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構造計算における定性的な性状を覚えることの重要性

構造設計

先日、古いRC規準(1988年版)を読んでいました。耐震壁が回転するときのD値の計算方法について。ざっくり説明しますと、耐震壁は基礎固定のときと基礎が回転する場合ではD値が全く違う、ということ。

で、その計算方法が親切に書いてあるのですが、その結果、基礎の回転を考慮するとD値は1階21、2階13、1階7くらいになります。

このD値計算は、境界梁のバネや、基礎のバネを考慮するので手計算レベルだと結構面倒です。

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昔は剛性の考えが適当、でも正しい?

話変わって、このRC規準よりももっと古い本(1950年代)を読みますと、昔のD値の考え方が書いてあります。

そこには、「耐震壁のD値は1階20、最上階5」と、その根拠は経験則というような書き方がしてあったのです。あら不思議。弾性剛性に立脚したD値の結果と遠からずの値。

昔の計算は、何ともざっくりしているなぁと思う反面、構造計算の簡便さへの配慮があって覚えやすい。耐震壁以外にも、外柱のD値、内柱のD値というように、本当に簡単な計算だけで済むように先生方が工夫されていたように思います。

もちろん当時から弾性剛性の理論はほぼ確立していたので、手計算で可能な厳密解を求めていたかもしれません。しかし、先に述べたような定性的な性状を「覚えること」で、後に精密な計算の確からしさをチェックできていたのだと思います。

 

ざっくり、性質を知ること

さて、ご存じのように今の構造計算は、一貫計算プログラムがほとんどです。プログラム(コーディング)の中身は読むことができませんので、まさにブラックボックスですよね。

そこで重要なのが、定性的な性状を覚えること。

その定性的な性状を覚えるためには、自分の手を動かして経験を積むのが一番かもしれないけど、例えば、「ラーメン構造の場合、〇〇の位置で応力が大きくなる」とか、本にまとめてもらえると良いのではないかと。僕が読んだ武藤清先生の本に、それに近い試みがあってとても便利に思いました。

偉い先生が書いた本にハウツーやノウハウが書いてあると、後ろ盾があるような気がしますし。

知識や経験は個人で完結してはなりません。社会に還元する必要があると思います。そのチャンスはかなり広がっていると思うのですが、内向きな構造設計業界が少しでも変わると良いなあと思います。

設計者がノウハウやハウツーを冊子にまとめると面白いのかなぁ。

それでは。

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