悩まされますよね。最後に、現場用語の意味がわからないとき、役に立った書籍を紹介しますね。

建築現場用語がわからないとき役に立つ書籍3選

役に立った本は下記の通り。

それぞれ解説します。

超図解でよくわかる建築現場用語 完全版

僕も1冊持っていますが、正直、この1冊あれば建築現場の用語はほぼ網羅できるはず。図解も多いので重宝しています。

超図解でよくわかる 建築現場用語辞典 ポケット版

先ほどの本のポケット版。現場へ行くことになった若手はこの本を持参しよう。

イラストでわかる建築用語

建築現場だけでなく、建築用語全般の用語集です。イラストが多く、初心者向き。

以上、用語の意味が分からないとき参考にしてください!

 

こちらも人気の記事です

ピックアップ記事

  1. 建築士に向いていない性格は?働いて分かったこと、解決方法3つ
  2. 【一級建築士】テクニックだけで選択肢を減らす方法を考えてみた【構造】
  3. 未来の建築は、お金持ちだけに与えられる
  4. 弱軸方向に荷重を受ける部材の許容曲げ応力度について
  5. ソファやベンチに座るとき、一番安定する位置はどこか。

関連記事

  1. 建築業界の分析

    建築業界が紙媒体から脱却すべき2つの理由

    ども、tyazukeです。先日、進行中の物件の打合せに出向きま…

  2. 構造設計の話

    袖壁の意味と効果、図解で説明してみた

    ども、tyazukeです。他業界の人と話していると、ついつい専…

  3. 建築業界の分析

    「国土交通省生産性革命プロジェクト」パンフレットを読んだ。

    「国土交通省生産性革命プロジェクト」パンフレットを読んだ。建設…

  4. 建築業界の分析

    地盤調査報告書って誰かチェックしているの?

    地盤調査報告書のチェックって誰が行っているのでしょうか。お施主さんが確…

  5. 建築業界の分析

    マンションの鋼製手すりは触れるな危険、という話。

    ども、tyazukeです。マンションには必ずベランダがあります…

  6. 構造設計の話

    ブラック部長、計算書の構成は事務所で統一しませんか・・・?

    他の事務所がどうしているかわかりませんが、僕のいる事務所では、部長が計…

スポンサーリンク

最近の記事

Tazukeのおすすめ書籍

  1. 建築屋さんの転職

    大建設計の気になる評判は?転職時の年収、残業時間を調べてみた
  2. 建築業界の分析

    何でもかんでも建築的に解決しようとするな、という話
  3. 一級・二級建築士の勉強法

    【一級建築士】平成29年度の計画が、酷い内容のテストだったわ。
  4. 設計事務所の実態

    仕事は質と量のどちらが大切?1日12時間働いて出した答え、成長に必要なこと
  5. 建築業界の分析

    建築家の、「全て私がやりました」という風潮
PAGE TOP